不倫をするような薄汚い女の自己肯定ストーリーなんて大嫌いだと
原作も読まなかったんだけど、テレビ放送で何気なく観たら号泣してしまった。

最初に見た感動を忘れたくないため、その後一度も見返してないので記憶が曖昧だけど、
「結婚生活は幸せだけど、少女の頃に夢みていたものとは違うわ」・・・みたいな内容の
台詞と、メリルストリープの表情が一番印象に残っている。

誰でも子供の頃は、結婚に限らず、自分の将来について色々と想像するけど、
そういう想像の時って、子供は世間知らずだから、ネガティブな要素は思いつかず、
自分が好きな本や、映画の主人公に自分を重ねたり、楽しくて、素敵な夢物語を想像する。

主人公は家族円満で、普通に幸せ。もし戦時中じゃなかったら、彼を選ばなかったかもしれないけど、
たぶん夫を選んだことは後悔していない。
でも、たとえ夫婦であっても完全に分かり合えることのない孤独感や、日常の些細な不満はある。
そんな生活に慣れきった中、彼女は少女の頃に想像したような「理想の彼」と出会ってしまったんだよね。

彼と出会い、内面に触れるたび、もう美しくはない、ただの太ったおばさんの主人公が
外見は変わらないはずなのに、どんどん少女のような初々しい表情になっていく演技がすごかった。
最後は打算でなく、自分の人生に責任を持つため、彼を諦めたのだと思う。(そう思いたい)

私は当時独身だったけど、丁度仕事の理想と現実のギャップに悩んでいて
必要以上に、この映画に思い入れをしてしまったのかも知れないけど、
たぶん結婚を決める時に(彼氏を作る時に)、慎重になれたのもこの映画のおかげ。
やっぱり少女の頃に想像してた結婚生活とは違うけど、主人公のように大幅なブレはないと思う。
だから私は、彼女のように不倫をすることはないと思う。