なんと、特別警報の発表からツイッターでの告知まで、最短でも1時間16分、最長で
1時間37分もの遅れが生じている。そのツイートも、「記者会見を開催して、大雨に
最大級の警戒を呼びかけました」という、なんとも歯切れの悪い言い回しだ。人命を
守るために一刻を争う情報のはずなのに、この遅さと他人事のような扱いは何なのか。

 まず、筆者の地元の気象台に話を聞いてみた。

「気象庁は、ツイッターを特別警報などの防災気象情報の発表手段として位置づけて
いません」

 そう言って応対してくれた職員が見せてくれたのは、気象庁がツイッターを始めたと
きに決定した「気象庁ツイッター公式アカウント運用指針」という文書。そこには
「下記に該当する報道発表を投稿する」として「災害への警戒を呼びかけるもの」が
掲げられている。しかし、これはあくまでも「報道発表をしました」というお知らせ
だ。

「報道発表をしたことのお知らせなので、気象庁からの発表を受けてテレビ画面に
テロップが入ったり、マスコミ向けの解説のための記者会見が行われたりしたあと、
さらに10分とか20分といった時間を空けてからツイートする、というルールになって
います」

 つまり、特別警報・警報・注意報そのものを、発表と同時に「災害への警戒を呼び
かけ」として投稿することは絶対にないという。なるほど、気象庁公式アカウント
(@JMA_kishou)のプロフィールに「警報などの防災気象情報は発信しません」と
書いてあるのは、このルールのことだったのか。でも、どうしてそんなルールが?

「気象業務法の縛りだと聞いていますが、気象業務法について部外者に詳しい話をする
ことはできないんです」

 この職員によると、4年前の機関紙に、日本気象協会が昭和32年に解説書を出版して
から気象業務法の解釈は更新されていない、とする元長官執筆の記事があったという。
それ以来、気象庁内では、部外者に対して気象業務法の説明をしない、特に60年前には
存在しなかったツイッターやインターネットが絡むようなことがらには触れないという
忖度がはたらいているという。