ストーカーの部屋を見張りながら稔侍に電話をかける男
「ああ、連れて帰ってくれたか?理佐な父親が生きてるの知ってたよ、いや言ってねぇ、俺は一時理佐の前を横切っただけの存在で良いんだよ、俺になんかあったらよお前理佐の父親になってくれないか・・・」
話しの途中でストーカーが出てきたことに気づき電話を切る
「お前誰だ?」前に立ち塞がる男に警戒心を露にするストーカー
「お前ヤクザの倅なんだって、胸ポケットの膨らみは拳銃か?」ポケットに手を入れたままストーカーに近づく男
「てめえ、サツか?」ストーカーの狼狽から察するにやはり胸の膨らみは拳銃のようだ
「どこ行くつもりだ」ストーカーの目を見据えながらさらに近づく男
「あん、てめえに関係ねぇだろ、狙ってる女をこいつで脅かして物にしに行くんだよ」
激高するストーカーの狂気を孕んだ瞳に1日遅れていたら理佐の命が危なかったと胸を撫で下ろす男
男の声に辺りの家の灯りがつき始める
もっと騒げ、目撃者は多いほど良いんだ
もうすぐ警察も来るだろう
ポケットに入れた手をストーカーに向けてさらに踏み出す男
誰かか通報したのかパトカーのサイレンが近づいてくる
「てめえ、何考えてんだ?」身の危険を感じて叫ぶストーカー
「お前の親父が対立してる組織のもんだよ」そう言ってさらに近づく
「サイレンの音聞こえねえのかよ」怯え始めるストーカー
「もうそこまで来てるな、早いとこケリつけるか」
男がそう言った瞬間
ストーカーが拳銃をぶっ放す
弾かれたように後方に倒れる男
ポケットから手を出しストーカーに見せる
「丸腰の相手に全弾打ち込んだんだ、下手したら一生刑務所暮らしだな、お前余罪もたくさんありそうだしな」苦しい息の中からストーカーに呟く男
駆けつけてきた警察がストーカーを逮捕したのを見届けると同時に男の息も絶えていた
完