南海トラフ プレート境界の「水漏れ」で低周波地震が発生せず  2016年12月20日 14時12分
http://www.hazardlab.jp/know/topics/detail/1/8/18383.html

今後30年以内に70%の確率で巨大地震が発生すると考えられている南海トラフ沿いで、フィリピン海プレートが沈み込む境界で「水漏れ」があると、低周波
地震が発生しない可能性を東北大学などの研究チームが突き止めた。

フィリピン海プレートが陸側のユーラシアプレートの下に沈み込んでいる南海トラフでは、1944年の東南海地震や、1946年の南海地震のようにマグニチュード
(M)8クラスの巨大地震が過去何度も発生している。

これまでの研究で、プレートが沈み込んでいる深さ30キロ付近では、東海地方から豊後水道にかけて、低周波地震が発生することが明らかにされている。

低周波地震は、プレートがゆっくりすべることで起きる、揺れがごく小さい地震だが、低周波地震が繰り返されることで断層が破壊され、やがては巨大地震を
誘発する可能性があるとして、メカニズムの解明が課題となっている。

東北大学地震・噴火予知研究観測センターの長谷川昭名誉教授と東京工業大学の研究チームは、南海トラフ沿いの低周波地震発生域で、地震波の速度を
比較。その結果、関東、伊勢湾、紀伊水道、九州では、地震発生時に最初に到達するP波の速度が平均よりも4%以上遅く、低周波地震が発生していないことが
わかった。

研究チームによると、これらの地点では、フィリピン海プレートから上部の岩盤に向かって水が漏れ出すことで、プレート境界にかかる圧力が弱まり、低周波
地震を抑制する可能性があるという。

現在の技術では、プレート境界で漏れている水圧を測定するのは難しいが、上部の岩盤の構造変化を丹念に観測することで、内部の断層の破壊状況を知る
ことができる可能性があるとして、期待が寄せられている。

なおこの研究は、英科学誌『ネイチャー・コミュニケーションズ』電子版に19日付で掲載された。


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フィリピン海プレートがユーラシアプレートの下に沈み込む南海トラフでは、プレート境界の深さ30キロ地点で通常よりも周波数の低い低周波地震が発生
している(防災科学技術研究所の資料より)

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低周波地震は、南海トラフよりも陸側近くで発生している。赤点が低周波地震発生場所、緑で囲んだ部分は、 東南海地震(1944年)と南海地震(1946年)
の震源域(提供:東北大学)

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プレート境界で水が漏れ、上部の岩盤に染み出すと、圧力が変化して低周波地震が起こりにくくなるメカニズム(提供:東北大学)



南海トラフまでもが水漏れかよ !!