朝のラッシュの車内、
およそ30歳前後かという、背丈・肉付きともに水準より少し上のその女性は、
逆向き−互いの体の左側が至近距離で平行に並ぶ形で−立っていた。
私は左で吊革を掴み、その彼女は左手でスマホを弄っている。
すし詰で常時密着している訳ではなかったが、
電車の揺れた時やふとした動きで、カーディガン越しに彼女の柔らかな肘やその付近の腕が、
私の無防備な左脇腹を突き、押し、滑る。何とも言えず、アレだった。