島田「今日、この映画を観て、音というのがいかにヴィジュアルな喚起力を持っているか、を再確認しました。
〔中略〕頭や目で理解するだけではなく、五感全てで感じるように仕向けられているんです。
〔中略〕〔そして、ヴェンダース・ベルリンの空間に〕迷い込んでしまったら、あれはどこだったのかはどうでもよくなって、観客は夢遊していたのか、記憶喪失になっていたということでしょう」
浅田「一種の光であり、いま強調されたみたいに音ですね。ある音調だけが、耳の奥に響き続ける。実際、語られる言葉も大抵は詩みたいなもので、
日常会話とはかけ離れているでしょう。だから、この映画は一種のポエジーであり音楽であり夢であるという感じがするんだな」