産経新聞朝刊社説
年金一元化 公務員天国にただ呆れる

 “公務員天国”をいつまで許すつもりなのか。
民主党が会社員の厚生年金との一元化にあたり、公務員共済年金の上乗せ給付制度である
「職域加算」を温存しようとしていることだ。
特権を残したままでは制度の完全統合にはならない。改革の意味そのものを失うことになり、
国民の理解はとても得られまい。
特権その1:「職域加算」とは、年金給付額に月額約2万円を上積みする共済独自の仕組みだ。
      「追加費用」と呼ばれる税金の投入のことだ。
特権その2:「転給制度」とは、遺族年金の受給権が父母や孫らにも引き継がれる公務員特権の象徴。

一元化は、これらの優遇策を含めた年金の官民格差解消が目的だ。
ところが、民主党は社会保障と税の一体改革の素案に、「民間の退職金との比較を行う
人事院の調査の結果を踏まえる」との文言を書き入れる方向だ。
職域加算を「退職金の一部を分割して受け取る企業年金のようなもの」と位置づける官側の都合
良いように言い分をそのまま受け入れたにすぎない。
民主党を支持する自治労や日教組への配慮から、一体改革の法案内容を骨抜きにしようとする
意図は明白だ。
自公政権時代に国会提出された年金一元化法案では、厚生、共済両年金制度の差異は厚生年金
にそろえることにより解消することになっていた。