自分だけでなく妻や家族に至るまで、身の回りの人が全て不幸になる。
まして社会的地位、仕事や収入をか云わんや。
自らの全てを投げ棄てる、そんなことは骨の髄まで判り切っている。
・・・・それでもラーラを追って雪原に消えるジバゴ。

そんな女(ひと)に巡り逢ってしまった男、実際には先ずいないんだろうけど
心のどこかでそれを密かに願望している自分がいる、そんな男は多いはずだ。
この映画は男ならば誰でも持っている、この古くさい、だが色あせない願望に
切なくも直接訴えかけてくる珠玉の一篇だと思う。

どうしてジバゴがラーラに走ったのか、ふつう女性に訊いても
「わからない」としか答えようがないはず。
現にヨメもそこが「気に入らない」、「リアリティに欠ける」とも・・
ヨメもまぁいい女だけど、こればっかりは縁無き衆生。