「1人あたり」が低すぎる日本を再興する秘策
最低賃金を放置したままでは浮上しない
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週刊東洋経済 2019年1月19日号
デービッド・アトキンソンと考える無料会員
衰退か?再興か?「日本の生存戦略」
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インタビュー/デービッド・アトキンソン氏
「最低賃金を上げること それが日本再興の起点だ」
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――日本の企業数が多すぎるとも指摘しています。

 日本人は中小企業が大好きだが、極めて安い賃金で人を雇い、無理に存続している会社をいまだに(国が)守っている。
輸出が進まない、技術が普及しない、女性が活躍できないといったさまざまな問題の根本的な原因は、小さい企業が多す
ぎることにある。
 生産性を向上する最大のポイントは、やはり賃金をどのように引き上げるか。低い賃金で働かせているところを変えれば、
他の部分もおのずと変わっていく。

――しかし、政府が進めている外国人労働者の受け入れ拡大は、賃金の引き上げとは正反対の発想の政策です。

 人口増加から人口減少というパラダイムシフトが起きているのだから、今までの枠組みで物事を考えるのを変えていかな
ければいけない。海外から外国人を迎えるのは、今までの経済政策の延長線的な考え方だ。
 いちばんの問題は政策を考えている人に分析能力がないこと。政府は経営者の言いなりになっている。企業は、高度人材
を積極的に受け入れると言う一方で、実態はフィリピンやミャンマー、ベトナムなどから安価な労働力を取り込もうとしている。
これは明らかな矛盾だ。
 今の政策は日本が途上国に戻る道を作っている。途上国から人を受け入れれば受け入れるほど、それらの国の水準に
収斂していく。そこまで考えている人があまりいない。

(続く)