「安全確保 困難な立地」
大間原発訴訟で函館市 東京地裁
 函館市が国と電源開発(東京)に大間原発(青森県大間町)の建設差し止めを求めた訴訟の第12回口頭弁論が21日、東京地裁(林俊之裁判長)であった。
函館市側は、現状の大間原発の設置場所では重大な事故が起きた際、住民の安全な避難が困難とし、原発の建設は違法だと主張した。
 函館市は原発の設置に関わる新規制基準について、国際的な安全基準を踏まえる必要があると指摘。
原発の設置場所は、安全な避難路が確保できるかどうかで評価されるとしている。
市側は大間原発で事故が起きた場合、地震や津波による被害や冬の悪天候などで陸路の寸断や車の渋滞が想定され、
航空機や船舶の使用も限界があるため避難計画の策定が困難と主張。
「住民の生命・身体の保護という自治体の責務が果たせない」とした。
 一方、国側は、事故で電源を喪失した原発の安全を確保する代替電源の設置基準に不備があるとした函館市の主張に対し、十分な内容だと反論した。
次回期日は8月2日。

「大間」と向き合う
原発差し止め訴訟 市側「避難路混雑、動けず」
 21日に東京地裁であった、函館市が電源開発大間原発(青森県大間町)の建設差し止めを求めた訴訟の第12回口頭弁論で市側は、
万一の事故で住民が札幌まで避難する際、約300`離れた地理的な困難さを取り上げた。
道路地図を示しながら「混雑して身動きできず被ばくする可能性が高い」とあらためて原発の危険性を訴えた。
 「安全な避難ルートがない函館では、実行可能な避難計画をつくるのは不可能だ」。
原告側代理人の大河陽子弁護士は、傍聴人ら約100人で埋まる法廷でこう主張。
札幌方面に向かうルートが限定され、地震などで道路が遮断されれば逃げ場を失う地理的条件を指摘した。
 原発事故時に想定される札幌への避難道路は、国道5号や国道227号。
しかし、東京電力福島第1原発事故を引き合いに、幹線道路は大渋滞が予想されると指摘。
区間によっては1`当たり約100台の車が連なり、札幌まで50~60時間かかることも想定されるとした。
 運転免許証のない住民も函館周辺で推定約13万人いる現状も指摘。
集団輸送が検討されるが、函館周辺のバス登録台数は約800台にとどまり「不足していることは明らか」と訴えた。
 市側は国際基準を例に、原子力法制の不備にも迫った。
福島の事故後に策定された原子力規制委員会の新規制基準は、住民が被ばくを免れ、
安全に逃げるための避難計画がつくれるかどうかを審査対象にしていないと問題視した。
 原発から30`圏内に入る中核市の函館では、深刻な事故が起きれば条件次第で1年以内に死亡する「急性死者」が200人を超すとの専門家のデータも提示。
住民やマチに重大な損害をもたらさない原発の立地を求め、こうした立地審査なしに原発稼動へと手続きが進むことは「違法だ」とした。
次回の期日は8月2日。

処分地打診の真意 全員協議会で質疑
七飯町議会
 【七飯】町議会の平松俊一町議が七飯以外の道南7町に対し、
原発から出る高レベル放射性廃棄物の最終処分地の立地自治体への立候補を働きかけていたことが20日に明らかになったことを受け、
町議会は21日、全員協議会を開き、平松町議から真意を聞いた。
平松町議は処分地の必要性を説いた。
 全員協議会では「なぜ今回のような行動をとったのか」といった質問が出され、
平松町議は「国として必要な施設なので、真剣に考えていく必要がある」などと答えた。
平松町議が町議の名刺で、厚沢部から木古内に至る日本海側7町を訪問したことについては「町議会の総意だと誤解される」などの批判が出た。
 平松町議は7日に7町の町長に、廃棄物を地下保管する処分地の必要性や、道南で候補地になり得ると考える場所を示した資料を渡した。
道は条例で「特定放射性廃棄物の持ち込みは慎重に対処すべきであり、受け入れ難いことを宣言する」とうたっている。
道は取材に対し「この条例を順守しなければならないと考えている」(環境・エネルギー室)と話している。