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外国人労働者増加で何が変わる 賃金上昇抑制・治安の悪化・社会コスト増加の懸念? 国民の理解は十分か
中野円佳 | ジャーナリスト/東京大学大学院教育学研究科博士課程
ttps://news.yahoo.co.jp/byline/nakanomadoka/20190329-00120056/
一般的に、外国人労働者が入ってくることに対する自国民の懸念の1つ目は「職を奪われること」である。

今回、日本は深刻な人手不足を背景に受け入れ拡大を決めており、外国人は「自国民がやらない仕事をやるのであって、競合しない」
という見方もあるだろう。しかし、アメリカの移民経済学者ジョージ・ボージャス氏は著書『移民の政治経済学』の中で、自らも
移民ながら「移民は国内労働者がやりたがらない職をやるから利益しかもたらさない」という移民賛成派の議論に対し慎重な姿勢で
分析をすすめる。

ボージャス氏によれば、正確にいえば、外国人は「自国民がやらない仕事をやる」のではなく「自国民が現状の賃金ではやらない
仕事をやる」。そして、移民と同じ教育レベルや技能レベルの自国民労働者グループでは、賃金が伸び悩んだことを明らかにしている。
つまり直接職の奪い合いにはならないにせよ、賃金抑制効果はどうしても出てくる。

日本でも、本来は経営努力や工夫で人件費を上げなければ人手が確保できず経営が成り立たないような企業が、外国人の流入により
低賃金のままでも人手不足解消が可能になり、全体としての賃金上昇がおさえられる可能性は高い。

シンガポール政府は、自国民雇用への悪影響を抑えるため、企業が外国人労働者を雇用する際、雇用主に税金をかけている。
3月12日の日経新聞「経済教室」で京都大学の安里和晃准教授は、この方策について「あえて外国人雇用を高コスト化することで、
搾取的雇用を防止し、生産性向上に向けた企業努力を優先させている」と評価している。

ただ、この雇用税は実際のところシンガポールでの万能薬にはなっていない。

(続く)