ブレーンワールド(その23)
砂浜での出来事以来、ねるに電話をしてもすぐに切られるし、メールもスルーされるようになった。
池袋で最初に見たときにはとても可愛いと目が釘付けになったにせよ、それ以上ではなかった。
深く関わりあううちにねるの内面はもっと価値があることを知った。
明るく社交的ながらも、謙虚で気遣いができる。
礼儀作法を叩き込まれたお嬢様ではなくても、天性の優雅さを持っている。
俺の魂がねるに完全に捕らわれてしまったことに気づかされた後には、世界は真っ二つに分けられてしまった。
半分はねるのいる世界で、そこにはすべての幸福、希望、光があった。
もう半分はねるのいない世界で、そこはすべてが憂い、絶望、闇だった。
ねるがいない世界なんて考えられない。なのに、そのねるが俺とは会いたがらない。ねる、ねる、ねる・・・、会いたい・・・と苦しい日々が続いた。(続く)