工藤隆は『古事記以前』で、日本神話の源流にあたるものとして、
中国四川省イ族の創世神話「勒俄特依(ネウォテイ)」を紹介している。

1. 前口上
大昔、上界の勒俄(ネウォ)は太陽と月を中心とする儀礼だった。
一方、下界の勒俄の中心は、雲、神と鬼、雲雀、虎、雄鶏、山と谷、水、蜜蜂、魚、ニシキドリ、竹鶏、猿、暴風だった…

2. 天と地の系譜
大昔、空にも大地にも穴が無く、空も大地もそれぞれが四方に繋がっていた。
空も星も無く、大地も草も無く、中間に霧も無く、周囲に空間も無く、あれも無くこれも無く混沌としていて、煙霧が立ち込めていた…

3. 天地開闢
天と地がまだ分かれていなかった時、上界には四十八体の神が、下界には二十四体の神が住んでいた。
大きな石の板の下には阿旨(アジュ)という蛙神が住んでいて、天と地をわけるために九年と九か月も鳴き騒いだ…