お昼過ぎに降りだした雪は夜半過ぎには積もり辺り一面を白銀の世界に染めていた

ストーカーの部屋を見張りながら稔侍に電話をかける男
「ああ、連れて帰ってくれたか?理佐な父親が生きてるの知ってたよ、いや言ってねぇ、俺は一時理佐の前を横切っただけの存在で良いんだよ、俺になんかあったらよお前理佐の父親になってくれないか・・・」
話しの途中でストーカーが出てきたことに気づき電話を切る

「お前誰だ?」前に立ち塞がる男に警戒心を露にするストーカー

「お前ヤクザの倅なんだって、胸ポケットの膨らみは拳銃か?」ポケットに手を入れたままストーカーに近づく男

「てめえ、サツか?」ストーカーの狼狽から察するにやはり胸の膨らみは拳銃のようだ

「どこ行くつもりだ」ストーカーの目を見据えながらさらに近づく男

「あん、てめえに関係ねぇだろ、狙ってる女をこいつで脅かして物にしに行くんだよ」
激高するストーカーの狂気を孕んだ瞳に1日遅れていたら理佐の命が危なかったと胸を撫で下ろす男

男の声に辺りの家の灯りがつき始める

もっと騒げ、目撃者は多いほど良いんだ
もうすぐ警察も来るだろう

ポケットに入れた手をストーカーに向けてさらに踏み出す男

誰かか通報したのかパトカーのサイレンが近づいてくる

「てめえ、何考えてんだ?」身の危険を感じて叫ぶストーカー

「お前の親父が対立してる組織のもんだよ」そう言ってさらに近づく

「サイレンの音聞こえねえのかよ」怯え始めるストーカー

「もうそこまで来てるな、早いとこケリつけるか」
男がそう言った瞬間

ストーカーが拳銃をぶっ放す

弾かれたように後方に倒れる男

ポケットから手を出しストーカーに見せる

「丸腰の相手に全弾打ち込んだんだ、下手したら一生刑務所暮らしだな、お前余罪もたくさんありそうだしな」苦しい息の中からストーカーに呟く男

駆けつけてきた警察がストーカーを逮捕したのを見届けると同時に男の息も絶えていた