HIVの新種亜型を特定 19年ぶり 米研究
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191108-00000008-jij_afp-sctch

【AFP=時事】米製薬会社アボット・ラボラトリーズ(Abbott Laboratories)などの研究チームが6日、
エイズウイルス(HIV)の新種のサブタイプ(亜型)を特定したと発表した。
研究結果は医学誌「JAIDS」に掲載された。

新たに特定されたのは、世界中にまん延するHIV-1グループMに属するサブタイプL。新種のサブタイプが
特定されたのは、2000年に分類指針が出されて以降初めてとなる。

アボット・ラボラトリーズはAFPの取材に対し、これらのサブタイプは1980年代から2001年の間にコン
ゴ民主共和国で採取された3人の血液サンプルから検出されていたと語った。分類指針では、新種のサブ
タイプを分類するには3件の症例を個別に検出する必要があるとされている。

分析対象となった3番目のサンプルは18年前に採取されたものだが、当時は技術的制約があり配列決定が
困難だったという。今回、特定に至ったのは次世代DNA配列決定技術のおかげで、これにより高速かつ
低コストでの全ゲノム構築が可能になったと、アボット・ラボラトリーズは説明している。

HIVのサブタイプによって、HIVの治療に用いられる抗レトロウイルス薬に対する耐性が異なっている
ことが分かっている。だが、アボット・ラボラトリーズの主任科学者メアリー・ロジャース(Mary
Rodgers)氏はAFPに対し、「サブタイプLはHIVの主要グループであるMに属しており、現行の治療法
が有効だと期待している」と語った。

同氏によるとアボット・ラボラトリーズは、診断検査、治療、潜在的ワクチンなどに対する影響評価の
ために今回の塩基配列情報を研究団体が利用できるようにする予定だ。

論文の共同執筆者である米ミズーリ大学カンザスシティー校(University of Missouri Kansas City)の
キャロル・マッカーサー(Carole McArthur)氏は「世界中がつながりつつある今日では、ウイルスが
一か所にとどまることはもはや考えられない」と述べた。【翻訳編集】 AFPBB News