80年代後半、都市部の公衆衛生機関はエイズ対抗策として、「安全なセックス」こそエロチックなのだというキャンペーンを開始した。
筋骨隆々とした男性がコンドームを付けてポーズを取ったり、情熱的なまなざしのモデルが
セックスの前にドラッグやアルコールを摂らずに、意識をはっきりさせておくことが大切だと宣伝した。

だがここ数年のあいだ、ある特定の好みを共有するセックスパートナーを求める男性向けに、特殊なオンラインでの出会いの場が作られている。
その趣味というのは、「ベアバッキング(barebacking)[鞍なしの裸馬に乗る、が原義]」とも呼ばれる
コンドームを付けないでするセックスのことだHIV陽性とHIV陰性の男性同士の間でさえ。

非常に驚かされるのは、感染を防御しないセックスを望む男たちを形容する新語がネット上で作られたことだ。
HIV陽性の男性は自分たちを「ギフトギバー」と呼ぶ。HIVという「贈り物」を喜んで与える者という意味だ。
いっぽう、HIV陽性の男性とコンドームなしのセックスを望む人々は、「バグチェイサー(ウイルスを追い求める者)」と呼ばれる。