「ねるにも最後までチャンスを与えるべきだったんじゃない? 先に危ない芽を摘もうとするよりは、壁にぶち当たったときに助ければいいんじゃない?」

父親にも相談せずに娘を連れ帰ってきた母親に対し、姉が諭すように話をしていた。母親は、黙ってニュースを見ている娘の姿に胸が苦しくなり、「取り返しのつかないことをしてしまった」とパニックになっていた。そんな家族の様子を見た父親は、その日の夜のうちに、娘が最終審査さえ受けられなかったこの欅坂46というグループの運営スタッフに電話を入れた。

「妻が娘を連れ戻してしまったんですが、娘の夢をここで断ってしまうことが正しいことなのか、私にはわかりません。父親として何かやれることがないかと思い、ダメ元でお電話しました」
実直に話す父親の言葉は、胸に迫るものがあった。