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【物語】欅坂46orけやき坂46の小説 ★3【エロも可】
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0001名無しって、書けない?(やわらか銀行)2018/03/11(日) 09:17:32.61ID:b3/LyH/X0
素人レベルからでも投稿できる小説スレです 
ただし投稿作品に対するすべての中傷は禁止です 

投稿者は多大な時間と労力をかけて 
作品を投稿していますのでご協力をよろしくお願いします 

この度小説スレと原案ありスレを統合しました 

以下は原案ありの簡単な説明です 

インスパイア、オマージュ、パロディ、パクリ、何でも結構です。 
その原案も小説、戯曲、映画、テレビドラマ、マンガ以外にも、ルポルタージュやテレビのドキュメンタリーとかでもかまいません。 
テーマだけでもOK、冒頭だけでもOKです。 
少しでもかすったから原案ありだと書いた当人が主張するのなら、そう見なしてあげましょう。 
「『パクった』と言ってるけどさ、全然パクってなく、それはお前のオリジナルじゃん」という非難はやめましょう。 

あとは作家さん各々の良心に従い思うままに書いてください 

最後に、このスレの投稿される作品はすべてフィクションであり 
実在する人物や団体や建物等との関係は一切ありません 
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0442名無しって、書けない?(千葉県)2018/05/06(日) 13:41:54.47ID:PYUhGWkH0
だから好きシリーズで思いついて書けたのはここまで...あとは誰かお願いしますと
庭さんチワンさん大阪府さんの御三家にギブアップな僕。
0443どうして彼女は泣いている?(千葉県)2018/05/06(日) 13:50:20.27ID:PYUhGWkH0
友香が突然僕の家に来た。
そんなことは滅多にない。
だから「どうしたの?」と
部屋に招き入れて聞いた。
すると「...」黙って
泣き始める友香。
綺麗な瞳から溢れる涙を
僕はティッシュで拭く。
「私ってキャプテンに向いてないよ」
涙を流し続けながら友香は僕にいう。
「向いてるよ。」
僕は友香をそっと抱きしめる。
胸のあたりがそっと暖かくなる。
「ありがとう。」
僕の胸の中で友香は笑んだ。
0444名無しって、書けない?(千葉県)2018/05/06(日) 13:51:10.14ID:PYUhGWkH0
メンバーが涙を流す瞬間だけにフォーカスしたオムニバスです。
0445名無しって、書けない?(庭)2018/05/06(日) 14:04:53.86ID:7INGb+Caa
千葉県さんがご乱心や〜w
0446千葉県さんのあらすじの理佐ちゃん 第1話(庭)2018/05/06(日) 20:39:16.73ID:7INGb+Caa
「理佐ちゃん帰るよ〜」
授業終わりと同時に幼馴染みの理佐ちゃんが居る隣の教室に駆け込む俺

「ごめ〜ん、今日は先に帰ってて」
謝りながら俺を拝む世界一可愛いと評判の理佐ちゃん

「マジで・・・」
理佐ちゃんと帰れないショックに落ち込む俺

「いちいち落ち込まないでよ」って苦笑いする理佐ちゃん

「ちぇっ、いいよ僕君を誘ってゲーセン寄ってくから」

理佐ちゃんに強がり言って親友の僕君をゲーセンに誘う俺

「俺君悪い、ちょっと今日は無理なんだ」
なんて理佐ちゃんの方をちらちら見ながら俺の誘いを断る僕君

「なんでだよいいじゃん、行こうよ〜」って駄々こねて僕君を困らせる俺に

「駄々こねてんじゃねーよ」ってドス効かす理佐ちゃん


「ちきしょう!高校入学以来続けてた理佐ちゃんと一緒に登校下校の連続記録が途切れたよ!」
叫びながら川に向かって石を投げる傷心な俺

「俺君何やってんだよ」
なんて俺の誘いを断った僕にが通りかかる

「理佐ちゃんとの連続登校下校記録が途切れたからヤケおこしてんの」
再び川に石を投げながら答える俺に

「それは悪いことしちゃったね」
謝りながら石を投げる俺の横に座る僕君

「なんでお前が謝るんだよ?」って不思議顔の俺

「渡邉さんに告白したんだ、たった今・・・」って呟く僕君

俺の親友の僕君に告白されてる理佐ちゃんだから好き
0447千葉県さんのあらすじの理佐ちゃん 第2話(庭)2018/05/06(日) 20:43:24.77ID:7INGb+Caa
「えっ・・・!?」
理佐ちゃんに告白したって僕君の言葉に驚きの悲鳴あげる俺

それと共にコントロールを失った石が釣りしてるオッサンの頭に直撃だ

そしてオッサンにボコボコにされる俺

「ごめんよ俺君」って川原に倒れる俺に謝る僕君

「それどっちに・・・?」って身体の痛みに耐えながら聞く俺

「どっち・・・?」
俺の質問に戸惑う僕君

「お前のせいで釣りのオッサンにボコられたことを謝ってんのか、俺が世界で一番大切にしてる理佐ちゃんに告ったことを謝ってんのか聞いてんの〜ひぃ痛い」って泣きが入る俺

「渡邉さんのことなら逆に俺君に謝ってもらいたいよ、幼馴染みだからって絶対に贔屓目で見られてるだろ」
俺から目を反らし絞り出すように話す僕君

「何を言ってるか分かんねえんだけど・・・」って僕君の言ってる意味が分からず戸惑う俺

「俺君みたいににぶい奴のどこがいいんだよ!」
なんて石を川に向かって投げる僕君

どうやら僕君を振って俺を選らんでくれた理佐ちゃんだから好き
0448千葉県さんのあらすじの理佐ちゃん 第3話(庭)2018/05/06(日) 21:13:00.52ID:7INGb+Caa
「何その顔!?」
傷だらけの俺の顔見て悲鳴あげる理佐ちゃん

夕飯食べて幼馴染みの理佐ちゃんに遊んでもらおうと理佐ちゃんの部屋にやって来た俺

「やっぱり私が一緒に居てあげないと危なっかしいな」
なんて言いながら俺の傷に絆創膏貼ってくれる嬉しそうな理佐ちゃん

「なんか嬉しそうだな・・・」って呟く俺

「そんなことないよ、心配してあげてるよ」
なんて本当は俺の世話やくのが嬉しいくせにとぼける理佐ちゃん


「はい、もういいよ」
俺の顔に絆創膏貼り終わり満足気な理佐ちゃん

「さっきまで僕君と一緒だったんだ」
理佐ちゃんの部屋に置いてある鏡で絆創膏の出来映えを見ながら呟く俺

「まさかその怪我・・・僕君に・・・?」
息を呑む理佐ちゃん

「いや、これは釣り人のオッサンにボコられただけ」って首を振る俺


「バカだな・・・」
なんて俺の怪我の原因を詳しく聞いて呆れる理佐ちゃん

「バカは理佐ちゃんだよ、あんな良い奴を振って俺みたいなダメ男を選ぶなんてさ」って理佐ちゃんを見つめる俺

「しょうがないじゃん、小さい頃にずっと一緒に居てねって俺君に言われちゃったんだから」って笑う理佐ちゃん

「俺、そんなこと言った?」って忘れてる俺

「忘れてんじゃねーよ」って笑顔でドス効かす理佐ちゃん

「俺君が忘れても私は一生忘れないからね、嬉しかったから」
なんて照れ笑いする理佐ちゃんだから好き
0449名無しって、書けない?(千葉県)2018/05/06(日) 21:25:30.95ID:PYUhGWkH0
>>446
おお!ありがとうございます!
0450STARMANN(千葉県)2018/05/06(日) 21:31:24.34ID:PYUhGWkH0
真夜中の電話が歌いだす。
僕はベットの中で目を擦りながら
その電話をとる。
「いまからあの公園に来て。」
返事を待たずに電話は切れた。
仕方なく僕は藍色のカーディガンを手に
部屋を出た。
彼女は公園のすべり台をじっと見つめていた。
「どうしたの?」
僕は手でメガホンを作って彼女に話しかける。
「うち、死ぬかもしれん。」
「何それ?」
悪い冗談だ。僕はそう思った。
午前二時の公園は僕ら以外誰もいない。
まるでこの世界には僕ら以外
誰もいないんじゃないか?と思うくらい
静寂だった。
「私此の前入院したでしょ?」
彼女は半年前、教室で突然意識を失い
大学病院に入院した。
「あの時言われてん。脳の病気だって。」
ーoh......no!ー
彼女は関西人でお笑いも好きだ。
だからそんな下らない洒落を言って
笑わそうかと思ったが
下手な関西弁を使って喋ったあの時の
ように低い声で怒られかねない。
0451STARMANN(千葉県)2018/05/06(日) 21:32:14.77ID:PYUhGWkH0
彼女の透き通るような白い肌が
蛾のまとわりついた蛍光灯の下で照らされる。
彼女は青いペンギン柄のパジャマを着て
小刻みに震えていた。
僕はカーディガンを脱いで
彼女の肩にかける。
「ありがと...。」
消え入りそうな声で彼女は礼を言う。
「だからな。うちの夢あんたに託したいねん。」
しばらくしてから彼女墨をぶちまけたような闇の中を手探りで告げた。
「へ?」
僕は彼女の顔を見た。
彼女は真剣な眼差しを僕に向けた。
「あの夢を?」
黙ってうなづく。

小さい頃見ていたお笑い番組の影響から
彼女はお笑い芸人を目指していた。
「それはみぃちゃんが...」
「うちにはもう無理なの。」
噛み締めた唇には血が滲んでいた。
「だからお願い。無茶だとはわかってるけど。」
彼女の柔な手が僕の手に重なる。
僕は黙って頷いた。
0452STARMANN(千葉県)2018/05/06(日) 21:32:58.81ID:PYUhGWkH0
「では、お願いします。」
ショルダーバッグのガムテープが踊る。
ADは忙しそうに出番を告げる。
「はいよ。」
僕は台本を置いてバッグの中から
スマホを取り出す。
そこには黒髪のショートヘアに青のペンギン柄のパジャマを着、ピースサインをする彼女の姿があった。
あの日、撮ったものだ。
僕はその画像を何年もロック画面に
していた。
スマホを仕舞うと立ち上がって
控え室を出た。
あれから何年の時が立っただろう?
TMCの狭い廊下を歩きながら
ふとそんなことを考えた。
「お願いします!」
スタジオの扉を開きながらADが
僕に頭を下げる。
「宜しく。」
呼吸を整えて見渡すスタジオ。
今日は観覧客もいる。
今年でMC2年目のバラエティ。
あの時の彼女と同じ目をした少女が
たくさんいる。
僕は席につくとその少女たちに
「宜しく〜」と挨拶する。
少女たちはバラバラに「お願いします」
と挨拶を返す。
「どうせなら揃えろよ!」
立ち上がって僕は言う。
「そうだぞ」
学級担任のようにのっそりと隣に座る
男性は同調する。そんなとき。ADはスタジオにそろそろ始めまーすと断って「じゃあ、本番5秒前4、3、2、」と言って手を差し出す。すると僕は番組のタイトルを叫ぶ。
0453名無しって、書けない?(千葉県)2018/05/06(日) 21:39:53.09ID:PYUhGWkH0
Virtual Insanityの続編も同時並行で書くべきか...
0454名無しって、書けない?(千葉県)2018/05/06(日) 21:51:40.70ID:PYUhGWkH0
理佐ちゃんと付き合える俺君がひたすら羨ましい僕。
0455名無しって、書けない?(千葉県)2018/05/06(日) 21:57:26.03ID:PYUhGWkH0
66dbなゆいぽんフラッグを立てろなおだなな
そしてSTAR MANNなみぃちゃん。
忘れた頃にこのシリーズは書こうか...
0456千葉県さんのあらすじの理佐ちゃん 第4話(庭)2018/05/06(日) 22:45:00.96ID:6s0XjXioa
「東京の女子大に行くだ〜」
理佐ちゃんの部屋で勉強中に理佐ちゃんの放った一言に思わず手を止める俺

「おいおい、彼である俺になんの相談もなく決めちゃったのかい」って文句な俺

「うるさ〜い、付き合い始めたからっていきなり彼氏面しないでよ」
なんて言い返してくる気の強い理佐ちゃん

「だって彼じゃん」っていじける俺

愛しの理佐ちゃんが強気に出てくる以上いじけるしかない無力な俺なのだ・・・

「ほら、いじけてないで勉強して」
教科書を広げて俺を促す理佐ちゃん

「理佐ちゃんと同じ大学に通うためだけに進学しようとしてたからモチべ上がんね〜」
なんて全然やる気出ない俺に

「そんな理由で進路決めてんじゃねーよ」ってドス効かす理佐ちゃん

「俺君の気持ちは嬉しいけどさちゃんとした目的持って大学行きなよ」って俺を諭す理佐ちゃん

「俺の目的なんて理佐ちゃんとずっと一緒に居ることだからなぁ」ってなげやりなどうしようもない俺

そんな俺にため息の理佐ちゃん

「ねぇ、東京の大学に進学したらさ、一緒に暮らしたいんだけど・・・」って呟く理佐ちゃん

「なんですと!?」って大胆な理佐ちゃんの呟きに驚愕する俺に

「それでも・・・やる気出ないかな?」
なんて恥ずかしそうに聞く理佐ちゃんだから好き



0457名無しって、書けない?(庭)2018/05/06(日) 22:48:33.29ID:6s0XjXioa
>>456
千葉県さんのあらすじではまだ先があるのですが
理佐ちゃんとは幸せな妄想しか出来ないのでここで完結してしまいましたw
0458名無しって、書けない?(庭)2018/05/06(日) 22:52:38.26ID:6s0XjXioa
>>453
思いつくままどんどんお書きなさいw
0459名無しって、書けない?(大阪府)2018/05/06(日) 23:17:20.85ID:yP9qb4Cq0
>>458
何か占い師口調w
0460名無しって、書けない?(広西チワン族自治区)2018/05/06(日) 23:31:12.11ID:b4UqReTaK
昔々、『YMO』という一世を風靡した3人組のバンドがありまして、数年の活動の後にいったん解散(散開)したんですが
しばらくしてからそのうちの2人、細野さんと高橋さんが再び組んで『スケッチ・ショウ』というユニットを始めました。
このユニットは高橋さん主導で細野さんを誘う形で始まったそうなんですが、
その時に細野さんが高橋さんにこんなようなことを言っていたと記憶しています。
『今、幸宏(高橋さんの名前)の中から出てくるものがあるのなら、今、それを音にするべきだ』

要するにこの言葉を千葉県先生に捧げたいってことです(笑)
クドすぎ(笑)

ちなみにこのユニットにはYMOの残り1人の坂本さんも間もなくゲスト参加するようになり
そのまま発展して結局YMO再結成になり、現在に至ります。
という完全にスレチ(笑)

>>404
それを書いたあとに理佐ちゃんに「大久保佳代子似とか言ってんじゃねーよ」ってドス効かされたので
蒸し返さないために教えない(笑)
0461名無しって、書けない?(茸)2018/05/07(月) 09:34:19.80ID:N7jykqm0d
>>460
ありがとうございます。高橋幸宏のつもりで頑張ります(そうじゃない)
0462Virtual Insanity(4) (茸)2018/05/07(月) 10:03:10.03ID:N7jykqm0d
「今日牛角で偶然理佐に会ったんだ」
焼肉くさいシャツを脱ぎながら
梨加に言った。
僕と梨加は大学に入ってからすぐ
同棲を始めた。
「へぇ。理佐ちゃんかあ。」
梨加はアオコを手のひらで触りながら
感慨深げに言った。
「梨加によろしくって。」
「そうなんだ。」
嬉しそうにアオコを抱きしめる。

僕は明かりを消してベットに潜ると先に横たわっていた梨加に抱き着いた。
梨加は「どうしたの?」と僕の腕を
撫でながら言った。
僕は何も言わずずっと梨加を抱きしめていた。
「いい匂い。」
梨加の髪に鼻を寄せる。
「恥ずかしい。」
小声で呟いた。
「なんか色々思い出しちゃった。思えばあの時梨加が居てくれなかったら」
「うん。」
ただ黙って僕の言葉を聞く梨加。
僕は追憶に浸った。
0463名無しって、書けない?(茸)2018/05/07(月) 10:05:56.73ID:N7jykqm0d
Love tripという曲がAKB48にあるんですが書きながらふとそれを流すとぴったりハマりました。なのでvirtual insanityからLove tripに改題しようかなんて
0464名無しって、書けない?(広西チワン族自治区)2018/05/07(月) 12:56:52.81ID:v04z+/vHK
>>463
どうも、細野です(←乗ってみた)

読者の方が混乱しないような配慮がちょっとあれば改題は全く問題ないと自分は思います、とマジレス

LOVE TRIPはTVドラマの主題歌として作られた曲なので、余計に物語とかに親和性高いんですかね

個人的にはこの曲の披露を見るたびに
センターのあの人の歌い出しが微妙に音が外れてるのか
いや外れてないのか
いやいややっぱりちょっと外れてないか
でもひょっとしたらもともとこの微妙な音階で作曲された難曲なのか
といろいろ考えさせられる曲です
というスレチ(笑)
0465名無しって、書けない?(catv?)2018/05/07(月) 14:27:57.16ID:3l1KcXaf0
>>464
あの人って歌が上手いのか下手なのか聞く度に考えるんですよね。でもこの曲の場合は青春がメインテーマなので多少下手でも青春ぽさがましていいんじゃないでしょうか。
と高橋幸宏的に思います(笑)
0466名無しって、書けない?(庭)2018/05/07(月) 14:29:45.57ID:rZF8iZdja
なにを隠そう俺の書いてた「時をかける理佐ちゃん」はLOVE TRIPが主題歌だったドラマなんですよね
0467茜空(千葉県)2018/05/08(火) 00:10:49.70ID:dMFuZnpy0
軍曹の眼(まなこ)は青い海が広がっていた。
僕は横でそれを見ながらポケットを探る。
こういう時に手際のいい奴に僕は
なりたい。しかしそう上手くは行かない。
「はい。」
指先が白く光り出した頃にハンカチを
差し出す。
僕らがいま歩いているのは
住宅地の広がる狭い道。
ここを5分位歩くと、大通りに来る。
軍曹はその大通りに出て信号が青に
変わるまでハンカチで目を覆っていた。
僕はただそれを見ている事しか出来ない。
肩は震え、何時もは男の僕よりも
幾らか頼りになる黒いブレザーの背中も
いまは少女のようにか細く見える。
「Denny’sに寄ってく?」
ハンカチで目を覆う女子高校生と
それをおどおどと見詰める男子高校生。
いますれ違った
葱の飛び出た買い物袋を持った
中年女性はきっと僕らが恋人同士だと
思っただろう。
軍曹は何も言わず頷いた。
冬を告げる黄昏時の風は冷たい。
頬を切るように通り抜ける。
彼方では赤く燃え焦がるような空に
埋められている。
0468茜空(千葉県)2018/05/08(火) 00:13:09.77ID:dMFuZnpy0
暖房の効いた空気が体を包み込む。
4人がけのボックスシートは
いつもより広く感じる。
軍曹はハンカチをポケットにしまった。
「なんか...ごめん。」
すっかり脆弱な女の子になった
軍曹は小さく言った。
「いや、別に」
僕はメニューを見渡して通りすがりの
恋人たちを思った。

「んー。美味しい。」
軍曹は細い銀のスプーンでクリームを掻き出して言う。
最初は太る。とか夕食が。とか
心配してドリンクバーだけを頼んでいたが僕がチョコレートサンデーを食べているのを見て、軍曹は我慢しきれず
チョコレートサンデー。の隣にある
ストロベリークリームパフェなるものを頼んだ。
期間限定!とか栃木県産とちおとめ使用に惹かれたらしい。
ガラスの器とスプーンが嬉しそうに
音楽を奏でる。
さっさとストロベリークリームパフェを食べ終えた軍曹はまだ半分残っている
0469茜空(千葉県)2018/05/08(火) 00:14:00.90ID:dMFuZnpy0
僕のチョコレートサンデーを
じっと見つめた。
「食べる?」
僕はサンデーの器を差し出して聞く。
「良いの。」
軍曹は先程の表情とはうってかわって
ガラスの破片のようにキラキラとした
笑顔を僕に向けた。

数分後。軍曹の猛攻によりパフェは
無くなってしまった。
僕はカラになった容器を前に、ただ
沈黙するしかなかった。

午後六時。僕らは店を出た。
歩いてすぐの通りにある信号を待つ間
軍曹は「ハンカチ明日返すから。」
とハンカチをひらひらさせて笑った。
「わかった。」
「じゃあね。」
僕らはその通りで別れた。
僕は右に行き、軍曹は左に行く。
そしてしばらく歩いてからふと
空を見た。
そこには燃えるような茜空が広がっていた。
しばらく僕はそれに見蕩れていた。
0470名無しって、書けない?(広西チワン族自治区)2018/05/08(火) 12:30:50.53ID:bu1xqInEK
>>469
メニューやフェアの紹介だけじゃなくて、こういうストーリー性を持ったファミレスのCMがもっとあってもいいのになあと強く感じてしまいました
絶対いいと思うんだけど

大阪府先生のあの名作シリーズのイメージも彷彿とさせる爽やかさが好きです

…ところで話変わって
昔紹介したことのある妄想作家田島芽瑠先生の連載が始まるらしいのでご紹介
http://www.shosetsu-maru.com/node/469
小説じゃなくて書評ですけどね
0471hidamari(24-1) ◆pZLaUoYPXc (千葉県)2018/05/08(火) 17:21:21.39ID:dMFuZnpy0
発売されたばかりの推理小説を
読み終えた織田奈那はカウンターの
デスクへと乱暴にその推理小説を置く(それが乱暴な造作だと本人は考えては居ないらしい)。
ここは放課後の図書室。
自習をするものが数人と、おしゃべりをする数人いる。僕らは図書委員で、
今日は当番の週だった。
織田奈那もまた図書委員で伸びをしたあとで最近ゆいぽんがなにかに悩んでいる様だと僕に告げた。僕はたじろいで
「何かって...ゆいぽんっていつも何かしらに迷ってるような表情してない?」と言った。すると、「違う違う。微妙に違うの。」
0472hidamari(24-2) ◆pZLaUoYPXc (千葉県)2018/05/08(火) 17:22:13.12ID:dMFuZnpy0
織田奈那は僕に顔を近づけ、声高に反論した。
僕はその勢いに気圧され、「あっそうなんだ。」としか言えなかった。
「聞いてみたの?」
「聞けるわけないでしょ。しかも聞いても言ってくれるわけないでしょ。」
織田奈那はブラインドがかかった図書室の窓を見た。空はブラッドオレンジの果肉を垂らしたみたいに紅く、その下で部活の生徒が走り回っていた。
織田奈那は考え事をしているようで何も口にしなかった、ただその目の先にはサッカー部の生徒とブレザーを着てスカートをおった生徒が親しげに何かを話している姿を捉えていた。
「もしかして...好きな人でもいるのかな。」何故か淋しそうにそう呟いた。
「へぇ。」僕は微かにそう返す。
そんなとき扉が開いた。
僕らは息を飲んだ。
扉を開けたその生徒は茶色のポニーテールに八重歯を覗かせ、泣きそうな目をしていた。
「ゆいぽん...」僕と織田奈那はつぶやく。
ゆいぽんは不思議そうな顔をしてから僕らに「なに?」と訊いた。
0473hidamari(25) ◆pZLaUoYPXc (千葉県)2018/05/08(火) 20:28:01.84ID:dMFuZnpy0
「ちょうどゆいぽんの話してたの」
図書室には似合わないんじゃないかって位の興奮した声でオダナナは言う。
私は汗のついた手を後ろに隠して
「そろそろ終わりでしょ?」とオダナナとあの人に言った。二人は顔を見合わせた。
「まぁ、ゆいぽんが言うなら終でいっか。」オダナナはそう言って立ち上がった。あの人もそんなオダナナを見ながら、少し恥ずかしそうにはにかんだ。
それを見ていたらまた胸がとん。と音を立て拍動した。

「友情という名前のシンドローム」と歌ったのはなんていうグループだったっけ。私の好きな歌だ。しかし、最近はその曲を意識的に遠ざけてしまう。
そんな曲を歌うグループを思い出す。たしかピタゴラスイッチみたいな名前だった。
だけどなんか違う気がする。でもまぁいいか。
そんなことに思いを巡らしながら、自転車を取りにゆくオダナナの背中を見る。オダナナは男性ホルモンが人より多いのではないかと幾度も思った。
0474hidamari(26) ◆pZLaUoYPXc (千葉県)2018/05/08(火) 20:29:34.86ID:dMFuZnpy0
「今なんか悩みでもあるの?」
私はおそるおそる由依に聞く。
由依は黙ってうなづき、遠くの夕空を見た。そして暫く沈黙した。自転車の車輪はカラカラと空虚に音を立てて回る。
年季の入ったハンドルを握る私の指先はいつの間にか力んで白くなっていた。なぜか、いつもよりハンドルは重みをましていた。

先程まで一緒に居た彼は途中の交差点で別れた。遠慮がちに手を降る彼。由依はそれを一瞥してすぐに私の顔をみた。
そのときの顔は今まで私が見たことがない顔だった。
その時なんとなくいまの由依が抱えるものを理解した。だけどなんとなく不安になって訊いてみたのだった。

「まぁ言うわけないか。」静寂に耐えきれなくなって私は笑いながら言う。すると由依は私を悲しそうな瞳で見た。
「ごめん。そんなわけじゃ。」由依はリュックのショルダーバッグをぎゅっと握る。そして瞳からは静かに涙が流れた。
茜空はやがて色が濃くなり、濃紺の夜空へ変わってゆく。私はそれを頭に思い浮かべていた。
0475名無しって、書けない?(庭)2018/05/08(火) 22:00:24.06ID:YUDGx+ona
乙でありますm(__)m
0476名無しって、書けない?(広西チワン族自治区)2018/05/08(火) 22:17:41.37ID:bu1xqInEK
>>474
どんどん気になる展開になっていきますね
ゆいぽんの涙には何かぐっとくるものがあります

ただ、物語の最初に出てきた「織田奈那」をマジで「藤田奈那」に空目した自分はもうダメかもわからんね(笑)
0477名無しって、書けない?(千葉県)2018/05/08(火) 23:55:20.61ID:dMFuZnpy0
Hidamari、だいぶ前に張った伏線がようやく回収できた。
0478hidamari(27) ◆pZLaUoYPXc (千葉県)2018/05/09(水) 01:37:43.99ID:6QGYsC4N0
オダナナは黙って、
ポケットティッシュを渡してくれた。
私は掠れるような声で
「ありがとう」と言うと頬に流れたものを拭った。なぜこんな事になったのか。
自分でもよくわからなかった。そして。
なぜかあのときから自分がより虚弱な人間になっているような気がする。
恋とはつまりそんなものらしい。

「ほら。」
コーラのペットボトルをオダナナが
くれた。私が涙を拭っていた間自販機
まで行ってわざわざ...。
オダナナがイケメンだと言われる理由が
わかった気がした。
だけど私はコーラが苦手だ。
そこに気づかずコーラを買うのもまた、
オダナナらしい。
「あのね...」
私はオダナナを見る。
オダナナは少し心配そうな目をしている。
意を決して私はそんなオダナナに言う。
「わたし...」
0479hidamari(28) ◆pZLaUoYPXc (千葉県)2018/05/09(水) 01:58:23.38ID:6QGYsC4N0
手元にあるポケットティッシュを
ぎゅっと握って由依はまっすぐ私をみて
言った。
「わたし、好きな人がいる」
風が私の真後ろで通り過ぎる。
台風が近づいているらしい。
気象予報士がテレビで言っていた。
私は「知ってるよー」と笑った。
すると由依は驚いたような顔で
「嘘...」と言ってまた俯いた。
「いや由依、結構わかりやすいって言うか。」
なぜ私がしどろもどろになるのか?
歩きながら余計なことを言わなければ
よかった。なんてことを考えた。

「で、その好きな人は...?」
「あの...いつもオダナナと図書室にいる...」
「ああ。やっぱり。あやつか。」
「わかってたの?」
「うん。なんかささっき別れる時の目でね。なんとなく。」
「そっか...。」
「告白してみればいいじゃん。」
「ずみこにも言われたんだけどね。なかなか今までの関係が崩れるのが怖いの。」
「でもさ。どうせ卒業だよ?崩れるの覚悟で言ったら?その方がいいよ。」
「うん...」
由依はまた逡巡しているようだった。
私はそんな由依としばらくそばにいることにした。
0480hidamari(29) ◆pZLaUoYPXc (千葉県)2018/05/09(水) 01:59:58.13ID:6QGYsC4N0
「遅かったね。」
家に帰るといくちゃんがわが物顔で
出迎えてくれた。
「あれ。なんで。」
いくちゃんを指さす。
「あのね。さっきまでお姉さんと一緒にいたんだけど急患で出ていったの。私はお留守番。」
「そうなんだ。」
「これでなんか食べてってさ。」
いくちゃんは樋口一葉を指先でひらひらさせる。
「どっか食べに行こうか。」
「そーだね。」
いくちゃんは椅子に掛けたクリーム色のコートを羽織った。

「どこいこうか。」
いくちゃんの手を握って僕は訊く。
「あそこでいいんじゃない。」
いくちゃんはニコニコしながら今まで言ったことがないかなり高めの焼肉屋を指さした。
0481hidamari(29) ◆pZLaUoYPXc (千葉県)2018/05/09(水) 02:01:09.99ID:6QGYsC4N0
僕は咳をしながらいくちゃんに
「行けると思う?」と言った。
いくちゃんは「...だよね。」とため息をついた。
結局のところ、僕達はいつも行っているファミレスに行くことにした。
席に案内されてから、いくちゃんに
「ねぇ、今日いくちゃんの親はいないの。」
「そう。いないの。なんかね、お母さんはピアノの大会でお父さんはアメリカで会議で2人とも来週まで帰ってこないの。」
いくちゃんはメニューをめくりながら
答える。
「今日は...?」
「今日って?」きょとんとした顔で僕を見る。
「僕の家に。」
いくちゃんは頬を膨らませながら
「んー。どうしよっかー。」
と腕を組みながら考えていた。

するとそこに聞きなれた声が響いた。
僕はいくちゃんと顔を見合わせて
その声の方を見る。
そこにいたのはオダナナとゆいぽんだった。
0482hidamari(30-1) ◆pZLaUoYPXc (千葉県)2018/05/09(水) 02:02:12.81ID:6QGYsC4N0
「お腹空かない?」
大通りまで歩いた時にオダナナはふと
そんなことを言った。
「そうだね。」
私はお腹を摩ってオダナナを見る。
私たちは近所のファミレスによることにした。
今思えばそれが良くなかった。
私たち以外にもこの時間帯には
何人もお客さんがいた。
もう、午後6時だ。
ちょうど混み始めるころだ。
オダナナは席につくと、すぐに
「あ、家に連絡しとかなきゃ。」
とブレザーのポケットから
iphoneを取り出して恐ろしく早い速度で
フリックしていく。
私がそれに驚いていると、オダナナは
「由依もうちに...いいの?」
と聞いた。
「あ、そうだ。」
すっかり忘れていた。
私もiphoneを取り出して
LINEを開いた。
0483hidamari(30-2) ◆pZLaUoYPXc (千葉県)2018/05/09(水) 02:03:05.92ID:6QGYsC4N0
なんでだか知らないけど今日の
オダナナはいつにも増してうるさい。
私はオダナナといるのが段々、
恥ずかしくなってきた。
オダナナにも何回か注意した。
だけど注意してまたすぐ声が大きくなる。
私は周りを見渡した。
すると、そこに、いた。
私たちの席からすこし離れたボックスシートに、いくちゃんとあの人が居た。
私はあの人といくちゃんと目を合わせたまま固まった。
どちらも鳩が豆鉄砲食らったような顔をしている。
オダナナは私が固まっているのをみて、
「ん?」と聞いて目線の先を見る。
「ああ。」オダナナはやってしまった。
という顔をして、私と向こうの席を見ていた。
0484hidamari(31) ◆pZLaUoYPXc (茸)2018/05/09(水) 08:07:29.11ID:JCxjq2Jzd
目があった瞬間、急に恥ずかしくなった。
どうしてだろう?私にも分からない。
向かいに座るあいつはゆいぽんたちと目を合わせたまま固まっている。
私もそうだ。
暫く無言の時間が続く。
音楽も喧騒も消えてしまったようだ。
「あ。そっちうつっていい?」
オダナナがグラスを片手に大声で聞く。
私はあいつと顔を見合わせて、
うなづいた。

「偶然!」
オダナナは氷の溶けたコーラが入ったグラスを手に近づく。
ゆいぽんはその後ろですこし恥ずかしそうにしている。
その理由はだいたいわかる。
4人がけの席。
私の隣にオダナナが座り
立ちすくむゆいぽんにオダナナが
あいつの隣を指さして、そっちすわりなよ。と言う。
ゆいぽんはうん。というと、
あいつにすこし頭を下げて
遠慮がちに隣へ座る。
0485hidamari(32-1) ◆pZLaUoYPXc (茸)2018/05/09(水) 08:59:20.28ID:JCxjq2Jzd
「もしかして2人付き合ってるとかー?」
おだななは思いっきりニヤニヤしながら
きいた。
僕はいくちゃんを見る。
「そーだよ。」
満面の笑みを浮かべいくちゃんは
笑った。
「え...まじ?」
目を丸くして僕とおだななは言う。
「いやなんであんたが驚くの」
おだななは怪訝そうに言う。
「いや。あのまさか言うとは」
「言っちゃダメなの?」
いくちゃんは頬を膨らましそっぽをむいた。
「あ、いや。」
「そうなんだ。」
0486hidamari(32-2) ◆pZLaUoYPXc (茸)2018/05/09(水) 09:00:36.71ID:JCxjq2Jzd
由依は少し淋しそうな顔をした。
僕はその理由を知りたくて少し咳をしながら由依に訊いた。
「どうしたの。なんか悲しそうな顔をしてるけど。」
「なんでもないの。」
すると由依は突然立ち上がって
「なんか体調悪いみたいだから先帰るね。」と言いおだななを置いて帰ってしまった。
「え。ゆいぽん嘘でしょ。」
いくちゃんの横に座るおだななは
慌てて立ち上がって由依を追いかける。
いくちゃんも由依を追いかける。
僕は1人になった。
0487hidamari(33) ◆pZLaUoYPXc (茸)2018/05/09(水) 09:02:25.18ID:JCxjq2Jzd
ベルが忙しなく2回揺れている。
頬にガソリン臭い風が切って駆ける。
「由依。」
不意におだななが私の手を掴んだ。
「ごめん。」
おだななに背を向けている。
私は今おだななの方を向いたら泣いてしまうだろう。
「ごめん。」
おだななの手を振り払って私は家までの道を歩き出す。
乾いた濃紺のブレザーの袖は濡れてゆく。
真横の県道を走る車たちは
私を無視してどこかへ走り去る。
おだななの気配はしない。
きっとあのファミレスに戻ったのだろう。
気がつけば嗚咽していた。
如何して。理由はわかっていた。
だけど、いまはなにも考えたくない。
0488hidamari(34-1) ◆pZLaUoYPXc (茸)2018/05/09(水) 09:03:57.07ID:JCxjq2Jzd
「なんか風邪っぽいみたい。」
おだななは戻ってきて何時になく
深刻そうな顔で告げた。
「大丈夫かな。」
氷の溶けて、薄くなったコーラを飲んでいくちゃんは言う。
僕はただ相槌をうって空になった席を
見た。

「あのね。」
おだななはそう言いかけて口を噤んだ。
「いややっぱやめとこ。」
おだななは濡れたグラスを持ち上げた。
「なんか気になる。」
そう言われたら俄然気になるのが人間。
いくちゃんは身を乗り出す。
「いやー。あー。」
おだななは空をみる。
0489hidamari(34-2) ◆pZLaUoYPXc (茸)2018/05/09(水) 09:05:01.89ID:JCxjq2Jzd
「んー。まぁいっか。あのね。」
おだななは僕といくちゃんを交互にみる。
「あんま言わないでよ。」
前置きするおだななの顔を何時になく真剣だった。
「...うん。」
僕といくちゃんの返事がシンクロする。
「実はさ。好きなんだよね。ゆいぽん。」
そう言いながらおだななは僕を見る。
「僕?」
おそらく僕は相当間抜けな顔をしている。
「えっ、好きって。」
いくちゃんはおだななの顔をじっと見る。
「なんでそれを言う?」
僕はおだななを見る。
「だから止めとこうかと」
おだななは模様の刻み込まれたテーブルを睨む。
「えーっとゆいぽんが好きってこと?」
いくちゃんは僕を指さす。
「そういうこと。」
おだななは頷く。
「それ言っちゃダメだと思う。」
いくちゃんは少し顔を顰める。
「...だよね。」
おだななは申し訳なさそうな顔をした。
なぜだか僕は胸が締め付けられた。
0490hidamari(35) ◆pZLaUoYPXc (茸)2018/05/09(水) 09:06:45.53ID:JCxjq2Jzd
家までの道。僕といくちゃんは
なんとなく手をつなぐ。
それは何回となく、していたこと。
しかし今回は違う。
いくちゃんの手の力がいつもより強い。
首筋には汗が垂れる
そしていくちゃんは何も言わない。
「……なんか驚いたね。」
僕はぽつりと呟いた。
「そういえば泣いてた。」
いくちゃんはぽつりと呟く。
「おだななが追いかけてるの後ろから見てたけどドア開けた瞬間袖で目を覆ってたから。」
「そうなんだ。」
「でも私は離さないから。」
いくちゃんはまた強く手を握る。
でも。の理由はわからないが
僕はいくちゃんの手を黙って握り返す。
0491hidamari(36) ◆pZLaUoYPXc (茸)2018/05/09(水) 09:08:14.80ID:JCxjq2Jzd
ここ数日咳が止まらない。
授業中も忙しなく咳が出る。
おかげで僕は咳だけに疲労しきってしまった。
隣のいくちゃんは僕をじっと見て
「大丈夫?」
と微かに言う。
「うん。」
僕は前の席を見る。
あれ以来話していない。
僕もいくちゃんもただ何となく。

家に帰っても咳は止まらなかった。
姉といくちゃんは「大丈夫?」
とダイニングのテーブルに顔を臥す
僕に声をかける。
いくちゃんは心配だと理由をつけて
僕の家に上がり込んだ。
「うん。」
いくちゃんの甘い髪の香りと
セーターの膨らみ。
胸は圧迫されるように痛んだ。
「こら、どこみてんの。」
いくちゃんは僕の頭を叩く。
その瞬間僕の視界は暗転した。
0492名無しって、書けない?(catv?)2018/05/09(水) 10:35:17.42ID:b201HQoXH
ようやく姉がなぜ病院に働いているのかの伏線?みたいなのが回収できた…
0493Virtual Insanity(5) (邪馬台国)2018/05/09(水) 10:40:31.49ID:b201HQoXH
「ごめん。」
理佐は頭を下げた。
夕日に染まる放課後の教室。
僕が理佐に告白した日だ。
「やっぱりそうか。」
まったく予想ができなかったわけじゃなかった。
でも僕は少なからずショックだった。
「ごめん。」
僕の気持ちが顔に出ていたのだろう。
理佐はまた謝った。
「いや...。」
「帰ろうか。」
理佐は僕を見て言った。

「もしかしてあいつが好きなの?」
理佐は沈黙した。それが答えだった。
「うん。」
理佐の頬は夕焼けに赤く染まる。
どこかで列車が通過する音が聞こえる。
「一緒に居るって約束したから。」
小さい頃だけどね。と理佐は付け足した。
「そうなんだ。」
風が強い秋の夕暮れ。僕の心も風に攫われれば良いと思った。
0494Virtual Insanity(6) (茸)2018/05/09(水) 12:24:52.59ID:ZCZY+17Kd
あれから僕は理佐にどんな顔で話しかければ良いのか解らなくなって
話しかけることをやめてしまった。
彼は理佐にべったりで僕が来ないことを
全く気にしてない様で、理佐も理佐で
時折僕に流れる如く目線をやる以外には
何も無くなった。
それが余計僕を孤独にさせた。
矢張り告白なんてするんじゃなかった。


僕は図書委員会に所属しており、月に一度図書室で当番をしなければならなかった。
この図書当番(そう呼んでいた)だって
先月までは理佐と彼が一緒にいた。
大抵彼がはしゃいでいると理佐が
「騒いでんじゃねーよ。」とか
「仕事の邪魔してんじゃねーよ。」
ファッション雑誌片手にそう
ドスの効いた声で注意をするのだ。
僕と梨加はそれをみていつも笑っていた。
0495名無しって、書けない?(茸)2018/05/09(水) 12:25:35.22ID:ZCZY+17Kd
誰か書きに来て(><)
0496名無しって、書けない?(邪馬台国)2018/05/09(水) 12:59:32.25ID:b201HQoXH
Hidamariの主題歌は個人的に家入レオの春風
0497名無しって、書けない?(広西チワン族自治区)2018/05/09(水) 14:56:46.16ID:Qu2ItBnPK
両ストーリーとも気になる展開が続いてますます楽しみです

他の先生方が来なくて寂しいのもわかりますけど(笑)書けるときには遠慮せずにわーっと書いちゃったほうがよいような気もします
逆に何か筆が進まなくなる時期ってのも多分きっと来ますからね
今のうちだと思って(笑)

ていうか、そろそろ字数制限もかなり始まってるんでしょうか?
次スレの要不要と、立てる時期を考える季節になってきたのかな?
0498名無しって、書けない?(茸)2018/05/09(水) 18:01:16.83ID:ZCZY+17Kd
>>497
文字数の制限がかかってきたので立てても良いかなとは思いつつもいまのスレの状況を、考えて僕はしばらく様子見が良いかなと
0499名無しって、書けない?(庭)2018/05/09(水) 18:08:11.09ID:UAiJWl39a
>>495
めっちゃ投稿乙であります

話ごとに語り手が変わるスタイルはスリリングを掻き立てますなぁ


ちょっと仕事関係がややこしいことになってしまいまして自分のスレが精一杯で申し訳ないっすm(__)m
0500名無しって、書けない?(茸)2018/05/09(水) 19:58:06.41ID:ZCZY+17Kd
>>499
お仕事お疲れ様です。
0501hidamari(37) ◆pZLaUoYPXc (茸)2018/05/09(水) 19:59:51.35ID:ZCZY+17Kd
あいつは顔を伏せながらも私の胸を
覗き見た。
だから「どこみてんの。」と頭を叩いた。
するとあいつは黙ってテーブルに額を打ち付けて沈黙した。
「おーい。こらー。」
私は肩を揺さぶる。
あいつは動かない。
「どーしたん?」
洗濯物をカゴいっぱいに持ちながら
お姉さんは私をみた。
そのあとであいつに目を見て、あいつの名前を呼ぶ。
「あかん。救急車、」
お姉さんは絶叫した。
私は慌ててiPhoneを取り出した。
0502hidamari(38) ◆pZLaUoYPXc (茸)2018/05/09(水) 20:00:52.67ID:ZCZY+17Kd
救急車は五分位で到着した。
青い服を着た救急隊が上がり込む。
私はそれを黙って見ていることしかできない。
お姉さんは救急隊に何かをはなしていた。
救急隊の人は相槌をうって
横に置いた緑の担架にあいつを載せる。
お姉さんは担架に付き添って外へ出る。
「あんたも来るか。」
お姉さんは不意に振り向いて言う。
私はうなづいて小走りに玄関で靴をはく。
0503名無しって、書けない?(千葉県)2018/05/09(水) 22:31:07.40ID:6QGYsC4N0
なぜか文中にスマートフォンとかスマホとか書くよりiPhoneって書く方が好きなんだよな。
0504名無しって、書けない?(広西チワン族自治区)2018/05/10(木) 00:03:40.24ID:CichGvImK
>>503
そういうのって割と大事ですよね
やっぱり緑の中を走り抜けていくのは真っ赤なポルシェに限りますしね
0505(39-1) ◆pZLaUoYPXc (上総・下総・安房國)2018/05/10(木) 20:15:45.29ID:lh5vKS7h0
救急車のなかでバイタルを救急隊員に告げながら私は酸素マスクをつけた弟の
青白い顔から目が離せない。
「たぶん...心臓系統の病気やないかと」
救急隊員に告げる。
バイタルは低空飛行を続けている。
社内でも聞こえるサイレンが私の耳の奥で響いた。
10分後私が働く大学病院へ救急車は
入ってゆく。
0506hidamari(39-2) ◆pZLaUoYPXc (千葉県)2018/05/10(木) 20:20:36.63ID:lh5vKS7h0
担架の走る音。白く濁る床。
話しかける救急隊員の声。
効きすぎる暖房。
目に明く乳白色。
救急隊員から担架を引き受けたのは
茜ちゃんと大島さんだった。
私はその2人をみた瞬間泣きそうになった。
「えっ弟くん?」
茜ちゃんは驚き、
「あんたが泣いてどうする。」
と大島さんは怒った。
担架の後ろでいくちゃんは心もとなく立ち尽くす。
「もういいから。」
大島さんに厄介払いされ受付のベンチに戻る。
私はいくちゃんを探す。
いくちゃんは 隅のベンチで泣いていた。
子供のように泣きじゃくっていた。
0507!omikuji hidamari(40)(千葉県)2018/05/10(木) 20:24:11.98ID:lh5vKS7h0
「いくちゃんもあやつも休みって珍しいね。」
おだななは私に言った。
朝の教室はいつものようにざわついていた。私は入道雲から零れる青空を眺めた。
「そうだね。」
チャイムが鳴り生徒は慌ただしく席につくが担任がなかなか来ない。
いつもならチャイムと同時にくるのだが。
担任は結局朝のHRも、来ずざわめく中
一時間目は始まった。

「いや、申し訳ないです」
一時間目は担任の授業だった。
担任は結局一時間目の終わりごろにきて開口一番そう謝るが、申し訳ないもなにも授業が潰れてこっちはお礼を言いたいくらいだった。
「じつはーが入院しました。」
ざわめきのなか担任がいう。
私は名前が聞き取れず廊下側の端に
座るおだななを見た。
おだななの顔は今までにない程深刻そうだった。
そのわけがわかったのはクラスメートが入院した人の名前を口々に反復した為だった。
私は、何も考えられなくなった。
0508名無しって、書けない?(庭)2018/05/11(金) 04:10:35.48ID:zD7bmka9a
僕君が心配!?

話数が凄い数字になってきてるw
0509名無しって、書けない?(千葉県)2018/05/11(金) 10:27:20.74ID:oczYDNr70
>>508
結末は決めているのにそこまでたどり着かずどんどん伸びています
0510名無しって、書けない?(千葉県)2018/05/11(金) 21:09:29.59ID:oczYDNr70
ちなみにhidamariの主題歌は
Mr.Childrenの「ハル」です。
SENSEに収録されています。
サブスクリプションと配信が解禁されましたので御一読の際は是非に(どうでもいい)
0511名無しって、書けない?(庭)2018/05/11(金) 23:19:30.51ID:qDsA0bYPa
話が長くなる時って生き物のように途中から自分の手を離れていきますよね

俺なんかはそれが楽しくて出たとこ任せで書いてるんですけど
それを自己満足で終わらないで読んでくれてる人も楽しめる作品に仕上げる人がプロの作家さんなんでしょうね

物書きでご飯食べてる人の才能は凄いですよね
0512名無しって、書けない?(千葉県)2018/05/11(金) 23:25:06.04ID:oczYDNr70
>>511
たしかにそうですね。
勝手に擬態して勝手に結末を作り替えてしまいますね。
0513hidamari(41) ◆pZLaUoYPXc (らっかせい)2018/05/11(金) 23:28:47.35ID:oczYDNr70
「いまからそちらに向かいます。」
弟の担任は電話口で言った。
「あ・・・どう」
電話は一方的に切れた。
来てほしいとも来て欲しくないとも返事はしていなかった。
そして来ても良いが生憎弟はまだ意識が戻らない。
昨夜。いくちゃんを帰したあと受付のベンチで眠ってしまった。そして朝の七時に目が覚めると毛布がかけられていた。
慌ててオフィスに行くと
上司の藤木直人いや高杉が
「お前は当分休みにしてもらった。いまの精神状態でオペをして医療ミスでもされちゃ困る。そしてなにより今は弟のそばにいろ。」
「でも人が足りて...」
「お前一人いなくても病院は困らない。」
そう言って出ていった。
すこし傷ついた。
0514hidamari(42-1) ◆pZLaUoYPXc (らっかせい)2018/05/12(土) 02:22:55.79ID:LhdDA+FR0
柔らかい感触がいつもそこにあった。
生まれた時も、そして、今も。
僕の視界は白になる。
ここはどこだ。
僕はベットに寝かされていた。そして。
やわらかい感触に包まれた右手を見た。
そこには茶髪の女性が僕の手を握ったまま寝ていた。
「...姉ちゃん。」
僕は掠れた声で言う。
「...ん。」
焦点の定まらない姉の目はひどく色っぽかった。
「あ、目が覚めた」
姉は満面の笑を浮かべ僕を抱きしめた。
「苦しい。」
そう言おうかと思ったが止めた。
0515hidamari(42-2) ◆pZLaUoYPXc (らっかせい)2018/05/12(土) 02:24:10.56ID:LhdDA+FR0
「あんた一週間も寝てたんやで。」
姉は椅子に座り直して言った。
「そうなんだ。」
僕は窓の外をみる。
と、そこにノックの音がして
藤木直人そっくりの医師が入ってきた。
「あ、高杉先生」
姉は立ち上がる。
「目が覚めたか。よかった。」
爽やかな笑顔を僕に向けたあとで深刻な顔つきになった。
「いまから君の体に起こったことについて説明しよう。」
そう言って空いたベットの隅から
(ここには僕を含め6つのベットがあったがしかしベットは僕しかつかっていなかった)
椅子をとりよせて姉の向かい側に座った。
「単刀直入に言うと君の体を蝕んでいる病は狭心症だ。」と言った。
「...狭心症?」
姉は驚いたように呟いた。
0516hidamari(43) ◆pZLaUoYPXc (らっかせい)2018/05/12(土) 02:25:09.95ID:LhdDA+FR0
「確か君の話では咳が止まらず、胸の痛みがあったといったね。」
高杉は私の方をみた。
私は黙って頷く。
「それは典型的な狭心症の症状だ。」
まさか本当に心臓系統の病だとは。
弟の方を見て
「とりあえず今後は投薬治療を行う。そしてなにより言っておかなきゃいけないのは次、君は不安定型狭心症だから、また、いつ酷い発作がおきるかわからない。」
そして私の方を見て
「だから君かほかのひとか、当分は常に誰かが彼のそばにいる必要がある。」
と言った。
「わかりました。」そう返した。

「だが君も毎日ここにいるわけには行かないだろう。だから……まぁそこは宜しくたのむ。」
では、お大事に。そういって高杉は出ていった。
0517hidamari(44) ◆pZLaUoYPXc (らっかせい)2018/05/12(土) 02:26:42.11ID:LhdDA+FR0
「やっほー」
黒のブレザーが踊る。スカートはひらひらと嬉しそうに舞う。
いくちゃんが来たのは目覚めた日の翌日、昼過ぎての事だった。
「心配したよ。」
椅子に座ってからさみしそうに呟く。
「いくちゃんは大丈夫なの今日」
「うん。だけどまたすぐに行かなきゃ。」
大学の入試に向けて、いくちゃんはいつも以上に忙しくなるだろう。
姉は何か買ってくるといったきり戻ってこない。どうしたのだろうか。
「そういえばゆいぽんが来るっていってたよ。」
「いつ?」
「うーんわかんない。」
手をぱたぱたさせた。
ふいに扉の外が騒がしくなる。姉と肩までの黒い艶やかな髪の女性が入ってくる。
そしてその女性は恐ろしく大人びた表情をしていた。
「あ、いくちゃんおった。」
いくちゃんを小さく指さして姉は言う。
「可愛いですねー」
その女性はいくちゃんに言う。
その声は低い。
「平手友梨奈です。」
ぺこりと頭を下げた。
0518hidamari(45) ◆pZLaUoYPXc (らっかせい)2018/05/12(土) 02:30:35.88ID:LhdDA+FR0
「え。てちだー」
いくちゃんの目は半端じゃないくらい耀いている。
「え、てっ、て?」
僕は困惑する。てちって誰?
でちと、呼ばれた女性は恥ずかしそうにまたぺこりと頭を下げた。
「てち知らないの。」
いくちゃんは驚愕の表情を浮かべる。
「いや、あー、まぁ。」
「この子そーゆーのに疎いねん。」
姉はため息をついて言う。
「そうなんですね」
どこか緊張した顔をしている。
「平手ちゃんはまだ時間あるやろ?」
姉は椅子を薦める。
「なんでお姉さんとてちが」
いくちゃんは首を傾げる。
「まぁ、話せば長くなるんやけどな。」
話す気満々だ。
0519名無しって、書けない?(広西チワン族自治区)2018/05/12(土) 12:02:24.01ID:ZN8iKslPK
てちまで出てきて結末がさらに想像できなくなった(笑)

今更ですけど生ちゃんにしてもゆいぽんにしてもやっぱり配役が絶妙だなあと改めて感じました
0520名無しって、書けない?(千葉県)2018/05/12(土) 12:29:47.07ID:LhdDA+FR0
>>519
ありがとうございます
嬉しいです
配役は毎回悩みどころです
0521名無しって、書けない?(庭)2018/05/12(土) 12:39:48.58ID:4vRqZZ6Ma
さりげなくお姉さん役のさゆりんごが嬉しい俺

あの騒動以来叩かれ過ぎて可哀想なんですよね・・・
0522名無しって、書けない?(千葉県)2018/05/12(土) 14:03:21.78ID:LhdDA+FR0
>>521
そうですね...
さゆりんごが姉というのはあくまで理想ですw
0523hidamari(46) ◆pZLaUoYPXc (らっかせい)2018/05/12(土) 14:21:01.52ID:LhdDA+FR0
「そういえばいま時間ある?」
朝の9時。彼女は寝ているだろうか。
そんなふうに考えながらLINEを送った。
「ありますよー。」
数分後返信がきた。
孤独な眼をした彼女と出会ったのは半年ほどまえのことだ。
横浜のデパートで倒れて運ばれてきた。
病はただの貧血だったが過労気味でもあったので更に1週間入院してもらった。
「うちの弟が入院してな。」
スターバックスの中。彼女は黒いジャケットにジーンズといった出で立ちで来た。
「大変ですね。」
「うん、でな。てちがしばらく時間があるって言うたやん。その弟の居る病室に居ててほしいねん。」
「私がですか?」
目を丸くして彼女は言う。
「うん。」
たぶん私は変なことを頼んでいるだろう。
「私的には全然OKですけど」
カプチーノを飲みながら彼女は答えた。
0524hidamari(47) ◆pZLaUoYPXc (らっかせい)2018/05/12(土) 14:22:54.64ID:LhdDA+FR0
「そんな理由があってここにおんねん。」
「怨念?」
「ちゃう。しかもそれ活字じゃないとわからへんやろ」
姉といくちゃんはおかしな会話をしている。それを横目に平手の方も気になりだす。
姉は説明が恐ろしく下手だ。
だからいつも頭のなかで整理するのに苦労する。
つまりは姉の務めるここの病院に運ばれてきたのが平手で、そこで平手と姉は仲良くなったらしい。
そして平手にはなぜか時間があり、姉がそれを知って、時間があるならここに来てくれと言ったらしい。
「まぁ、そういうことや。」
自信満々に姉は言う。
0525hidamari(48) ◆pZLaUoYPXc (らっかせい)2018/05/12(土) 14:25:59.78ID:LhdDA+FR0
「ところでいくちゃんは帰らなくていいの?」
いくちゃんにたずねると「あっ、やばい。」そういって「また来る」と言い残し慌てて出ていった。
部屋には姉と平手と僕。
姉が「なぁ、ところで平手ちゃんは体大丈夫?」
平手は「はい、なんとか。」
笑を浮かべて答える。
「あんまり無理しないでな。」
姉はなぜか先輩風を吹かせて言う。
「はい。」
平手は椅子に座り直して返事をする。

「ところで映画の撮影は順調なん?」
「はい。」
「映画?」僕は姉の顔をみる。
「うん。じつは平手ちゃん今度映画でんねん。」
「どんな映画で?」
「うーん。女子高生が作家になって...」
「ふーん。」
「あんたそんな興味無いやろ。」
「いや別にそんな」
平手は頬をふくらませた。
少女らしい。そう思った。
0527名無しって、書けない?(大阪府)2018/05/12(土) 16:56:58.36ID:DHpheRFk0
>>526
久しぶりにまともなスレを見た気がします
頑張って下さーい
0528名無しって、書けない?(千葉県)2018/05/12(土) 17:00:48.94ID:LhdDA+FR0
>>527
ありがとうございます
大阪府さんもよろしければぜひ
0529hidamari(49) ◆pZLaUoYPXc (らっかせい)2018/05/12(土) 20:11:04.67ID:LhdDA+FR0
姉と平手の話に耳を傾けながらいつの間にか眠ってしまったらしい。
目を開けると窓の奥黄昏が目にしみる。
「あ、さゆりさん買い物があるみたいで帰りました。」
iphoneから目を離して平手は言うた。
「そういえばあの子めっちゃ可愛い。」
「あの子?いくちゃん?」
「そう!」
「たしかにね」
近くにいるとあまり意識はしないが。
たしかにいくちゃんは「可愛い」と言われることが多い。
「二人はどんな関係なんですか?」
平手は身を乗り出して聴く。
僕は躊躇って俯いた。
「・・・もしかして付き合ってたり」
平手は恐る恐る訊く。
僕は黙ってうなづいた。
平手は無邪気にはしゃいだ。
0530hidamari(50-1) ◆pZLaUoYPXc (らっかせい)2018/05/12(土) 20:13:52.90ID:LhdDA+FR0
「おはよー」
病室のドアが開く。
そこには由依がいた。
「おぉ。」
手をあげる。
「大丈夫?」
大人びた由依の声が近くに聞こえる。
「ああ。ところで今日は?」
「ふふ。サボっちゃった。」
由依の八重歯が口腔の中に覗く。
「いいの?」
「大丈夫。」
「どれくらい入院するの?」
「うーん1ヶ月くらいって言われた。」
「長いね」
由依は病院の窓から見える花の散った
桜の老木を見つめた。
0531hidamari(50-2) ◆pZLaUoYPXc (らっかせい)2018/05/12(土) 20:14:59.78ID:LhdDA+FR0
「あのね。実は...」
枝が静かに揺れる。僕はその瞬間が僕はとても好きだ。
「...好きだったの君が。いや。好きなの君が。」
由依の手は僅かに震える。
「...そう、なんだ。」
二の句が告げず僕は黙り込む。
「ごめんね。でも言わなきゃって。」
「うん...ありがとう。でも今は」
「わかってる。」
「そういえばここにいると時間が長く感じる。」
「...ふうん。」
「まぁ健康な証なんだけど。」
その時。また扉が開いた。
0532hidamari(51-1) ◆pZLaUoYPXc (らっかせい)2018/05/12(土) 20:16:08.24ID:LhdDA+FR0
「えー小林は風邪で休み」
朝のSHRの時担任は言った。
ざわめきの中に一瞬だけ過ぎたその言葉。
由依は絶対風邪じゃない。
なぜなら昨日の夜中までLINEをしていたから。
風邪を引いてるなら深夜2時まで普通は。

由依はよく欠席する。
その理由は体調不良の他に「ただなんとなく」や「流れる雲を窓の外からずっと見ていたいから」など多岐に渡る。
今日はどんな理由だろう。
頭をめぐらしてすぐにわかった。
病院に居るんだ。
そういえば昨日、いくちゃんに聞いていた。
0533hidamari(51-2) ◆pZLaUoYPXc (らっかせい)2018/05/12(土) 20:18:55.64ID:LhdDA+FR0
いくちゃんは少し間を置いて
その病院の名前を告げていた。
私も傍で聞いていた。
そこに居るのだろう。
「体調不良で早退って言っといて」
隣に居る理佐に言う。
理佐は驚いて
「おだなな大丈夫?」
と言う。私は鞄を手に取り教室の
扉を開けたあと振り向いて
「大丈夫。」と言って出た。
「サボろうとしてんじゃねーよ。」
後ろからそんな尖る声が聞こえた。
0534hidamari(52) ◆pZLaUoYPXc (らっかせい)2018/05/12(土) 20:20:20.68ID:LhdDA+FR0
放課後。
病室の扉を開こうと銀の把手を握る。
すると中から声がする。
「...お願い。」
その声の主は由依だろう。
「由依どうしたのー。」
私は扉を開き室中を見る。
そこでは。
ブレザー姿の由依があいつの唇に
キスをしていた。
私は呆然とそれを見ていた。
そして踵を返して出ていこうとした。
「待って。」
あいつの声が追いかける。
0535hidamari(53-1) ◆pZLaUoYPXc (らっかせい)2018/05/12(土) 20:23:51.42ID:LhdDA+FR0
結局、昼を挟んでずっとおだななと由依と話していた。
けれど午後3時を過ぎて不意におだななが
「バイト行かなきゃ。」
そう言って出ていった。
ふいに訪れる無音の空間。
「ねぇ、キスしていい?」
由依は髪を解きながら言った。
「はぁ?」
僕はしばらくその言葉の意味が受け止めきれなくて困った。
「お願い。そしたら君のこと忘れることができるから。」
由依の唇は妖しく光った。
由依は茶色の髪を耳にかけ僕に近づく。
0536hidamari(53-2) ◆pZLaUoYPXc (らっかせい)2018/05/12(土) 20:24:46.48ID:LhdDA+FR0
柔らかくそして生々しさを孕んだ唇が重なる。
そしてその刹那いくちゃんが部屋に入ってきた。
「どーしたの?」
そんな無邪気な声だった。
由依の髪の隙間からいくちゃんの呆然とする顔が伺えた。
僕は慌てて「待って」
そう言いながらベットから出ていくちゃんの背中を追いかけようと立ち上がる。
そしてその横には由依が曇った顔で
佇。
僕はそんな由依を睨み付けて
舌打ちをするといくちゃんを追いかけた。
0537hidamari(54) ◆pZLaUoYPXc (らっかせい)2018/05/12(土) 20:26:20.16ID:LhdDA+FR0
なんでこんなことを口にしたのかはわからない。私の、中の形容しがたい
衝動が全てだった。
私は髪からゴムをとる。
髪が踊るように広がる。
そして、あの人の渇いた唇に
潤いを与えるかのようにゆっくりと
唇を重ねた。
その、瞬間背後で気配を感じた。
唇を離して。
後ろを振り向く。
背中に汗が伝ってゆく。
あの人は「待って」と言いベットを
出てパジャマのまま、点滴の掛かった
銀を、掴みながら開け放たれた
ドアをみた。
そしてわたしの方を、みた。
その目の奥には静かでしかし強い怒りに満ちていた。
その後で渇いた舌打ちが耳朶に当たった。
0538hidamari(55-1) ◆pZLaUoYPXc (らっかせい)2018/05/12(土) 20:27:54.05ID:LhdDA+FR0
「待って」
その声は追いかけてくる。
私は無視して出口を探す。
今は。何も考えたくない。
そして目の前が単色に見えてきた。
金属の走る音。
「話を聞いて。」
私はなおも無視して長いリノリウムの廊下を歩く。
そのうち声は聞こえなくなる。
もう追いかけるのをやめたのか。
歩調を緩める。そしてその、瞬間
重たい音とと金属の悲鳴が聞こえた。
私は慌てて振り向く。
そこでは。
0539hidamari(55-2 ) ◆pZLaUoYPXc (らっかせい)2018/05/12(土) 20:29:23.10ID:LhdDA+FR0
クリーム色の廊下であいつが首筋から
大量の汗を流し倒れていた。
「ちょっと、ねぇ。」
肩を揺すりながらあいつの声を聞こうとする。
「誰か、誰か。」
悲鳴にも似たその声に足音が重なる。
「どうしたん?」
黒いショートカットで白い看護服に
身を包んだ女の人が近づいた。
名札を見た。そこには西野と書いてあった。
「...発作が。」
西野さんは私に
「いまお医者さん呼んでくるから彼を支えてて。」
そう告げ猛スピードで廊下の奥に
歩く医師に何かを話しかける。
私はただその光景を
重たい彼を手に抱きながら 呆然と
見つめていた。
0540名無しって、書けない?(千葉県)2018/05/13(日) 02:40:48.65ID:ZEPnsht70
この物語の設計図みたいなメモを書いたのですが、今後またまだ登場人物が増えてきそうです。そして裏?設定としては姉であるさゆりんは外科医で担当は消化器外科という設定です。
じつはその他にも長濱ねるさんが小児科医だったり伊藤純奈さんが麻酔科医だったりという医療もののストーリーに接続するプランもあるのですが、そうなると朝ドラ並みに長くなりそうです。
0541名無しって、書けない?(広西チワン族自治区)2018/05/13(日) 19:06:06.44ID:ZZZ1MONgK
>>540
長さは別に問題じゃないと自分は思います
問題はいかに途中で飽きさせないようにするか、ではないかと

そして、その飽きさせない相手のうちで一番大切なのが、書いてる自分です(笑)
0542名無しって、書けない?(庭)2018/05/13(日) 20:18:44.08ID:FIgEesuua
俺の場合は理佐ちゃん一筋だけに浮気してる時は妄想が湧かなくなるのが課題ですね

ちなみに今は昨日の世にものまいやんのOL姿にやられて行ったり来たりで妄想が湧かない状態ですw
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