ペトロダラーの終焉か、人民元建て原油先物の取引開始迫る 小菅努 | マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト 1/9(火) 5:00
https://news.yahoo.co.jp/byline/kosugetsutomu/20180109-00080211/
中国で人民元建て原油先物取引が間もなく開始される。昨年12月に中国政府は取引開始の最終承認を
行っているが、ポータル・ニュースサイト界面(Jiemian.com)は匿名の先物業者の話として、「1月18日」の
取引開始で決まったと報じている。

マーケットでは人民元建て原油先物取引の開始は、銅や大豆といった他のコモディティ先物取引とは
異なる意味がある動きとの評価が存在している。国際基軸通貨ドルに人民元が挑戦する通貨戦略が
いよいよ佳境に入ったとみられている。

この議論を理解するためには、「ペトロダラー(Petrodollar)」の話から始めなければならない。
国際基軸通貨としてのドルの地位を維持するために、あらゆる国が必要としている石油をドルのみで
取引する体制を創出・維持することを通じて、ドルの地位を守るアメリカの国家戦略システムと言える。

あらゆる国家は石油を必要としており、その国際決済をドルで行う限りは、産油国に巨額のドルが流れ
込むことになる。そして、産油国はこのドルを米国債購入などを通じて米経済に還流させることで、
アメリカの経済・財政を支援することになる。そしてアメリカはこうした流れを維持するために原油価格を
高値誘導する必要があり、国際通貨基金(IMF)などを通じて新興国に資金援助(ドル)を行い、そのドルが
原油購入を通じて再び米国に帰ってくる流れになる。

今回の中国による人民元建て原油先物取引の開始は、このポスト金本位制のアメリカ経済とドルを
支えてきた体制への挑戦ではないかとみられているのだ。(抜粋)