週刊文春 2019年1月3日・10日 新春特別号
池上 彰×山極寿一
「このままでは“技術立国”日本は滅ぶ」
大学ランキングは愚の骨頂、財務省は亡国を招く……
ttp://shukan.bunshun.jp/articles/-/10635
https://www.zasshi.jp/pc/action.php?qmode=5&;qword=%E9%80%B1%E5%88%8A%E6%96%87%E6%98%A5&qosdate=2018-12-26&qpage=3

池上 さて、国立大学協会の会長でもある山極先生が、いまとりわけ強く国に対して提起しているのが、
「国立大学の法人化は失敗だった」という意見です。2004年に国立大学を法人化する際に、大学の運営に
必要な費用については、学生からの授業料と政府からの補助金(運営費交付金)で賄うことになっていました。
ところがこの政府の補助金は、毎年1パーセントずつ減っていきます。この話、前の年の額から1パーセント
減るんだと思っている人が結構いるんですよね。そうではなくて、減額を始めたときの総額から機械的に
1パーセント分を削って、百年後にはゼロにするという話なんですよね。

山極 そうです。だから14年間やってきて、もう10パーセント以上、額にして1400億円削られているんです。
いま国立大学の運営費交付金は1兆1000億円。そこでいま下げ止まっていますが、一方で支出はどんどん増えて
います。…(略)…
 財務省に言わせると、運営交付金を削った代わりに競争的資金や科研費(科学研究費補助金、学術研究助成
基金助成金)を増やしているから総額は減っていない、と。
 しかし運営費交付金だけでは教員の給料が払えなくなっている。だからどこの大学でも教員数を減らしています。

 そもそも、2003年に国立大学法人法が国会を通過する際、国立大学に十分な財政措置を行う旨、国会で付帯決議
をしています。ところがその舌の根の乾かぬうちに、財務省は毎年1パーセント削減を始めているのですよね。
 先日ある財務官僚が私に「運営費交付金を削らなければ、もっと大学はひどいことになっていた」と言っていました
から、私は言ってやったんです。「交付金を削って良くなった証拠を出してください」と。

(続く)