マキャベリ

「君主は、自らの権威を傷つける恐れのある妥協は、絶対にすべきでない。
たとえそれに耐え抜く自信があったとしても、この種の妥協は絶対にしてはいけない。
なぜなら、譲歩に譲歩を重ねるよりも、思い切って立ち向かって行ったほうが、
たとえ失敗に終わったとしても、はるかによい結果を生むことになるのが、ほとんどの常だからである。
もしも、正面衝突を回避したい一心で譲歩策を取ったとしても、結局は回避などできないものだ。
なにしろ、譲歩に譲歩を重ねたところで相手は満足するわけでもなく、それどころか相手の敵意は、
あなたへの敬意を失ったことによって、より露骨になり、より多くを奪ってやろうと思うようになるのがオチなのだ。
また、思慮もない単なる譲歩策によって示されたあなたの弱みは、味方になりえた人々をも失望させ、
彼らを冷淡にさせてしまうだろう。
反対に、もしもあなたが、相手の真意が明らかになるやただちに準備をし、たとえ力が相手に劣ろうとも
反撃に出ていたら、敵といえどもあなたに敬意を払わざるを得なくなるのである。
そして、他の国々も敬意を払うようになり、結果としてあなたは味方を獲得することになる」