多文化共生政策、欧米の「失敗」から日本は何を学ぶべきか
https://forbesjapan.com/articles/detail/26353
http://hayabusa9.5ch.net/test/read.cgi/news/1554028981/
 日本では、2018年12月に改正された出入国管理法の施行を4月に控え、政界、メディア、自治体、学界などで「多文化共生」に
ついて盛んに議論されている。
 今後、確実に激増していく外国人労働者たちを「労働力」としてだけでなく「生活者」としてどう受け入れ、共存していくのか。
どのような受け入れ態勢が必要なのか。グローバリゼーション時代の民主主義にとっては重要な課題だ。

 しかし、欧米の多文化主義政策は、かなり前から暗礁に乗り上げていた。
 第二次世界大戦後、欧米には発展途上国や旧植民地から労働力として大量の移民が移住した。民主主義と多文化共生をめざし、
各国政府はさまざまな移民受入れ政策を実施してきた。
 しかし、 1990年代頃より、移民の失業や貧困、社会からの疎外などの「失敗」を示すデータ結果が次々と報告されるようになった。

 『歴史の終わりと最後の人間』(1992年)で自由民主主義の勝利とグローバリゼーション時代の到来を礼賛した政治学者の
フランシス・フクヤマでさえ、最近になって、極端な「アイデンティティ政治(特定のアイデンティティに基づく集団の権利を求めた
政治行動)」は社会の対立を決定的にすると批判するようになった。
 欧州は多文化主義に対してもっと懐疑的だ。「多文化主義は明らかに失敗だった」(2011年、フランスのニコラ・サルコジ大統領)、
「Multikulti(ドイツ語で「ダイバーシティを尊重する態度」の意)は全くの失敗だった」(2010年、ドイツのアンゲラ・メルケル首相)など、
グローバリゼーションの旗手であるはずの政治指導者たちが多文化主義政策の頓挫を公に認めているのだ。

 一部の専門家からは、多文化政策は移民の社会統合には効力もないばかりか、阻害要因になりうる、という大胆な研究も
出されている。
 欧米の多文化主義政策は、なぜ行き詰まってしまったのだろうか。この連載で紐解いていきたい。