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【物語】欅坂46orけやき坂46の小説 ★3【エロも可】
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0001名無しって、書けない?(やわらか銀行)
垢版 |
2018/03/11(日) 09:17:32.61ID:b3/LyH/X0
素人レベルからでも投稿できる小説スレです 
ただし投稿作品に対するすべての中傷は禁止です 

投稿者は多大な時間と労力をかけて 
作品を投稿していますのでご協力をよろしくお願いします 

この度小説スレと原案ありスレを統合しました 

以下は原案ありの簡単な説明です 

インスパイア、オマージュ、パロディ、パクリ、何でも結構です。 
その原案も小説、戯曲、映画、テレビドラマ、マンガ以外にも、ルポルタージュやテレビのドキュメンタリーとかでもかまいません。 
テーマだけでもOK、冒頭だけでもOKです。 
少しでもかすったから原案ありだと書いた当人が主張するのなら、そう見なしてあげましょう。 
「『パクった』と言ってるけどさ、全然パクってなく、それはお前のオリジナルじゃん」という非難はやめましょう。 

あとは作家さん各々の良心に従い思うままに書いてください 

最後に、このスレの投稿される作品はすべてフィクションであり 
実在する人物や団体や建物等との関係は一切ありません 
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0002名無しって、書けない?(やわらか銀行)
垢版 |
2018/03/11(日) 09:19:31.72ID:b3/LyH/X0
前スレ
https://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/keyakizaka46/1518781547/

【過去スレ】
【物語】欅坂46orけやき坂46の小説1【エロも可】
https://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/keyakizaka46/1518781547/

☆原案ありスレ☆
【原案ありの】欅坂46orけやき坂46の物語【パクリ】 ★3
http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/keyakizaka46/1509750393/
【原案ありの】欅坂46orけやき坂46の物語★2【パクリ】
http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/keyakizaka46/1509198143/
【原案ありの】欅坂46orけやき坂46の物語【パクリ】
http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/keyakizaka46/1502756305/

☆一般的小説スレ☆
【物語】欅坂46の小説 ★7【エロも可】
http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/keyakizaka46/1507808924/
【物語】欅坂46の小説 ★6【エロも可】
http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/keyakizaka46/1499810853/
【物語】欅坂46の小説 ★5【エロも可】
http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/keyakizaka46/1498988596/
【物語】欅坂46の小説 ★4【エロも可】
http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/keyakizaka46/1496452705/
【物語】欅坂46の小説★3【エロも可】
http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/keyakizaka46/1493391840/
【物語】欅坂46の小説★2【エロも可】
http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/keyakizaka46/1489546278/
【物語】欅坂46の小説【エロも可】
http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/keyakizaka46/1487327352/
0003名無しって、書けない?(やわらか銀行)
垢版 |
2018/03/11(日) 09:20:11.69ID:b3/LyH/X0
【このスレにかかっている2つの呪い(笑)について】

◆文字数制限◆
スレの性質上、長文レスが多くなることが災いして、スレの途中から1レスあたりの文字数制限が発動します。
この制限はスレが進むにつれ更にどんどん厳しくなり、最終的には1レスあたり3〜5文字までになる予定(笑)

この呪いに対抗する術はありませんので、発動後は、長い作品の場合は適宜分割レスを活用してください。

また、この制限がある程度進んだところで次スレが立つかも。

◆埋め立てですか?◆
ある程度の長文のレスがいくつか続くと(目安としては4〜5レス程度)、このようなメッセージが出て次に長文レスが書き込めなくなる事態が出現します。
この場合は1回短いレスを挟むと、また書き込み可能になります。
自分自身で書き込んでもOKです。
0014名無しって、書けない?(庭)
垢版 |
2018/03/11(日) 20:00:19.33ID:kJ7oddaqa
いつの間にか次スレが立ってるw

保守しなきゃダメなんすか!?
0015名無しって、書けない?(千葉県)
垢版 |
2018/03/11(日) 20:25:18.16ID:EYtdO2AP0
まだ前スレ書けるような
0016名無しって、書けない?(庭)
垢版 |
2018/03/12(月) 19:29:40.61ID:5nbACVHXa
せっかく勃ったから誰か保守がてら1日1話なんか書いたら?
0020 ◆CnnfhBYX4A4t (広西チワン族自治区)
垢版 |
2018/03/16(金) 13:43:58.65ID:Q6PkyUs2K
スレ保守のために投下

ちなみにこれは
【物語】欅坂46の小説 ★6【エロも可】
のスレの『ds』というネタから始まったシリーズの続きです
http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/keyakizaka46/1499810853/84-85

――――――――
【ds・続〔1〕】

おかしい。

休みの日なのに彼女が誘いに来ないなんて珍しすぎる。
いつも図書館とかにつきあわされるのに…
こんなにいい天気なのに…ひょっとして具合悪いのかな?

そんなことを考えながら彼女の家の前で様子を窺ってしまう僕は、相当気持ち悪いよね(笑)。

「あら?ぼっちゃん、どうしたの?」

そんなことしてたら彼女のお母さんに見つかった(笑)。

ちなみに「ぼっちゃん」というのは「坊ちゃん」でも「僕ちゃん」でもない。
僕が彼女が描く「ボルボちゃん」に似ているという理由で、彼女のお母さんに付けられた呼び名である。
まあ、それだけ愛されているっていう意味なら嬉しいんだけど。
そういえば中学2年のときは「ボルボ13」とも呼ばれていたんだっけ。

そんなネタを考えていた僕に、お母さんは 衝撃的な言葉を投げかけた。

「今日は奈々未と一緒じゃなかったの?」

えっ…??
何それ…???

「あ、き、今日は違うんです」

僕は心の動揺を隠しながら、努めて冷静に言葉を返した(つもり)。
しかしお母さんはさらに無情な言葉を放ったんだ。

「なんだ、そうなの?今日は朝から珍しくおめかししてウキウキで支度して出掛けたから、てっきりデートだと思ったのに」
0021名無しって、書けない?(広西チワン族自治区)
垢版 |
2018/03/16(金) 13:49:01.04ID:Q6PkyUs2K
【ds・続〔2〕】

「あ、しまった!バスの時間が」

僕はとっさにそう呟いてその場から駆け出した。
呆然とした顔を彼女のお母さんに見られたくなかったから。
そしてその勢いでバスに乗って街へ出た。

バスの中で思いついて、図書館に行ってみた。
しかし彼女は居なかった。
さらに足を延ばして隣町の図書館へも行ってみた。そこへもよく2人で出掛けてたから。
でも、居なかった。

隣町の図書館から出ると、もう陽は傾きはじめていた。これから一気に気温が下がり始めるんだろう。
僕は道端のベンチに腰掛けた。

向かい側のカフェではたくさんのカップルが楽しそうに話している。
なんだろう、この寂しい気持ちは。
4月からこういう状況になるのはわかっていたけど、4月だってもうすぐだけど、でも…

やっぱり…僕が大学に落ちたから…一緒に東京に行けなくなったから…
だから彼女もがっかりして、それで気持ちも変わってしまったのかな…

我ながらこんなに悲観的になっていることにびっくりした。
いや、別に他の男友達と出掛けたとは限らないじゃないか。
ななちゃんずっていう仲良し女の子グループだってあるし…

そう必死に気持ちを立て直そうとしていた僕の目に入ってきたのは、カフェから出てくる、ななちゃんずの1人である織田の姿。
一瞬「あ、もしかして」と期待したが、ニッコニコの織田と一緒に出てきたのは彼女ではなく、同じクラスの小林だった。
織田は日頃から彼に対してストーカーまがいの猛アタックをしていたから、ようやく実を結んだようだ。

それはそれでめでたいことなんだろうが、じゃあ彼女は一体どこに…?

と考えながらふと見ると、この寒いのに豪華なアイスクリームを手に持ちながら、かき氷屋さんのメニューとにらめっこしている女子を見つけた。
案の定、それはななちゃんずのもう1人、長沢であった。
僕は思い切って声をかけてみた。

「こんにちは。今日は1人なの?」
「あ、びっくりした。うん。よねみんも誘ったんだけどね、寒いし予定もあるからって」
「予定?」
「デートかって訊いたら、今日は違うって。なんか学校に用があるとか言ってた」

学校?学校に行くのにおめかし?どういうこと?

頭の中が疑問符だらけになりながらも、長沢に礼を言い、とりあえず学校に向かってみた。
0022名無しって、書けない?(広西チワン族自治区)
垢版 |
2018/03/16(金) 13:51:36.76ID:Q6PkyUs2K
【ds・続〔3〕】

しかし学校に着くころにはすでに日は沈み、あたりは暗くなっていた。
校門も施錠され、中に誰かがいる気配もない。

本当に彼女は学校に来たのか、それとも嘘なのか。
学校に来たのなら目的は何なのか。
全ての謎が解けないまま、僕は帰宅することになった。

その後の数日間、僕は彼女と話が出来なかった。
目も合わせられなかった。話しかけられそうだから。
怒ってたわけじゃない。怖かったんだ。現実を知ることが。

学校でも彼女の視線はちらちら感じてたげど、その日も結局目を合わすことなく、僕はまっすぐ家へ帰った。

すると、ポストに僕宛の封筒が届いていた。
中身は1枚の手紙とDVD-R。彼女からだった。
僕は恐る恐る手紙を読んだ。

・・・・・・・
大学受験、本当に残念やったね。
あれからふさぎ込んでるみたいやから、私もどう声をかけたらいいかわからないから、手紙にしました。

でも、いつも言ってるけど、これからまた頑張ればええやん。
来年からはきっと一緒に通えると信じとるから。

うちと一緒に東京に行けなくて悲しんでるのはよくわかるけど
本当はうちだって心細いんやで(笑)。
だって今までずっと一緒でそばにいてくれたから、うちだって頑張れたんや。うちが大学行けたんもそのおかげや。
1人で東京に行くのは不安もいっぱいやねん。

でも、きっと距離が離れても、心は一緒にいてくれるって信じとるから、頑張るわ。
そこで感謝の気持ちも込めて、この前1人で学校に行って、これを撮りました。
よかったら見てください。
自信作やで(笑)。
・・・・・・・

僕はプレーヤーにディスクを入れた。
0023 ◆CnnfhBYX4A4t (広西チワン族自治区)
垢版 |
2018/03/16(金) 13:55:59.77ID:Q6PkyUs2K
【ds・続〔4〕】

画面の中では制服を着た彼女が歌い、踊っていた。
見慣れた教室、校庭、そして屋上。
彼女がこんなに歌も踊りも上手かったなんて、恥ずかしながら知らなかった。いや、猛練習したのかも知れない。

僕は画面の中の彼女に釘付けになっていた。

彼女が歌っていたのは『制服と太陽』という曲。大好きな曲だと言ってしょっちゅう聴かされてたから、よく知っている。
思えば、彼女もまさにこの歌みたいな状況だったんだ。

彼女が東京の大学に行って微生物の勉強をしたいと言ったとき、周りは猛反対した。
彼女の両親は娘の東京での1人暮らしに対して強い不安を示し
担任はそんな勉強をしたって将来の就職には結びつかないし、彼女の成績ならもっといい進路があると反対をした。
当然彼女は反発したが、周りを説得することができず、僕の前でもその件で何度も泣いていた。

そんなある日、僕は彼女のご両親に呼ばれた。
要は、心配だから東京行きを諦めるように彼女を説得してほしいというのだ。

僕は意を決して言った。

「お父さんお母さんのご心配もよくわかります。それに僕にとっても彼女は大切な存在です。
でも、彼女が微生物の本を読んでいるとき、僕に微生物の話をしているときの彼女の笑顔と瞳が、僕は本当に大好きなんです。
僕は、彼女の涙じゃなくて、その笑顔をずっと見ていたい。そう思います」

それを聞いたご両親は顔を見合わせてフフッと笑った。
「ダメだこりゃ(笑)」という心の声が聞こえた気がした。
そしてお母さんはこう言った。

「仕方ないわね(笑)。私たちもあの子の笑顔が大好きなのよ。特にぼっくんの話をしたり、ぼっくんと一緒にいるときの笑顔がね。
何か特別なのよ。
これからもあの子の味方でいてあげてね」

…そこまで言われといて大学落ちちゃって…格好悪いことこの上ないんだけど…
0024 ◆CnnfhBYX4A4t (広西チワン族自治区)
垢版 |
2018/03/16(金) 14:02:52.26ID:Q6PkyUs2K
そんなことも思い出しているうちに動画は終わりに近づいて、彼女の顔がアップになった。
おもしろ…いや、可愛い笑顔と一緒に、ペンダントが写った。
それはDNAの2重らせんのペンダント。
彼女が僕の誕生日に贈ったくれたものとお揃いの、塩基結合でしっかり結ばれた2人というメッセージの込められたもの。

彼女は高校生活の思い出と感謝、そしてこのメッセージを込めて、動画を作ったんだ…

動画を見終わった僕は、彼女の家へ向かって駆け出した。
動画の感想とありがとうを早く伝えたかったから。

え…?そりゃ、電話とかlineのほうが早いのはわかってるけど
やっぱり彼女の顔を直接見たいからね(笑)。

―了―

やはり慣れないのでトリップ付け忘れがちm(_ _)m
0025名無しって、書けない?(茸)
垢版 |
2018/03/16(金) 15:40:45.35ID:RDId5KEjd
廊下の先に立つ彼女──平手友梨奈は僕のほうを振り替えって問いかけた。
「ねえ、なんで今日も生きてるの?

僕は答える。
「・・・なにか、いいことがあるかもしれないから」

そう答えた僕に、彼女はたいして表情を変えず、いつもの淡白な──それでいて真っ直ぐこちらを射抜く瞳を向けた顔で、また口を開いた。

「あしたも生きるの?」
「・・・うん」
僕は答える。
「どうして?」

「・・・なにか、いいとこがあるかもしれないから」
0026名無しって、書けない?(庭)
垢版 |
2018/03/16(金) 15:41:50.81ID:vI2d6vuqa
>>24
甘酸っぱい青春小説での保守乙でありますm(__)m

こういうのが好きですわ
0027名無しって、書けない?(広西チワン族自治区)
垢版 |
2018/03/16(金) 16:37:45.56ID:Q6PkyUs2K
>>25
てちこの姿が目に浮かぶw
「いいこと」と「いいとこ」がわざとなのか誤植なのかまで深読みさせる奥深い雰囲気が素晴らしいと思いました

>>26
こういう柄にもないやつを書くようになったのも大阪府先生やポン民先生の影響力の賜物です
0028名無しって、書けない?(茸)
垢版 |
2018/03/16(金) 17:12:55.63ID:RDId5KEjd
ごめんなさい。
とこ、は誤りです。こと、です。
気づかなかったorz
0029名無しって、書けない?(広西チワン族自治区)
垢版 |
2018/03/16(金) 17:34:18.25ID:Q6PkyUs2K
>>28
そうだったんですか
でも、上にも書きましたけど「いいとこ」のままでも新たな余韻と想像力がかき立てられてイイと私は思いました
0030レモンハート ◆pZLaUoYPXc (千葉県)
垢版 |
2018/03/16(金) 20:18:47.34ID:j1d2JEa00
1999年 10月25日(月)

わたしは失恋した。所詮わたしには、手の届かない存在だったのだ。
わたしがそんなことを考えているとふーちゃんが来た。
「ねる、なにしてんの?」
ふーちゃんは隣の席に座った。
「空見てたと。」
油断すると直ぐに方言が出る。
「なんかあった?」
まるで私のことなど何でも知ってるかのような目で見る。
わたしはゆっくりと記憶の糸を手繰り始めた。

昼休みの図書室。
窓側から3番目の席。そこがあの人の指定席だった。
うちの学校は図書室に人が来ることは少ない。だから指定席を取られることもない。
あの人はいつも難しそうな本を読んでいた。
あの人が不意に眼鏡を外す時。
わたしは堪らなくドキドキした。

「何の本を読んでると?」
わたしは勇気を出してその人に話しかけた。
あの人はわたしの方を見ず。黙って本を閉じ、図書室を出た。
わたしはただ、その場に立ち尽くした。
翌日。私はまた図書室に向かった。
私は図書室を見渡した。
あの席にはだれもいなかった。
ほぼ毎日来ていたのに。
私の恋は唐突に終わりを告げた。

「ん、それで終わり?」
「うん。」
「でもさー、たまたま休みってこともあるじゃん。」
「ねるは避けられてると。」
言葉にすれば悲しみが余計増した。
「うーん。それはいつのこと?」
「昨日。」
「昨日?」
大きな声でふーちゃんはいった。
クラスの視線がふーちゃんに刺さる。
「しーっ!」
わたしは唇の前に人差し指を立てる。

「まだわかんないじゃん。」
「そうかな。」
「そうだよ。ねるに話しかけられてびっくりしただけかもしれないし。」

今日、私はまた図書室に行くことにした。
0031名無しって、書けない?(茸)
垢版 |
2018/03/16(金) 22:58:44.43ID:RDId5KEjd
>>29
ありがと、米さん
0032名無しって、書けない?(大阪府)
垢版 |
2018/03/17(土) 12:34:26.10ID:LBsrVknA0
>>28
僕も「いいとこ」の方が詩的で好きです

>>24
チワンさんの米さんもいい感じになってきましたね
是非とも続けて欲しいシリーズです
0033 ◆.nO1rkdGpI (大阪府)
垢版 |
2018/03/17(土) 12:45:39.51ID:LBsrVknA0
オー・ソレ・ミオ(その1)

多くのバンドが抱える問題の一つに、ボーカルの人間性の欠如というものがある。
確かに、ボーカルはそのバンドの顔となり、声となるわけだから、バンド内での地位は高い。
売れるバンドには、才能のあるボーカルが、必ずと言っていいほど存在する。スポットライトはいつもボーカルに向けられる。
そして、彼らは勘違いするのだ。
「おいおい、なんでボーカルの俺が、こいつらと同じ扱いなんだ」
「ソロでもやっていけるんじゃね?」
僕たちのバンドもその例に漏れず、ボーカルが何度も入れ替わっていた。
そして今現在、ボーカルの座は空いていた。

「だったら、由依ちゃんがメインボーカルやれば?」
前々から何度も言っていることを、僕は言う。
「由依ちゃんもそこそこ歌えるしさ、絵になると思うよ」
「私には…」と由依ちゃんは首を振った。ベースだけがお友達と言わんばかりに、指で弦をはじいている。
由依ちゃんは本当に器用な女の子だ。今やっているベースはバンドに入った後から身につけた楽器で、本業はギターだ。
他に、アルトサックスとキーボードもできる。
「大丈夫だよ、声の質もいいから」
「でも、私、ベースしながらは歌えないから…」
「あぁ…そっか。でも僕は上手くないし、アイツに歌わすと面倒だし」
「アイツって、ずーみん?」
「そう、アイツ本当に面倒くさいんだよ」
0034名無しって、書けない?(大阪府)
垢版 |
2018/03/17(土) 12:46:16.41ID:LBsrVknA0
オー・ソレ・ミオ(その2)

僕がこのバンドに入ったキッカケは、単なる人材補充だった。
もともと、女の子だけで人を集めようとしていたところ、ドラムがなかなか見つからず、僕に白羽の矢が立ったというわけだ。
結局、ボーカルの子はすぐに辞めてしまい、由依ちゃんとずーみんと僕の三人で、メインボーカルを探す旅が始まった。

ずーみんも、由依ちゃんと同じかそれ以上に歌が上手かった。ギターも出来るし、小さいからビジュアル的にインパクトもある。
彼女をメインボーカルに据えようと考え、由依ちゃんも賛同してくれていた。
しかし、事はそう単純に進まないのだ。


それは、僕が初めてずーみんの歌声を聴いた時のことだった。
ライブハウスでボーカル探しをした帰り、すっかり夜は深くなっていた。
「今日も見つからなかったね」とかいつものように話しながら、三人で帰っていた。
僕は適当に相槌を打ちながら、目立たないように歩いていた。なにか揉め事があると、必ず僕が悪者にされる。
女の子二人に、男が一人、その構図が僕を悪者にさせているのかもしれないし、そもそも僕が人間的に劣っているのかもしれない。
とにかく、二人を敵に回すと絶対に勝てなかった。

明けそうもない暗闇の中、ただただ帰宅するために歩いていた。
0035名無しって、書けない?(大阪府)
垢版 |
2018/03/17(土) 12:47:11.83ID:LBsrVknA0
オー・ソレ・ミオ(その3)

帰り道、最初に一人になるのはずーみんで、場所は踏切だった。
由依ちゃんと僕は、二分くらい一緒に歩いてから別れて一人になる。
「じゃあね」
ずーみんが踏切を渡って、手を振った。
僕は手を振りながら、由依ちゃんとの会話に必要な二分ほどの話題を考えていた。
少し歩き始めた時、僕は止まった。踏切の向こうで歌声が聞こえたからだ。
「どうしたの?」
「由依ちゃん、ちょっとだけ待ってて」

「一生懸命生きてるから I say, Have a nice day」
その歌声を追いかける間、同じフレーズが繰り返されていた。
踏切が鳴った。すぐに遮断器が降りた。僕は飛び越えた。
「危ないよー」
由依ちゃんが心配そうに言った。
遮断器を飛び越えたのはこれが初めてで、恐らくこれが最後だろう。
線路は単線だから、悠々と渡ることができた。渡りきって十数秒後に貨物列車が通り過ぎた。
長い列車が後ろで通り過ぎると、近くでまた歌が聞こえ始めた。
「一生懸命生きてるから I say, Have a nice day」
0036名無しって、書けない?(大阪府)
垢版 |
2018/03/17(土) 12:47:40.25ID:LBsrVknA0
オー・ソレ・ミオ(その4)

「あれ、どうしたの。そんなに息切らして」
「ずーみん、頼みがあるんだ。バンドのために歌ってほしいんだ。今のもう一度歌って。」
「歌?歌なんか歌ってないよ」
「嘘だ。さっきまで歌ってたじゃん」
「歌ってないよ」
ずーみんが怖い顔をした。僕は動けなくなった。蛇に睨まれた蛙みたいに、本当に動けなくなった。
ずーみんと由依ちゃん、二人ともこの表情を持っていた。
「そう…ごめん。僕の空耳かも。悪かったよ」

鳴り始めた警報機の方を振り返った。
「ねぇ」とずーみんが呼び止めた。
「歌ってあげてもいいけど、ひとつ条件があるの」
少し間をおいて、ずーみんは話した。
「私をメインボーカルにすること。それで、由依ちゃんには歌わせないこと」
「別にいいんんじゃないの、由依ちゃんはボーカルやりたがってないから」
「それともう一つ、詞と曲は、私が書く。それができないなら私は歌わない」

余りにも大きすぎる代償だった。
今まで詞と曲を書いてきたのは由依ちゃんで、誰よりもこのバンドのことを理解した曲作りをしていた。

「考えとくよ、おやすみ」
僕は踏切の方へ歩き始めた。
0037名無しって、書けない?(大阪府)
垢版 |
2018/03/17(土) 12:48:05.66ID:LBsrVknA0
オー・ソレ・ミオ(その5)

僕は踏切を渡って、由依ちゃんのところまで走った。
由依ちゃんは泣いていた。
「え、どうしたの」
女の子は泣いている時、あまり理由を話したがらない。由依ちゃんは特にそうだった。

由依ちゃんはなかなか泣き止まなかった。しばらく一緒に歩いた。
「もう私には帰る場所がないんだ…」
由依ちゃんは、バス停のベンチに座った。
「あ、いや…何とかなると思うよ」
「こんな寒空の夜で、朝を待てって言うの?」
「え、何その文学的な表現。ていうか、何で素直に帰らなかったの」
「だって、『待ってて』って言ったでしょ」
「まぁ、そうだけど…」

バス停の時刻表を見た。確かにバスの時間が終わっていた。由依ちゃんには帰る場所がなかった。
遠かったと言う方が正確かもしれない。二時間歩けば、たどり着ける。

由依ちゃんは泣き止むと、僕を睨んで、二択を迫った。
おつりも含めたタクシー代1万円を渡すか、歩いてアパートまで送り届けるか、その二択だった。
ケツカッチンではなかったから時間は充分にあった。今月カツカツだったからお金に余裕はなかった。
必然的に由依ちゃんと歩く決断をした。
0038名無しって、書けない?(大阪府)
垢版 |
2018/03/17(土) 12:48:48.27ID:LBsrVknA0
オー・ソレ・ミオ(その6)

「二時間も女の子歩かすなんて最低」と言いながらも、由依ちゃんは歩いた。
由依ちゃんがアパートの中へ入った。僕はすぐ目の前にある公園に入った。
ベンチに寝転がると、数分で眠りに落ちた。


「ねぇ、ねぇってば」
近くで由依ちゃんの声が聞こえた。なぜか目が開かなかった。体は硬直していた。
「何で言ってくれなかったの?」
「違うんだ…」
「何で言ってくれなかったの?」
「あ、いや…由依ちゃんが悲しむと思って」
「何で言ってくれなかったの?」
「また、泣いちゃうだろ」
「何で…」
体が揺すぶられた。何度も揺すぶられた。
目は開かなかったが、睨まれていることはわかった。身動きが取れなかった。

「ねぇ、起きて」
由依ちゃんが心配そうな顔で僕を覗き込んでいた。もう睨んでなかった。
「どんな夢見てたの?何で私が悲しんで泣いちゃうの?」
「夢…」
「公園なんかで寝てるからだよ。何で帰らなかったの」
「あぁそうだ…朝までバスを待とうと思ったんだった。由依ちゃんは何でここにいるの?」
「ちょっと散歩にね…」
「こんな夜中に?」
「ちょっと嫌なことがあってね。不安になると、外に出たくなるの」
0039名無しって、書けない?(大阪府)
垢版 |
2018/03/17(土) 12:49:28.62ID:LBsrVknA0
オー・ソレ・ミオ(その7)

由依ちゃんのベッドは小さい。そのベッドに二人で寝た。
僕が風邪を引かないようにと、アパートの中へ入れてくれたのだ。
普段、彼女の使っている枕が、今は僕の頭にあった。由依ちゃんは座布団をシーツの中に入れて枕代わりにしていた。
さっきまで寝ていたからか、目が冴えている。由依ちゃんはぐっすり眠っていた。
もどかしい、実にもどかしい。

鼻先を由依ちゃんの髪に近づけた。微かな香りが欲求を掻き立てた。
もう少し近づける。
「殺すよ」
睨まれた。僕はそっと離れた。
「由依ちゃん、取りあえずこの手錠を外してくんないかな」
「ダメだよ。何するか分からないからね」
由依ちゃんは満足そうな顔で目をつぶった。
これなら、公園で寝ている方がよっぽど自由だった。

まもなく、寝息が聞こえてきた。横を向いた。
由依ちゃんは完全に寝ていた。なぜだか、僕の心は落ち着いていた。
手錠をかけられているとは言え、同じベッドでこう安々と眠られると嬉しかった。
0040名無しって、書けない?(大阪府)
垢版 |
2018/03/17(土) 12:51:12.94ID:LBsrVknA0
オー・ソレ・ミオ(その8)

永遠に思える時間にも、かならず終わりは来る。時計のアラームが鳴った。
僕は一睡もできなかった。思ったよりも由依ちゃんの寝相が悪かったからだ。
はじめの方は抱きまくら状態で心地良かったのが、だんだんエスカレートして早朝にはサンドバック同然だった。
手錠をかけられていたから、反撃できなかった。

「実はね…」
由依ちゃんはお湯を沸かしながら、僕に話しかけた。
「その手錠、おもちゃだからすぐ外せるんだよ」
「え?」
「そこにボタンあるでしょ。押してみ」
手錠の輪っかにボタンがついていた。それを押すと、簡単に外れた。
「本当に信用してなかったら、そもそも泊めてないよ」

優しさとは何なんだろう、疑念の渦中に朝を迎えた。

(つづく)

千葉県さんに感化されて、いくちゃんの物語を書こうと思ったんですが、肝心のいくちゃんがでてきません(泣)
続きは夜にでも
0041名無しって、書けない?(広西チワン族自治区)
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2018/03/17(土) 13:39:15.87ID:gxYrZqoxK
>>30
続きはあるのかな?期待させるです

>>31
大丈夫やで
http://o.5ch.net/13nzd.png

>>40
ひさびさの師匠登場で嬉しいっす
ちょっとミステリアスな感じが加わってまたイイですね
早く夜が来るといいな
0042 ◆.nO1rkdGpI (大阪府)
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2018/03/17(土) 15:08:13.56ID:LBsrVknA0
>>41
師匠w
やっぱですね、複数の女の子と何かしらの関係を持つと、隠し事が多くなってミステリアスになっちゃうのかもしれません
0043名無しって、書けない?(大阪府)
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2018/03/17(土) 15:22:56.20ID:LBsrVknA0
オー・ソレ・ミオ(その9)

僕たちはコミックバンドではなかったはずだ。
ずーみんは「芸術は爆発だ」と言わんばかりに、先鋭的な曲を作った。
奇妙な日本語に英語のスラングを交えて、曲調もパンク・ロックみたいになった。
客のウケは悪かった。
それでも、ずーみんは意味のない歌詞を書き続けた。

「ずーみん、このままだと客がいなくなるよ。やっぱり、曲作りは由依ちゃんに…」
「じゃあ、私は歌わないよ」
最後に睨まれるとわかっていながら、僕はずーみんを説得し続けた。

由依ちゃんは曲によって、楽器を変えた。
曲作りの座を奪われて落ち込んでいるのかと思ったが、意外にもケロッとしていた。
ただ、つまらなさそうな顔で演奏しているのは確かだった。
0044名無しって、書けない?(大阪府)
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2018/03/17(土) 15:23:39.87ID:LBsrVknA0
オー・ソレ・ミオ(その10)

そして、とうとう客は一人になった。若い女の子だ。
最近になってから初めて顔を見せた子で、常連とは雰囲気が違っていた。
ドレス寄りの服装を着て、手拍子することなく、僕らの曲を聞いていた。
ライブが終わり、僕はその子をつかまえた。からあげを奢るという条件付きで、話をすることができた。

「見た目と違って、割とジャンキーなもの食べるんだね」
スタンド形式の円形テーブルには、からあげとアップルパイが置いてある。
「で、何ですか。私に用事なんでしょ」
「何でいつも僕らの演奏を聞いてくれるの?」
「わからないのよ」
「わからない?」
「ええ、友達にいいバンドがいるって紹介されて見に来たんだけどね、全然いいと思えないの。その友達、私より耳が肥えているから、間違えるはずないんだけどね」
「あぁ…君がここへ来たのっていつごろだっけ?」
「うーんと、三週間前」
「それでか…その友達に伝えといてよ、君の耳は正しいって」
「そんなに自信あるなら、自分で言ったらどうですか。その子、いつも丘の上にいるから」
「丘の上?」
「ええそうよ、音大の丘の上。音楽に詳しいのよ」
0045名無しって、書けない?(大阪府)
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2018/03/17(土) 15:24:56.42ID:LBsrVknA0
オー・ソレ・ミオ(その11)

翌日のお昼、僕は音大の受付で記帳をしていた。ずーみんも横でペンを握っていた。
僕は一人で行こうとしたのだが、「私も連れてって」とまた例によって睨まれたので、連れてきた次第だ。
由依ちゃんは来なかった。親戚のお葬式に参列するのが理由らしいが、本当かどうかはわからない。
これまでにも似たようなことが何度もあったからだ。新しい人と顔を合わせる時には、極度の人見知りが発動して、必ず親戚が死んでいた。
由依ちゃんは、これまでに二十五人ほど親戚を亡くしている。

キャンパス内は気品にあふれていた。
学生のファッションは独創的でありながら、センスがよかった。
僕とずーみんは、黒のサングラスをかけ、黒の革ジャンを羽織っていたため、相当に目立った。

そして、どこからともなく聞こえてきたのが、野太いオペラの『オー・ソレ・ミオ』であった。
0046名無しって、書けない?(大阪府)
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2018/03/17(土) 15:25:50.42ID:LBsrVknA0
オー・ソレ・ミオ(その12)

丘の上の女の子は、ずーみんを泣かせた。なぜずーみんが泣いたのかは知らない。
丘の上に登るなり、女の子は二人で話がしたいと言って、ずーみんを連れて行ったからだ。
その場に残された僕は、同じく女の子にほったらかしにされている太ったおじさんと一緒に、女の子の作った肉巻きおにぎりを食べた。
太ったおじさんは、気さくで面白い人だった。

ずーみんが泣きながら一人で戻ってきたときには、もう太ったおじさんはいなかった。
どうしていいかわからず、取りあえず肉巻きおにぎりをずーみんに渡した。
「いらない」とずーみんは言う。もっともだった。

帰りの電車でも、ずーみんは落ち込んだままだった。他人から見れば、ただのクールな女の子に見えたかもしれない。
ただ、僕にとっては異常事態だった。いつも引っ切り無しに喋っている彼女が、一言も声を発さない。
怯えているようにも見えるし、悔しがっているようにも見える。
0047名無しって、書けない?(大阪府)
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2018/03/17(土) 15:27:48.55ID:LBsrVknA0
オー・ソレ・ミオ(その13)

駅のキオスクで冷たいコーラと魚肉ソーセージを買った。今思えば、なぜ小さいキオスクに魚肉ソーセージなんか置いてあったのだろう。
駅のロータリーでバスを待った。僕は缶のコーラをずーみんの首筋に当てた。
ずーみんは驚いてから僕を睨んだ。
「いや、なかなか顔上げてくれないからさ。今ので元気出た?」
「ばかぁ」
そう言って、僕の右手にある魚肉ソーセージを奪って食べ始めた。
ずーみんが少しでも笑ってくれるなら、何でもよかった。


僕はずーみんをライブハウスに預けると、由依ちゃんの携帯に電話をした。
「もしもし、由依ちゃん?親戚のお葬式終わった?」
「あ…うん。ていうか、あれウソだから」
「うん、知ってるよ。暇だったらさ、ライブハウス寄ってくれない」
「どうして?」
「ずーみんが大変なんだ。全然喋らないんだ」
「それは大変だね。うん…とにかく行ってみるよ」

(続く)

やっぱ終わんないや、続きは夜で
0048名無しって、書けない?(庭)
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2018/03/17(土) 15:35:24.67ID:/O7XpsgTa
>>47
お帰りなさいませ師匠!

復帰早々めっちゃ大作ですやんw
0049名無しって、書けない?(茸)
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2018/03/17(土) 18:32:55.86ID:xnDIvDqGd
>>30
こういうの好き
0050名無しって、書けない?(大阪府)
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2018/03/17(土) 19:09:44.04ID:LBsrVknA0
>>48
だから師匠じゃないですw
0051名無しって、書けない?(大阪府)
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2018/03/17(土) 19:10:07.22ID:LBsrVknA0
オー・ソレ・ミオ(その14)

僕は再び電車に乗った。夕方の電車にはサラリーマンと学生がごった返している。
今頃、丘の上の女の子も電車に乗っているんだろうか。キャンパスに留まってくれていることを願って、再び音大へ向かった。

日が落ちかけた頃、音大の丘へ辿り着いた。
「やっぱり来たのね」
丘の頂上に女の子はいた。
「久しぶりだね、いくちゃん」
「さっき会ったじゃない」
「でも、ほら、さっきはおじさんもいたし、すぐにずーみんとどっか行っちゃたしさ」
「二年ぶりかしら、あなたと会うの」
「そうだね、僕が音大を中退したのが二年前だから」
「ずっと待ってたのよ、お別れの言葉」
「へへ、悪かったね。急に居なくなって」
「あの子どうなった?」
「ずーみん?僕にはよくわからないね。君が何を言ったのかも知らないし」
「徹底的に叩きのめしたわ。音楽、人格、両方とも」
「ひどいじゃないか」
「あれくらいで駄目になるようでは、先がないわ。本当に強い子はね、コケない子じゃない。コケた後に立ち上がれる子なの」
「いや、そうかもしれないけど…」
「心配ないわ、私の勘が正しければ、あの子はすぐに立ち上がる。今晩にでもね。むしろ心配なのはあなたの方」
「僕が?」
「少し嫌な展開になるかもしれないけど、受け入れることね」
0052名無しって、書けない?(大阪府)
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2018/03/17(土) 19:10:40.67ID:LBsrVknA0
オー・ソレ・ミオ(その15)

僕たちのバンドが拠点としているライブハウスは地下にある。公演の無い日はただのバーとして営業している。
僕はカウンター席の前を通って、楽屋に向かった。楽屋には明かりがついていた。

話している内容がわからずとも、その会話が円滑に進んでいるかどうかは容易に判別がつく。
由依ちゃんとずーみん、二人だけで話しているところを初めて見た。

「あ、どこ行ってたの?」
ずーみんが僕に気付いた。
「ちょっと、電話の話と違うじゃん。ずーみんめっちゃ喋るよ」
由依ちゃんが僕に言う。
「あのね」と二人の声が重なった。
決心したような顔をしてから、ずーみんが口を開いた。
「私たち、二人で歌ってみたいの。コンビ名は『ゆいちゃんず』」
「そうなの。で、ごめんだけど今のバンドは解散で」

なるほど、いくちゃんの言っていた嫌な展開というのはこのことか。
僕にとっては、大したことではない。

「そう、じゃあ僕は新しいバンドでも作ろうかな」
0053名無しって、書けない?(大阪府)
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2018/03/17(土) 19:11:39.79ID:LBsrVknA0
オー・ソレ・ミオ(その16)

それから少し経ったある日、僕はスティックを握って、ドラムセットの前にいた。
スポットライトは当たっていない。

新しいバンドを作る必要はなかった。
『ゆいちゃんず』のバックバンド扱いで、辛うじて二人の側に留まることができたからだ。

彼女たちは夜明けを迎えた。弱々しくも輝かしい光を放っていた。
彼女たちが太陽ならば、僕は月。それで充分輝けた。
オー・ソレ・ミオ。僕の太陽たちは、いつまでも沈まないだろう。

(終)
0054名無しって、書けない?(庭)
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2018/03/17(土) 19:40:34.02ID:nJXhE8m6a
>>50
なにをおっしゃりますw

俺の妄想がたまに小説みたいになるのは大阪府さんが小説スレに現れて見本になってくれたからですからね

意外と感謝してますよw

ちなみに台詞と会話を織りまぜるのはチワンさんから盗みましたw
0055名無しって、書けない?(庭)
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2018/03/17(土) 19:44:08.61ID:nJXhE8m6a
>>53
ちゃんといくちゃんも出てきてみんなが幸せになれて良かった

いくちゃんからずーみんへの闘魂継承には胸が熱くなりました
0056JUVENILE ◆pZLaUoYPXc (千葉県)
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2018/03/17(土) 22:12:52.37ID:sY6oIfmU0
「ねぇ、なんか弾いてよ。」
楽器が窮屈そうに置かれた教室。
雑然と並べられた椅子のひとつに
座る僕は、風に撫でられ乱れた前髪を
そっと直す小林由依に言った。
由依は返事の代わりに焦げ茶色の中古で買った古い一万円ちょっとのアコースティックギターを取り出し弦を幽かに爪弾いた。
そのあとしばらく由依は天井を見つめなにか呟いている。僕はただ、その様子をじっと見つめた。
由依はそのうち小さく頷くと息を吸い込んだ。

「立ち止まってすべてを無にした
目をそらして 
逃げてたことを 恥じらって 
向かい合うことができたら 奇跡を信じた 」

それはまったく聞いたことのない歌だったが、とても彼女に合う歌だと思った。
僕は眼を閉じ、彼女の憂いを帯びた歌声に耳をすました。

弦がキュッと音をたてる。歌い終えた由依はひとつ息をしてギターを横に置いた。
「どう?」
由依は少し恥ずかしそうに僕を見た。
「凄い良かった。」
「ふふ。誰かの前で弾くの初めてだったの。」
微笑みが揺れる。逃れた視線の先でカーテンが風に膨らむ。
何処かで遠く海の香りがした。
0057名無しって、書けない?(大阪府)
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2018/03/17(土) 23:21:00.42ID:LBsrVknA0
>>54
出来の良し悪しは別として、一応スタンダードなスタイルは貫いてますからねw
でも庭さんの作品も、僕が現れる以前から充分に物語として高いレベルで体を成しておられましたよ
逆に、庭さんとチワンさんからは「そういう書き方もあるのか」と教わっています

>>56
大塚愛はたまに聞きたくなりますね
特定の季節に特定の気候、カッチリ当てはまる時に聞くと、情緒的感動を覚えます
0058名無しって、書けない?(千葉県)
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2018/03/17(土) 23:39:35.86ID:sY6oIfmU0
>>57
大塚愛ってよくわかりましたね、
0059レモンハートside B ◆pZLaUoYPXc (千葉県)
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2018/03/17(土) 23:43:37.59ID:sY6oIfmU0
平成11年10月25日(月)
数日前にラジオで聞いた、その歌声が忘れられなかった。
”終わりにはどうせ独りだし 虚の真実を押し通して 絶えてゆくのがいい”
その巻舌と独特の掠れた声で歌う突き刺すような詩。僕は一瞬にして彼女の虜になった。彼女の名前は椎名林檎。曲名は本能。

昼食をとると、またいつものように図書室に向かった。
夢野久作のドグラ・マグラ。
三大奇書と呼ばれるこの本は読み終えたものは気が狂うとかそんな風に言われている。いま、文庫版の上巻、真ん中らへんまで読んだ。感想はただ、ただ、意味不明。
キチガイ地獄外道祭文が出てきた日にはもう本格的に意味が分からなくなった。
スカラカチャカポコ、ただそれだけが頭から離れない。


相変わらず訳の分からないその本に悪戦苦闘していると急に声がした。
「なにしてるの?」
たしかそんな声だ。僕は慌てて、図書室を出た。

女は害悪だ。女はみんな性格が歪んでいる。僕のようなものを嘲り、見下している。
そんなふうに思うようになったのはいつからだろうか?
小学五年生のとき。クラスで好きだった女の子を筆頭にクラス全員からバイ菌扱いされた日か?
中学一年生のとき。クラスのとんでもなく香水臭い女に面罵された日か?
もう覚えていない。
ともかくそんなことがあってから女は害悪。だという歪んだ感覚が僕に起こった。
そんな日々が続き。
人間と会話しない日が続いた。
たまに話しかけられると思ったら、たんにからかわれるか、悪口。
僕はそのうち誰に話しかけられても無視するようになった。

おそらくあの女は私をからかうか虐めるために話しかけたに違いない。
明日、図書室に行けばまた話しかけられ、またあの時みたいに地獄を見る。
安穏の場はもうないのか。
僕は嫌な感情に埋もれた。
0060名無しって、書けない?(千葉県)
垢版 |
2018/03/18(日) 00:53:01.63ID:iiupR++y0
>>40
まさか僕に感化されるとは
驚きです、
めっちゃ面白いです
0061名無しって、書けない?(空)
垢版 |
2018/03/18(日) 06:59:59.84ID:l7OFER8eM
通りの両脇に並ぶ石造りの高い建物を陰が朧気に昇っている。
大空を覆うパリー特有の青紫色の混じった黄昏が、昼過ぎまで降り続いた霖雨に濡れそぼった石畳の上で映し返されて、
カフェーの赤茶けた煉瓦に埋め込まれた四角い窓から力強く射し込んでいたので、薄暗い電灯に統一された店内は深い暮色の底で、しかしアンニュイな明るさを湛えていた。
その窓硝子の上に設えられた幾何学模様のヴィトラーユが優しい極彩色をひとり俯いて涙を頬に滴らせている東洋女性の栗色の髪の上にそっと投げ落としている。
天井から吊された小さな音響設備が奏でるムニュエの物憂い軽快さが彼女の悲しみに打ち沈んだ印象を一層色濃くしていた。
僕がこの喫茶店に入ってから十分程、彼女は始終涙を流して、陰鬱な表情でただ机の上に置かれた紅茶を眺めている。
給仕に尋ねると2時間はああしてるからなんとかしてほしいとのこと。
こんな場末の地味な店に観光客が来るはずはないからして、きっと彼女は長期滞在者だ。それにあの表情。あの憂鬱に囚われた表情は、東洋人のなかでも、日本人以外には考えられない。
僕はこの確信の答え合わせをすべく意を決して女性に話しかけてみた。
「ボンソワール。ディトゥモア、ヴゼットゥジャポネーズ?」
女は驚いた顔で僕の眼を見詰める。涙に濡れた瞳は激しく澄んでいて、僕を貫いて向こう側さえ見えているのではないかと思われた。
「ウィ、そうですけど」
やっぱり日本人だ。
彼女はその視線を小さな円卓の上に戻して元の世界へと帰ろうとしている。
僕は向いの椅子に腰掛けて、
「私は仕事でここの近くに住んでるんだ。君は留学か何かかい?」
「君」という言い方が気に障ったのか、彼女は僕の言葉を遮るように、
「佐藤です。デザインの勉強でここに来ました」
彼女は感情を閉じ込めたまま唇だけを動かして言葉を発した。訝しげな眼が馴れ馴れしく接する僕の姿を映していた。
「ああ、ごめんね、佐藤さん。とまれ若い内はそうやって悩むのがいいよ。悩むっていうことは、自分の頭で考えているってことだからね」
佐藤は、僕が彼女を心配して話しかけたことを察して、自分が泣いていることに初めて気付いたかのように頬を夕焼け色にして照れている。
「こんな場所に来るなんて自分の意志なしじゃできないよ。
佐藤さんは今まで自分の考えで道を切り開いて来たんだから、そうやって存分に悩んで未来を手にすればいいはずさ。
ほら、『掴み取らねば逃げ去るぞ』ってやつだよ」
僕の気が利かないフォローに、彼女は居心地悪げに苦笑して、
「すいません、ご心配をおかけしたようで」
「いやいや、私でよければ相談に乗るよ。これから晩御飯でもどう?君の涙の理由を聞かせてよ」
佐藤は「君」とい言葉にすかさず反応して、
「佐藤です」
「ああ、ごめんね。佐藤さん」
黄昏が色硝子を透き通る色鮮やかな明るさと仄赤い頬とが混じり合った不思議な魅力漲る彼女の顔に浮かんだ微笑みは確かに僕を安心させた。
0063名無しって、書けない?(大阪府)
垢版 |
2018/03/18(日) 12:55:24.08ID:UBCiWf5Z0
>>60
どうもです

>>61
地の文のアクセントまでもがフランス語に影響されていて、とてもお洒落ですね
なぜフランス語はこうも綺麗なんでしょうか
0064 ◆8rGfNUPzOY (catv?)
垢版 |
2018/03/18(日) 23:12:04.95ID:7SKXZRgf0
京子さんと初めて会ったのは、姉の引っ越しの手伝いをしにいったときの事だった。
ルームメイトだという彼女を紹介されたときから、いい感じだなとおもっていた僕は、
その後、なにかと理由を付けては姉のマンションへと遊びに行くようになっていた。

そんな思いが姉にばれないはずもなく、
強烈な一言で僕を牽制してきた。

「きょんことアタシは付き合ってるんだからね。アンタ…変な気起こすんじゃないよ?」
「へ?」
ツキアッテル、という言葉の意味が理解できず、姉の顔をアホの子の様に見つめる。
「だから!付き合ってるんだってば」
そんな簡単な事を理解するのに時間がかかってしまったのは、
無理もないことだったと思う。
女性同士でのそういう世界があるという事は、まあ知ってはいたのだけれど、
まさか身内でそんなことがあるなんて、全くの想定外だったから。

でも、できればそういう事は早く言ってほしかったと思うのです。
こんなにに好きになってしまってから、そんな事を知らせてくるのは酷すぎるよ…

            ◇

傷心の僕は何をする気にもなれず、
学校と家と、シフトが入っているときのバイト先以外はどこにも行かない、
半引きこもり状態になっていた。
そんな時、京子さんからメッセージが届いた。

            ◇

たかちゃん
(友達にそう呼ばれていると言った次の瞬間から、京子さんの僕の呼び名はたかちゃんになりました)
最近遊びに来てくれないね。
あんまりかまってくれないと、寂しくて死んじゃうよ?

(ウサギの絵文字)←きょんこうさぎ

            ◇

多分あまり考えずに送ってきたのだと思うし、
僕が持って行くSwitch目当てであろう事も十分わかっていたのだけれど、
傷ついた僕の心を跳ね上げるには十分すぎる効果があった。
次の日から僕は、またぞろ姉のマンションへと足繁く通う日々を送ることになったのです。

たとえそれが、決して幸せになれない茨の道だとわかっていても。
0065 ◆8rGfNUPzOY (catv?)
垢版 |
2018/03/18(日) 23:14:01.38ID:7SKXZRgf0
「たかちゃんさあ、ちょっと協力してほしいことがあるんだよね」
懲りずにまた姉のマンションへと出向き、三人でゲームをしていると、
不意に京子さんは手を止めて、僕に向き直った。
姉はそんな京子さんの様子を、なぜだかムッとした感じで眺めている。
いったい何なのだろうか??

「私と彩花が付き合ってるってのは聞いたでしょ?」
「…聞きました」

できれば、僕の心の傷が完全に癒えて、
別の好きな人ができるまで現実逃避させてほしかったという気持ちはあります。
「できれば彩花との子供が欲しいなって思うけど、それは無理じゃない」
「まあ、そうですね」
変な話題になってきたので、助けを求めるように姉を見つめた。
が、姉ちゃんは不機嫌そうにそっぽを向いてしまった。
「でもさ、彩花との子供を作るのは無理だけど、それに近い子供は作れるわけじゃない」
一瞬、何を言っているのかわからなかったけれど、
姉に近い血統の男、つまりは僕や親父なんかが協力すれば、
姉ちゃんに近い子供は作れるだろう、と言いたいんだろうなって事はなんとなく理解できた。

「それは、例えば僕に精子を提供して欲しいみたいな、そういう話ですか?」

聞きかじりとうろ覚えの知識で、なんとなくの人口受精の仕組みを思い浮かべてみる。
精子を提供するのはチトこっぱずかしいけど、
それぐらいの事なら別にやってもいい…って言おうとして、その言葉を飲み込んだ。
好きな人が、僕の血を引いた子を産んだと知っていて、
はたして普通で居られるだろうか??

「そう。彩花にはたかちゃんか彩花のお父さんのどっちかって言ったんだけど」
「親父なんて絶対無理!」
不機嫌そうに聞いていた姉ちゃんがいきなり割り込む。
まあ、僕や姉ちゃんの弟か妹が生まれるのに等しいわけであり、
そんな事は姉ちゃんはもちろん、僕だってものすごいイヤだ。
「だからね、たかちゃんに協力してもらおうって」
姉ちゃんは僕が協力するのもあまり納得していないのだろう。
一瞬僕を睨むと、すぐにそっぽを向いてしまった。

仮に僕が断ったら、全く別な人の精子を使おうっていう話になるのだろうか。
ちょっと想像しただけでも京子さんが汚されたような気がして、
絶望的な気分になった。そんなの…僕はイヤだ!

「わかりました。やります」
「たかちゃんならそう言ってくれると思ってたんだ。アリガト」
「僕は病院かどこかで精子を提供すればいいんですよね?」
「何言ってんの。そういうのってものすごいお金かかるんだよ?そんなお金もってないし」
「へ??じゃあ…」

「うん。私とセックスしてくれればいいから」

                                 (つづく)
0066名無しって、書けない?(catv?)
垢版 |
2018/03/18(日) 23:16:25.36ID:7SKXZRgf0
エロってどれぐらいまで書いて良いのかわかりませんが、思いついたので…
元ネタはRe:Mindです
0067名無しって、書けない?(大阪府)
垢版 |
2018/03/19(月) 19:18:46.21ID:4wcijkvX0
>>66
話の流れ方が自然で読みやすいです
なんかエロというよりは、マイケル・サンデル教授のような倫理的なテーマですね
性に関する文章も、サラッと軽くて、村上春樹っぽいです
0068グラスのふちで小鳥は歌う(茸)
垢版 |
2018/03/19(月) 21:02:51.65ID:59koJ5R1d
カウンターの席で女は壁に飾られた数多の酒瓶を泳ぐように見つめた。まるでその目は森の中を彷徨うカワウソのようだった
(しかしそれは店内の照明が暗すぎるせいかもしれない)。

彼女はこの世界の闇を全て注ぎ込んだか
のように黒いカクテルを口にしていた。

僕はすぐそばの席で彼女のことを時折周りを見渡すようなふりをして盗み見た。
そのあとで僕は手元にあったまるで夏の青い空が注ぎ込まれたかのような
スカイダイビングのショートグラスを見つめた。
「何か用?」彼女は突然こちらを見ながらそう言った。僕と彼女は古い歴史のある(つまりはかなりボロい)椅子ひとつしか距離がなかった。僕はそのことに今更気づいた。「話したいことが?」
僕はグラスを見つめながら必死に言葉を探した。
しかしグラスに言葉は
浮かんでいないし、透き通るような色の液体を見たところで思うような言葉はきっと出てこないだろう。その様は、まるで雨に濡れた子犬のようだった。
「そのカクテルは?」
女は少し困惑した様な表情で答えた。
「カクテルの名前?」
僕は単純にその、カクテルの名前を聞きたかったのだけど(本当はそんなのどうだってよかったけど)今の言い方だと、そのカクテルは、どんな味か?どんなものが入っているか?様々な答え方ができる。
なんて曖昧な質問をしたんだ。僕は小さくため息をついた。
「そう、名前。」まるで能面のように張り付いた笑顔で僕は答えた。彼女はきっとぼくの笑顔を無気味に思っただろう。
「ブラック・レイン。」
彼女はショーウィンドウに並べられたマネキンのような顔で答えた。僕はこんなこと聞かなければよかったと首を小さく振った。
彼女はブラック・レインに負けず劣らず黒い髪を白くて綺麗な耳にかけた。
僕はその仕草をスカイダイビングを一口飲みながら見つめた。
僕はその耳を見たあと、歪んだ赤いルージュが塗られた口を見ながら彼女か次の言葉を発するのを待った。
「あなたはいつ孤独を感じる? 」
うまく言葉が出てこない。
それは孤独を感じることがないので出てこないという訳ではなく
単に孤独をあまり意識して感じた事がないからだ。
「しいていえば−雑踏のなかかな」
「しいていえば」
彼女は僕の言葉をゆっくりとなぞった。
「君は?」
僕はなにか考え事をし始めた彼女に聞いた。
「私も同じ。」赤いルージュが小さな証明に照らされ怪しく輝いた。
「君の名前は?」僕は彼女に聞いた。
彼女は僕の方を見ずに
「平手友梨奈。」小さくそう告げた。
彼女とはいづれまた何処かで会うだろうと色の薄くなったスカイダイビングを見つめて思った。
0069 ◆pZLaUoYPXc (茸)
垢版 |
2018/03/19(月) 21:04:22.88ID:59koJ5R1d
>>68
名前を付け忘れましたが千葉県です。
0070 ◆pZLaUoYPXc (茸)
垢版 |
2018/03/19(月) 21:05:17.66ID:59koJ5R1d
村上春樹と開高健と欅の楽曲が混ざりあっています。
0071 ◆pZLaUoYPXc (茸)
垢版 |
2018/03/19(月) 21:06:50.62ID:59koJ5R1d
続きがあるような感じの終わりにしたけど続きを書く体力がないので誰かに書いてほしい笑
0072名無しって、書けない?(広西チワン族自治区)
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2018/03/19(月) 22:41:34.26ID:8+mvDOutK
私は先生の体力回復を待ちたいと思います(笑)
0073罪の味 ◆pZLaUoYPXc (茸)
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2018/03/21(水) 04:36:22.74ID:ZtUHROZnd
卸したてのシーツは瞬く間に皺となる。
ベットは軋り、荒い呼吸と汗ばむ体は何度も重なり逢う。

男の舌は不気味なまでに白い彼女の躯を這い、彼女の瞼は強く閉じられる。
女の額からは一筋の汗が胸元へ流れる。
男はそれを見つけると舌でその汗を舐めとってしまった。
男は幾分、粘着質に腰を動かした。
女は男の汗ばんだ首筋に手を回す。
二人の口には何度も互いの唾液によるか細い蜘蛛の糸が出来る。
口腔内は生々しい味が広がる。
男女の裸体を背にホテルの古い時計はただ、無機質に深夜の二時を報せた。

呼吸の速度は段々早くなり、男の腰は小刻みに動く。女の白く小さな胸はその小刻みに合わせ、僅かに動く。
男は低く小さい、そして苦しげな声で彼女の名前を呟く。
「・・・愛佳。」女は微かに頷き声にならぬ声を発した。
室内は深い沈黙に包まれる。しかし時計の針が奏でる機械音だけはその沈黙を破り聞こえ続ける。

どれだけ時間が経ったのだろうか。
「いま何時。」
女は荒い呼気の男に時間を尋ねる。
男は傍らに投げ置かれた携帯の画面を見て
「午前二時半。」と彼女に告げた。
女はベットの隅に有る黒い下着を手に取り乍ら「そろそろ行かなくちゃ。」
少し寂しげに告げた。
「・・・そう。」
男はベットサイドに置かれた赤い箱から一本煙草を取り出し蛍光色の安いライターで火をつける。
細い煙が室内に立ち昇る。

「私も。」
猫の様な眼で煙草の煙を見つめ呟いた。
男は黙って煙草を一本彼女に渡す。
女は熟れた手付きで自らの潤んだ赤い唇に煙草を運んだ。
男はその様を見ると傍らのライターで女が咥えた煙草に火をつける。
「吸わないんじゃないのか。」
指の間で煙草を挟み、男は女に言った。
「うん。何となく。」
女は酷く無感情な声で応えた。

ベットの下には男の白いTシャツが乱暴に放置されている。
女の服は室内にある小さなテーブルに畳まれている。

短くなった、煙草をベットサイドの黒い灰皿に押し付けると女は服を着、煙草臭い唇で同じ唇の男にキスをする。
「どこだっけ。」女はバックからマスクと黒いメガネを取り出し付けると
「じゃあね。」と言い部屋を去る。

部屋のなかには煙草の香りと女がカモフラージュに振り撒いた香水が残っていた。
男は鼻をひくつかせると投げ出されたシャツとジーンズに着替えた。

男は夜の県道を自宅に向かって走らせる。
助手席に置かれた携帯は点滅している。
男は携帯を片手で手にした。
女からメッセージが送られていた。
「家に着いた。みんな寝てたみたい。良かった。」
男は赤く点った信号の下でそんな文面を見ている。
男はそのあとでホームページの下部、黒い服を着込んだ綺麗な若い女たちの写真のなかにさっきまで一緒に居た女を見つけた。
その女の写真の下には小さく志田愛佳と名前が書かれていた。

信号が青にかわった。
男はハンドルを握り直し、先程交わしたキスの味を甦らせた。その味は男以外、ほかのだれにも味わえない甘美な罪の味がしていた。
0074 ◆pZLaUoYPXc (茸)
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2018/03/21(水) 04:39:02.31ID:ZtUHROZnd
森山直太朗さんの「罪の味」から。
しかし内容とはなんの関係もありません。
内容自体は平井堅さんの「哀歌(エレジー)」から。
0075名無しって、書けない?(茸)
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2018/03/21(水) 04:40:11.31ID:ZtUHROZnd
なんかこれだけ文体が少し変わっている気がする。そして何となくアダルトすぎるかなと
0076名無しって、書けない?(広西チワン族自治区)
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2018/03/21(水) 11:10:32.08ID:Y4SHRa2rK
>>75
内容によって文体が変わるのは自然なことではないでしょうか
エロも可と謳いながらも今までなかなか出てこなかった官能的な作品で、私はアリだと思います
0077名無しって、書けない?(庭)
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2018/03/21(水) 11:13:48.47ID:Fm7pDlVZa
ちなみに俺もアリだと思います
0079 ◆VB3EeL1xw6 (やわらか銀行)
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2018/03/21(水) 20:49:35.70ID:HSGj137S0
人を想う言持ちは強い。

それは、素晴らしいこと。
人間の感情の力は機械などで代用は不可だからである。
人間の内なる力とでもいえよう。

だが、その力は時として常軌を逸脱することがある。
なぜならば、人を想う気持ちは受け止める相手がいなければ、際限なくエネルギーを出し続けるからである。
自分の欲求が満たされるまで……。

そして、それは……通常であれば抑止できるであろう理性さえ簡単に超えてしまう。
時にそれは英雄としてたたえられ
時にそれは犯罪として処罰される。

その人の想う気持ちを、今……最も受けやすいのがアイドルである。
昨今のアイドルグループは身近になった。
握手会、チェキ会……身近になることで、己の想いを届けやすくなった。
結果、商品価値としての売上を向上させる福音と共に
身近になったアイドル達への危険を増す副作用を伴うこととなる。

何が言いたいかと言えば
それだけ人の感情は危険だということだ。


欅坂46怪異譚

鈴本美愉の場合


「お疲れ様ー」

美愉は、レッスン終わりに織田奈那にと声をかける。
織田奈那は、美愉にとって、一番話しかけやすく、そして大切な人でもある。
ドラマの撮影時から仲良くなった……人見知りが強く、なかなか人と仲良くなれない自分にとって
織田奈那は、そんな自分であっても話しかけてくれるし、いろいろ話も聞いてもらえた。
自然な自分でいることが出来た。

「お疲れーみゆ」
「お疲れ様、みゆちゃん」

でも、織田奈那は、小林由依のことが好きであった。
織田奈那が小林由依を見る目は、美愉を見る目とは異なり、目を輝かせてとても楽しそうなものであった。
そんな織田奈那を見るのが美愉は幸せだった。
自分には、いや、他の人には見せない織田奈那の顔を小林由依は見せてくれる。
それを見ることができる幸せ。
だから、美愉はそれでよかった。
今までの関係をキープできれば、それで幸せだった。
0080 ◆VB3EeL1xw6 (やわらか銀行)
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2018/03/21(水) 20:50:15.56ID:HSGj137S0
「まだ練習していくの?鈴本」
「うん、先帰ってて」
「はーい、無理しないでね」

齋藤冬優花にそう答えた美愉は、そういって彼女を置いてレッスン室を後にする。
レッスン室にと残された鈴本美愉。
自分はダンスメンバーとして期待をされていた。
だからこそ、自分はみんなを引っ張る役目がある……そうすれば織田奈那にも頼られる。
それだけの気持ちではないけれど、でも、自分にとってはそれもやる気の一つだった。
欅坂46であるが故の、自分の役割……それを全うしなくてはいけない。
そうしなければ、織田奈那の隣になんか立てないんだから。
レッスン室の壁に設置された大きな鏡を見ながら、美愉はダンスの練習をする。
それは、彼女にとって雑念を振り払うかのように……。

『由依、今日いつものとこ寄って帰ろうよ』
『ええ〜〜』
『お願い!』
『もう……しょうがないなぁ』

帰り際での二人の会話。
あの場所にもし自分がいることが出来たなら……。
頭に過る光景、自分と織田奈那が一緒にカフェで話をしている。
楽しそうに笑う自分達。
そんな楽しそうな光景……。

「はあ、はあ……」

激しいダンスを終えて、大きく息を吐く美愉。
どうして、自分ではないのだろうか。
どうして、自分だけこうなのだろうか。
メンバーは、みんな打ち解け合っているし、仲の良いコンビもいる。
長沢菜々香・渡辺梨加もそうだし、志田愛佳・渡邊理佐もそうだ。
自分は、どうしてもそういう関係性を築くのが下手だ。
できない、難しい……。

『我慢する必要がある?』

その声に顔をあげる美愉。
自分の視界に入ったのは鏡に映る自分自身の姿であった。
彼女は、鏡の中で美愉のことを見つめている。

『私は、織田奈那のことが好き。だから、彼女を求める。周りにいる邪魔な奴は排除したい』
「何言ってるの……私はそんなこと思っていない!」

美愉は、鏡の中の自分に向かって大声をあげる。
だが、鏡の中の自分は、それでも言葉を続ける。

『織田奈那がゆいぽんと一緒になったら、もう私は誰とも関係を構築できない』
「違う、違う!!」
『私には、織田奈那しかいないの!!』
「違う!!!」

レッスン室で大声をあげて座り込んでしまった美愉。
頭を抱えながら、俯き大きく息を吐く。
鏡の前では立っている自分自身が、見下ろしている。

『私は……織田奈那が好き』
「……私は、織田奈那が好き」

小さな声で、うつろな目で美愉はつぶやいた。
0081 ◆VB3EeL1xw6 (やわらか銀行)
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2018/03/21(水) 20:50:44.40ID:HSGj137S0
翌日、レッスン室にて全員での練習が始まっていた。
みんなが一生懸命、練習を続ける中、ダンスの上手い齊藤冬優花、そして鈴本美愉が先頭に立って練習を行っていく。
だが、美愉の様子は明らかにおかしかった。
彼女は、織田奈那につきっきりで練習をしており、他のメンバーからの質問などは受け付けない状態となっていた。
結果、皆が冬優花にと聞く羽目になり、冬優花は大変な目に遭っている。
そんな様子を後ろから見ている志田愛佳と、渡邊理佐。

「オダナナ、どうしたの?みゆにめっちゃしごかれてるじゃん」
「っていうか、他のメンバー無視してるみたいだよね」

理佐の言葉に、愛佳は頷いた。

「確かに、どうしたんだろ」

事件はそれだけでは終わらない。
織田奈那が付きっきりの練習でヘトヘトになる中、練習を再度行おうとする強行を見せようとする。

「ま、待って、美愉。ちょ、ちょっと休憩させて」

壁際で倒れるように座りながら声をかける織田奈那。

「ダメだよ。もっと頑張らないと!」
「み、美愉ちゃん、少し休ませてあげた方が……さっきから休憩もないし」

様子を見ていた小林由依が声をかけた。
それに対して顔色を変える美愉。

「ゆいぽんが甘やかすから、織田奈那がダメになるの。近づかないで」

冷たく言い放つ美愉の言葉。
その言葉を聞いた副キャプテンである守屋茜が慌てて駆け寄ってくる。

「ちょっと、美愉!そんな言い方ないでしょ?」
「そうだよ、美愉。いくらなんでも言い過ぎ」

その場にいたメンバーが美愉の暴言に制止をかける。
だが、美愉はそういったメンバーの言葉をまるで聞こえないとばかりに、無表情でいた。
織田奈那は、今にも泣きだしそうな由依を支えるようにして、頭を撫でる。
そんな様子を見て、美愉はさらに怒りを露にする。

「織田奈那に近づくな!」
「美愉、落ち着いて!」
「茜、美愉を一旦部屋から出そう」

慌てた茜と齋藤冬優花が美愉を連れて、レッスン室を出ていく。
周りのメンバーは、その異常事態にと呆然としており、とうとう泣き出してしまった由依にとメンバーが慰めている。
由依は自分が何かまずいことをしてしまったのかと不安に駆られていた。
もともと気が強いタイプの子ではない由依にとっては自分が嫌われるような・傷つけるようなことをしてしまったのではないかという
不安が大きく出ていた。

「私、美愉ちゃんに何かしちゃったかな?」
「大丈夫だよ、由依。由依は何も悪くないから」

そういって慰める織田奈那。
その様子を眺めていた志田愛佳は、腕を組み考える。
人が急に変わってしまうと言った光景を最近も身近に体験したからである。
愛佳は、隣にいる理佐の方を見た。
0082 ◆VB3EeL1xw6 (やわらか銀行)
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2018/03/21(水) 20:51:45.09ID:HSGj137S0
「これは事件だ!」
「え?」

突然の愛佳の言葉に思わず聞き返してしまう理佐。
愛佳は、理佐の腕を掴み原田葵の元へと向かう。
理佐のドッペルゲンガー事件の際、自称霊媒師のアロハTシャツを案内してもらったのは葵だったからである。
葵は、理佐と愛佳が急にやってきたことに驚きながら、一緒に居た小池美波の後ろにと隠れる。

「イジメないからでておいでー」
「子ども扱いしないで!」

理佐の言葉に、そう言い返す葵。
愛佳はそんな二人の微笑ましいやり取りを聞きながら、葵を見る。

「葵、今の美愉の行動……、理佐のドッペルゲンガーの時に近いなと思って」
「ドッペルゲンガー??」

思わず首をかしげる小池美波。

「あ、いや、みーちゃんには関係ないから大丈夫!」

そう説明をする志田愛佳に対して、小池美波は背後に隠れる葵を見る。

「葵。あの人の話、他の人にしたん?」
「え?みーちゃん知ってるの?」

思わぬ言葉に理佐が問いかける。
美波は小さく頷いて、他のメンバーが聞いていないことを確認すると話し出す。

「あの人は元々、うちの友達の知り合いでな。葵が暫く大変な時期があってその時、うちが紹介してあげたの」
「そうだったんだ、てっきり葵の知り合いだとばかり」
「お金が高額だし、あんまりみんなに教えるのもどうかと思ってね」
「でも、おかげで理佐は一つに戻れたし、助かったんだよ。美愉も……たぶん、理佐と同じで」

愛佳の言葉を聞いた美波は泣いている由依と連れていかれた美愉を思う。
アロハシャツの自称霊能者は、怪異と呼ぶ現象について怪異は怪異を呼ぶと言っていた。
葵の事件、そして理佐・ドッペルゲンガーと続き、今度は美愉もまた同様の怪異に襲われているという可能性がある。


「……美愉ちゃんとゆいぽんのためだもんね」


美波は、そう告げた。
事情を知る愛佳、織田奈那、理佐、葵を連れて、美愉をアロハシャツの自称霊媒師の元へと連れていく美波。
織田奈那が近くにいることで、暴れていた美愉は落ち着いていた。
織田奈那の腕を掴みながら、離そうとしない美愉。
それは、以前の美愉とは明らかに違っている。
完全に心酔しているようだった。

彼らは、霊媒師がいるアロハシャツ男のいる場所……某都内の雑居ビルの一室へと訪れる。

「すいません、忍野さんいます?」

そう問いかける小池美波。
相変わらず生活感のない室内で、アロハシャツの男=忍野は座っていた。

「やあ、美波ちゃん」

軽い口調で告げる彼は、織田奈那にしがみつく鈴本美愉を見る。
明らかに異質な雰囲気を忍野
0083 ◆VB3EeL1xw6 (やわらか銀行)
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2018/03/21(水) 20:53:10.49ID:HSGj137S0
は感じ取っていた。

「……彼女のことを見せに来てくれたのかい?」
「はい!理佐を助けてくれたように、また鈴本のことも!」

愛佳がそう忍野にと言う。

「待った待った、彼女を助けたのは僕じゃない。人は勝手に自分で助かるんだ。
だから、彼女に対してもそうだ。人は勝手に自分で助かるのさ……僕はそれに対してアドバイスを与えているに過ぎない」
「……だったら、アドバイスでもいいから教えてくださいよ!」

愛佳は苛立ちながら、忍野にそう言う。
そんな荒ぶる愛佳を前にして、理佐が一歩前に出て忍野を見る。

「忍野さん……どうして美愉がこんな風になってしまったんですか?」
「我慢の限界っていう言葉があるね?人には、皆、限界がある。
我慢の限界を超えて、人を殺めてしまったなんて。よく聞く話だよね。
例えば、感情の抑制をしていて、それが限界に訪れてしまうとどうなってしまうのか?
彼女のように……自分を抑えることが出来なくなってしまうのではないのだろうか」
「……」

忍野の言葉が意味をするものは、偶像崇拝にあたり、恋愛禁止という十字架を背負わされていることにあたる。
特に感情を押し殺している、人間とのかかわり合いが極端に少ない美愉だからこそ陥った事態だと言える。
本来であれば、思春期の少女は恋愛をするものであるし、経験するものである。
それを極端に抑えることで結果、異常なストレスを持つこととなる。

「じゃあ、一体どうすれば」

捲し立てようとする愛佳を抑える美波と葵。

「……それじゃあ、その我慢の限界カ所を抜ければ元に戻るってことですか?」

理佐の問いかけに、忍野は頷く。

「抱えているものを放出すれば、人は収まるだろう?それと同じだよ。
彼女もまた、全部放出をすれば、元に戻る」

忍野の言葉に、その場にいる一同が胸をなでおろす。

「ちょ、ちょっと!それじゃあ、それまで私は美愉と一緒ってこと!?」
「仕方ないんじゃない、オダナナがかまってあげないのが悪いんだし」

愛佳はぶっきらぼうにそう告げる。

「頑張れ!オダナナ」
「葵まで!?お、忍野さんどうにかならないんですか??」

織田奈那が必死になり忍野にと問いかける。
忍野は、そんな織田奈那に対して少し考えながら……。

「時間と質で考えて、それがイコールとなるならいいんじゃないかい?」
「要するに……」
「ちゅーすればいいんじゃない?」

愛佳が織田奈那にとぶっきらぼうにいう。

「ああ、それいいじゃん!」
「そうだね、それが一番いいかもしれない」
0084 ◆VB3EeL1xw6 (やわらか銀行)
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2018/03/21(水) 20:54:33.17ID:HSGj137S0
それに乗る原田葵と小池美波。
織田奈那は隣でしがみついている鈴本美愉を見る。
美愉は、顔をあげて織田奈那を見た。

「いやいやいや、できないでしょ!!」

織田奈那が声をあげる中、愛佳が冷たい目を織田奈那にと向ける。

「っていうか、織田奈那が今回の事件の一端を担っているのは間違いなんだからさ、それくらいやらなきゃ」
「なんでよ!?私のせい!?」
「いつも、織田奈那がみゆちゃんに冷たいからな」

小池美波もまた愛佳の言葉に賛同した。
織田奈那は、誰も庇ってくれる人がいない状態の中で、美愉を見た。


翌日……。


「ごめん!!ゆいぽん!!私酷いこと言っちゃってたみたいで!!」

レッスン室で謝罪をする美愉。
小林由依は、そんな美愉のことを抱きしめながら泣いて喜んだ。
自分が嫌われていたんじゃないかという不安から脱することができたからだ。
周りで見ているメンバーからも二人の和解を祝う声であふれている。
そんな様子を外から眺めている織田奈那と、志田愛佳、渡邊理佐。

「はあー、ったくやるときはやるよね、オダナナ」
「私は、ちょっと嫉妬しちゃうなー」
「今度は、理佐が美愉みたいになっちゃうかな?」

「もう勘弁して!!」

愛佳と理佐の言葉に、織田奈那の悲痛な叫びがレッスン室にと響き渡った。

今日も、欅坂46は平和である。
0086名無しって、書けない?(大阪府)
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2018/03/21(水) 21:36:18.84ID:ZgPC/+Bj0
>>85
メンバー間から伝わってくる雰囲気がとてもリアルですね
テンポよく進んでいるのに、レッスン場の喧騒具合が細かに感じられます
フェードアウトもスッキリしていて読みやすいです
0087名無しって、書けない?(庭)
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2018/03/21(水) 22:05:31.77ID:FhO2x79ra
>>85
面白かったです!

前回の理佐ちゃん編同様ストーリー性が高くて読み応えかありました
0088保育園の理佐ちゃん 第1話(庭)
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2018/03/23(金) 14:17:51.38ID:ayzWhi+/a
「うーん、眠いな〜」
眠い目をこすりながらわが子を保育園に送る俺

「よし俺助、理佐ちゃんめがけて駆けってけ」
保育士の理佐ちゃんとお近づきになるためにわが子俺助をだしに使う俺

「うん」
ほぼ毎日作戦を遂行してるせいか俺の指示に従うとおもちゃを買ってもらえると学習したわが子俺助

理佐ちゃんめがけて一目散に駆けってく

「わあ!俺助君今日も元気だね」
わが子俺助に優しく声をかける理佐ちゃん

「すいません、俺助が迷惑かけてるみたいでお詫びに今度ご飯ご馳走させてください」って謝る振りして誘う俺

「迷惑なんてしてないからけっこうです」って人見知りと警戒心を発揮して冷たいお返事の理佐ちゃん


「しっかし、会話弾まねえな・・・」って今日も理佐ちゃんと会話が弾まずに愚痴りながら会社に向かう俺


「やべえ、俺助が待ってるから早く迎えに行かねば」
仕事でミスを連発してたせいで保育園にわが子を迎えに行くのが遅くなってしまった俺

「すいません」って駆け込む8時半の俺に

「静かに」って口に手を当てる仕草する理佐ちゃん

ラッキー居残り当番理佐ちゃんやん!って上がる俺

「遊び疲れて寝ちゃいました」って寝てる俺助を指差す理佐ちゃん


「今日は本当にすいませんでした、お詫びに夕飯ご馳走させてください」
俺助をおんぶして理佐ちゃんに謝りながら再び誘う俺に

「仕事なのでお詫びはいりません」って鉄壁ガードな理佐ちゃん

お辞儀と共にカバンから散乱する俺の荷物

慌てて拾い集めようとする俺を制して荷物を拾ってくれる理佐ちゃん

「たびたびすいません、おわびに夕飯ご馳走させてください」って三度目の正直に賭けてみる俺に

「どさくさ紛れに誘わないでください」って苦笑いする理佐ちゃんだけど

俺助をおんぶして両手に荷物の俺見て

「あのう・・・途中まで荷物持ちましょうか?」
なんてため息まじりに聞いてくれる優しい理佐ちゃんだから好き
0089名無しって、書けない?(庭)
垢版 |
2018/03/23(金) 14:19:00.27ID:ayzWhi+/a
保守代わりにひさびさ投稿w
0090あまく危険な香り ◆pZLaUoYPXc (catv?)
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2018/03/23(金) 14:50:33.48ID:L+ps0jnO0
黒いシースルー越しに美彩の白い胸元が見える。テーブルを挟んで向かい合う僕はそれをチラチラ見ていた。
テーブルの下、微かな闇のなか。美彩の赤いハイヒールが僕の太ももを軽く蹴った。
僕は美彩を見る。悪戯が露見した子供のような目で。美彩は椅子に掛けたカーディガンを取り、羽織ってしまった。なんだか、複雑な感情。胸元はいま完全にカーディガンで隠れた。
「お待たせ致しました。」
店員が楕円形の容器に盛られたジェノベーゼ風のパスタを運んでくる。ここは美味しいイタリアンを食べさせる店だ。一昨日から散々調べて漸くここにたどり着いた。
「頂きまーす。」赤の唇が妖しく光る。
しかしながらそう感じたのは僕の余計な下心が原因かもしれない。僕は銀のフォークで緑色のソースがかかったパスタを巻き付けて口へ運ぶ。丁度いい塩味が口腔内に広がる。
「美味しい。」
符丁が合ったように僕と美彩はつぶやく。
そのとき。美彩は微かに笑いながら僕をみた。
聞き慣れぬ店内のジャズが一瞬止んだ気がした。
紅潮した頬に冬の夜風は丁度いい。
「ごちそうさまー。」
美彩は悪戯な眼差しで僕に言う。
体ばかりはでかく、中身が伴わない、木偶の坊と化した財布をコートのポケットに突っ込むと僕は美彩と並んで歩く。
「このあとどうするの?」
幾つものネオンが潤んで消えた。
道はただ真っ直ぐ続いていた。
歩調はやや前のめりに。

派手なネオンの看板は夜になると男女ふたたりにとって格好の誘蛾灯になる
僕は眼差しで尋ねる。
「・・・やっぱり。」
美彩はつぶやく。しかしそれは否定的なニュアンスでは無い。
予想していたかの様に、(少なくとも僕には)思えた。

流れるようにごく自然な動作で躯を求め合えば、互いに満たされるのだろう。しかし僕にはそんな技量は持ち合わせていなかった。

映像で見るのと、実際は違うのだと。
思い知らされる。
幾度目かのキスはバジルの味がした。
失敗した。僕は頭の中で思う。
思えばすべてが計算外であった。


なぜ、うまくいかないのか?
映像のように上手く服を脱がせられない。
頭上に浮かぶ幾つかの疑問符。
見かねた美彩は自らその黒いシースルーを脱いだ。
白い肌に細い紐の黒いキャミソールがあらわれた。美彩の程よく膨らんだ胸。僕は慌ただしく自らが着ていたシャツを脱いだ。
それすらも機械のようにぎこちない。
「寒い...」美彩は小さく呟く。
「ごめん...」僕は掠れた声で謝る。
夜は思ったよりも長いように思える。

「緊張しすぎ。」
美彩はベットの中で笑いながら言う。
あれから何分たったのか?
正確なことは覚えていない。
脱ぎ捨てられた服と裸に荒い吐息の美彩。
それらが先程までのぎこちない行為を物語っていた。
「ごめん。慣れてないから。」
美彩の方を向いて謝る。
「知ってたけどね。」
美彩はあっさりとそう言う。
「知ってたの?」
僕は聞き返した。
「当たり前でしょ何年先輩だと、思ってるの。」
美彩は慰めるように言った。
0091名無しって、書けない?(catv?)
垢版 |
2018/03/23(金) 14:52:09.75ID:L+ps0jnO0
直前になってヒロインを変更しました。やっぱりこういうのは衛藤美彩さんかなあ。と。
元ネタは山下達郎さんの「あまく危険な香り」から。もうその要素なにもないですけどね。
0092名無しって、書けない?(庭)
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2018/03/23(金) 18:12:57.66ID:veaWAgtaa
>>91
乙でありますm(__)m
0093名無しって、書けない?(庭)
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2018/03/23(金) 18:16:16.55ID:veaWAgtaa
>>88
丸一日レスがなかったので発揮過疎化と早とちりして保守に舞い戻ってきましたが続きは「理佐ちゃんだから好きスレ」に戻って書きます

失礼しましたm(__)m
0095ドッキリ仕掛人の理佐ちゃん 第1話(庭)
垢版 |
2018/03/25(日) 20:37:19.32ID:QVF9a8lPa
「俺君、おはよう」
同じクラスの理佐ちゃんが登校中の俺に挨拶してきた

3年間の高校生活で理佐ちゃんと同じクラスになったのは3年生の1年だけ、話したことは数回しかない俺
でも高校入学以来超美人な理佐ちゃんに恋をして3年間理佐ちゃん一途に片想いな俺

そんな路傍の石にも劣る俺に理佐ちゃんから挨拶してくれたことに感動する俺


「ごめん、突然声かけちゃって驚かせちゃったかな・・・?」

憧れの理佐ちゃんから初めて挨拶された感動で放心状態の俺を見て戸惑う理佐ちゃん

「いや、全然大丈夫」って慌てて手を振る俺

「もうすぐ卒業だから俺君に伝えたいことがあるから放課後教室で待ってて」
なんて俺の度肝抜く理佐ちゃん


これは・・・告白されんだろ?

世界一の美人理佐ちゃんから告白されるかもしれない緊張感で授業どころじゃない俺

それでもドキドキと期待の視線で愛しの理佐ちゃんを見る俺

俺の視線に気づいてこっち見るもすぐに視線を逸らす恥ずかしがりな理佐ちゃん

そしてあっという間に放課後

教室で理佐ちゃんと見つめ合うドキドキな俺

「ずっと好きでした、付き合ってください」
恥ずかしがりながらも告白してくれる理佐ちゃん

「よ、よ、喜んで」
緊張から変な返事になってしまった決まらない俺

その瞬間

「はい!そこまで〜」なんて大声で入ってくるクラスメイトたち

「どうなってんの!?」って驚く俺に

「卒業記念ドッキリ」
なんて申し訳なさそうに下向く理佐ちゃんだから好き
0096名無しって、書けない?(庭)
垢版 |
2018/03/25(日) 20:38:40.81ID:QVF9a8lPa
誤爆しちゃった、、、涙
0097ドッキリ仕掛人の理佐ちゃん 第2話(庭)
垢版 |
2018/03/25(日) 20:59:43.70ID:QVF9a8lPa
「なんだよ〜人が悪いな〜」
憧れの理佐ちゃんに騙されて超ショックだけど、それを皆に気づかれたくなくて明るく振る舞う健気な俺

「俺君なら図太いからドッキリ仕掛けられても平気だと思ってさ〜」
なんて俺の神経を逆撫でするクラス委員の澤部

ぶち殺すぞ!この野郎!卒業目前に失恋させやがって!

なんて怒りを腹に静め笑顔で三枚目を演じる哀しいピエロな俺

「ごめんね」ってそんな俺にまた謝る理佐ちゃん

「なに暗い顔してんの一番に仕掛人に名乗り出たくせに」
なんて暗い顔した理佐ちゃんを抱きしめて励ます志田愛佳

ガーン!憧れの理佐ちゃんがノリノリで仕掛人やってたなんて・・・


「ひぃ〜3年間好きだった理佐ちゃんが性格悪かったなんてショックだよ〜」
教室では平気な振りしてたけど我が家に帰ってきて泣きわめく俺

顔が可愛いだけの女だったんだなぁ理佐ちゃん

100年の恋もあっさり覚めちゃった切り替えの早い俺

そして翌日

「俺君、おはよう」
またも朝の挨拶してくる理佐ちゃん

辺りをキョロキョロ警戒する俺

「ねぇ、なにやってんの?」って聞く理佐ちゃん

「いや、またなんかドッキリかと思って」ってもう憧れてないから理佐ちゃんにだって嫌味を言っちゃう俺

「ごめん・・・」って謝る理佐ちゃん

「別に気にしてないよ、3年間無駄にしたのを後悔してるだけ」って学校に向かう俺を

「ねぇ、ちょっと待ってよ」
なんて呼びとめる理佐ちゃんだから好き
0098名無しって、書けない?(庭)
垢版 |
2018/03/25(日) 21:01:28.99ID:QVF9a8lPa
誤爆ついでにこっちに完結まで書いちゃうヤケな俺
0099ドッキリ仕掛人の理佐ちゃん 第3話(庭)
垢版 |
2018/03/25(日) 21:30:44.84ID:QVF9a8lPa
「ねぇ、ちょっと待ってよ」
なんて理佐ちゃんの言葉に足を止める俺

「3年間無駄にしちゃったって何?」って聞く理佐ちゃん

「3年間片想いしてた子がノリノリで仕掛人やっちゃうぐらい性格が悪いって分かって好きじゃなくなっちゃったんだよね」って皮肉言う俺

「別にノリノリでやったわけじゃないよ・・・」って消え入りそうな声で呟く理佐ちゃん

「志田さんが一番に仕掛人に名乗り出たっていってたじゃん」って冷たく言う俺

「それは・・・私以外の女の子が俺君に告白して俺君が喜ぶの見たくなかったから・・・」
ますます消え入りそうな声の理佐ちゃん

「それって?」
理佐ちゃんへの恋心は覚めたはずなのに何故かドキドキしている俺

俺の問いかけに真摯な眼差しの理佐ちゃん

「私も3年間好きだった人に失恋しちゃったのかな?」
なんて逆に俺に聞いてくる泣いちゃいそうな理佐ちゃん

「まだ失恋してないと思う・・・」って理佐ちゃんに手を差し出す俺

「仕掛人やって良かった・・・」
なんて泣き笑いしながら俺の手を握りしめる理佐ちゃんだから好き


0100名無しって、書けない?(千葉県)
垢版 |
2018/03/25(日) 22:52:17.94ID:bVw/ZGG5C

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