古賀茂明「安倍総理がダメにした日本の悲惨な未来をジム・ロジャーズが警告」
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 折しも、4月1日には、出入国管理法や労働基準法の改正法が施行される。実はこの二つの法律が日本の「失われた30年」を
象徴するものであることに気づいている人はどれくらいいるだろうか。
 いずれの法律も、少子高齢化による人手不足がその背景にある。
 80年代には「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と言われた日本企業は、平成に入って90年代以降、急速に国際競争で優位性を
失った。主として、低賃金を武器にしたアジア諸国の追い上げによるものである。本来は、ここで、日本の大企業は、賃金を含め
高い労働条件でも競争できるビジネスモデルへの転換を図らなければならなかったのだが、そうはしなかった。

 労働者派遣拡大などによる正規雇用から非正規雇用への大々的転換政策、留学生30万人計画による就労目的の外国人留学生
導入政策、技能実習制度という名の外国人単純労働者受け入れ政策、そして、究極の国際競争のための賃金カットになる円安政策。
 これらは、低賃金により企業の競争力を維持する政策として機能した。目指す方向が労働コスト切り下げだから、労働者を守るはず
の労働基準法もザル法のまま温存した。残業時間規制は名ばかりで事実上の青天井野放し、サービス残業という賃金不払いは
当たり前、有給休暇も思うように取れない。最低賃金も先進国の7割程度で途上国にも負け始めている。とても先進国とは言えない
労働環境が、2019年もまだ続いているのだ。
 その結果、日本の労働生産性は、G7諸国の中で最下位、先進国の中でも下位グループのままだ。低い賃金・労働条件とは、
低生産性と同義である。労働条件の向上を可能にするためには、もっと儲けるか、企業の利益を削って労働者への分配を増やすか
だが、後者は永遠に続けることはできない。つまり、企業は労働条件を上げるためにもっと利益を出す経営が求められる。そして、
もっと利益を出すということは生産性を上げるということと同じだ。だから、働き方改革と同時に、生産性革命と叫ばれるのは、当然の
ことで、それはまた経営革命という意味でもある。

(続く)