2002年7月11日午後1時というから、公務員の勤務時間中である。神田錦町の
レストラン「四季好楽 然」で、気象庁と民間気象会社数社の非公式の会合
が開かれた。
この席上、民間向けの加工用気象データの配信は気象庁の外郭団体「気象業務支援
センター」のみを窓口として行い、気象庁ホームページからのダウンロードは
行わないことが合意された。
こんな合意が必要だったのは、予報業務を自由化した1993年の気象業務法改正の
際の国会答弁と付帯決議、さらに2001年の政府のe-Japan戦略に従えば、ホーム
ページによる加工用データの提供は、むしろ積極的に行うべきだったからである。
もともと、気象業務法の改正によって、民間気象会社は、月額数十万円は下らない
負担金を「仕入元」である気象業務支援センターに支払わなければならなくなり、
特に中小企業や個人による起業や事業の継続が非常に難しくなっていた。
いっぽう、これは規模が大きな企業ほど「原価率」が低くなって競争に有利になる
仕組みであるため、寡占状態が生じやすく、実態もそうなっている。
2002年7月の合意によってこの状況が固定化され、25年にもわたってほぼゼロ成長、
という民間気象産業の不振の最大の原因となっている。
最近、気象ビジネス推進コンソーシアムがこの問題に取り組み始めているようだが、
手遅れの感は否定できない。

このスレッドでは、気象庁内の事務官に対する恨みの声がよく見られるが、法律や
国の政策より民間との密約が優先されたせいで日々作っているデータが社会に
届かなくなっているのだから、行政に対する技術者の怒りは当然だろう。