サンデー毎日2019年4月28日号
・〔保守論客・憂国対談〕第3弾! 放送大教授・松原隆一郎×評論家・中野剛志 安倍1強の時代 保守は勝利したのか
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【松原】 官邸は今、党や官僚への支配を強めて、あまりに専制的になってしまっていますね。現に、安倍首相や菅官房長官は
異論を好まないタイプのようで、意見を言う人間を排除してしまう。政権に批判的な石破茂氏なんか、公式に発言できる機会を
ほとんど与えてもらっていないでしょう。かつては、党内に右から左まで広くいても、全体としてまとめていく知恵や余裕があった
のですが……。

異論許さぬ政治体制の危うさ

――菅氏の独裁になっているという指摘ですか。

【松原】 昨年の臨時国会は特に酷かった。おそらく安倍首相が関心を持っているのは憲法と外交で、内政一般は菅氏に
任せているのでしょう。そんな中で菅氏は昨年、“悪法三兄弟”ともささやかれる「改正出入国管理法(入管法)」「改正漁業法」
「改正水道法」の三つの法律を拙速に成立させてしまった。これらはいずれも、日本の社会や自然、文化を崩壊させかねない
新自由主義的政策です。こんな改革を立案する安倍政権は保守ではありません。とりわけ、本格的な移民受け入れ政策である
入管法を巡っては、本当なら自民党から反対意見がもっと出てもおかしくなかった。けれど党の部会で慎重論が出ても、結局は
「官邸の意向」が通ってしまった。みんな、菅氏による粛清が頭にチラついてしまったのではないですかね。

【中野】 政治に明晰さを求めて中央集権的にしたら、異論を許さない体制になってしまったということですよ。

【松原】 ええ、平成改革の果てに菅氏の悪政に行き着いた。菅氏の政策運営は国民にとって相当問題です。こんな独裁を
招いた一連の改革を、今こそ深刻に反省しないといけません。

(続く)