『紙の爆弾』2017年9月号
コイツらのゼニ儲け 西田健
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「薬害エイズ事件」で製薬会社はどう動いたか

 さて、731部隊の復活といえば、誰もが思い出すのが「薬害エイズ事件」でしょう。1980年代後半にかけてHIV(エイズウイルス)の
混入した非加熱血液製剤を使用した血友病患者1800人以上がエイズに感染した痛ましい薬害事件で、731部隊の残党会社だった
旧ミドリ十字が汚染した非加熱血液製剤を販売していました。
 この事件で重要なのは、どうして血液が汚染されていたのかにあります。80年代はエイズ蔓延の初期段階で、アメリカでもキャリア
(感染者)は10万人単位に過ぎません。普通に献血した血であれば罹患する可能性は限りなくゼロに近いはずなんです。にもかかわ
らず5000人中の1800人が感染しました。明らかにおかしな話だったのです。
 何が原因だったのか。その内実をレポートしたのが1997年1月19日放送の「NHKスペシャル『汚染血液は海を渡った』」です。
NHK取材班は、膨大な内部資料から日本に送られた血液製剤用の血が、エイズ患者が集まっていた特定の刑務所だけで作られて
いた事実を突き止めます。つまり、意図的にエイズに罹患させようとしていた可能性が高いことがわかったのです。
 なぜ、そんなことをしたのか。NHKもそこまで踏み込めなかったようですが、答えは簡単ですよ。エイズ治療薬のための「人体実験」。
ここにモラルなき医療ビジネスの怖さがあるのです。
 エイズの治療薬開発で最大の関門となってきたのは、感染するまでのプロセスが未解明だったことにあります。ウイルスが体内に
入り、どのように感染して、いつ発症するのか。多くのエイズ患者は感染するまで気づかないために治療薬開発が止まっていたわけです。
(続く)