後年、脚本を担当したロブ=グリエがこの映画の仕掛けについてばらしています。
ただ、手品の種明かしと同じで知ってしまうと意外につまらなかったりしますので、
知りたくない人は読まないでください。

↓以下ネタバレ↓

まず、14さんも指摘されているとおり、黒沢の「羅生門」がモチーフとなっています。
最初に、
1,現在
2,Xの回想(Xにとっての主観的事実)
3,Aの回想(Aにとっての主観的事実)
4,過去(客観的事実→Mの視点)
の4本の脚本が作られ、それらをバラバラにつなぎ合わせて、
最終的な脚本を作ったそうです。
その際に、それぞれの場面が1〜4のどの脚本に該当するのかがなるべくわからないように、
慎重につなぎ合わされ(時間軸の入れ替えも行われています)、
最終的に完成した脚本はダイヤグラムシートを伴う、非常に複雑な物になったそうです
(未見ですが、海外の研究書にはダイヤグラムシートを伴う完成脚本が収録されているそうです)。
さらに、このダイヤグラムシートは一部のスタッフにしか知らされず、
そのため、出演者はしばしば自分が何を演じたらいいのかわからず、
混乱状態に陥ったそうですが、それも全て内容をより効果的にするための計算だったのだとか。
ただ、服装やセットなどは明確に1〜4の脚本で区別されていて、
注意深く見れば、どの場面が1〜4の脚本のどれに当たるのか判別できる仕掛けになっているそうです。
で、ロブ=グリエ曰く「非常に緻密に計算された作品で、曖昧さのかけらもない」のだそうです。