この文庫の帯に三谷幸喜が推薦文を書いている。
いわく「シェイクスピアやチェーホフを読んで戯曲はつまらないと思ったひとは、ニール・サイモンを読もう!」
正確ではないが、こんな感じだったと記憶している。
困ってしまう。わたしはシェイクスピアやチェーホフならわかるのだが、
このニール・サイモンのどこがそこまでおもしろいのか理解できないのである。
良くも悪くもアメリカ的というのか。軽いのである。吹けば飛ぶような芝居である。
これを軽妙とたたえる観客もいるのだろうが、わたしは物足りなさをおぼえる。
おそらくもっとおもしろい喜劇を知っているからであろう。
イギリスのピーター・シェファー、テレンス・ラティガン、サマセット・モーム
といった劇作家と並べると、ニール・サイモンは大きく見劣りする。アメリカとイギリスの相違なのかもしれない。
イギリスにはなんといってもシェイクスピアがいる。伝統があるわけだ。風習喜劇の歴史も、アメリカにはないものである。

喜志哲雄さんによると「ニール・サイモンの戯曲にはT.ウィリアムズやA.ミラーほどの文学性はない」。