けやき並木の葉が風に揺れ、木洩れ日が通りに濃い影を落としている。
風の中にも、微かに秋の気配を忍ばせる八月下旬、
柿崎芽実と佐々木久美は乃木欅書店の前に立っていた。

手には大きなポスター。
青に白のストライプが鮮やかな衣装を身に纏い、
ひらがなけやきメンバーが初々しく立っている。
今日は、日頃お世話になっている書店に挨拶に来たのである。

佐々木「めみい、Wセンターおめでとう」
柿崎「ありがとう、久美ちゃん」
嬉しさと恥かしさで、芽実は久美に後ろから抱き付いた。
背の高い久美の背中は、芽実にとって安らぎを感じる場所である。

佐々木「ほら、めみいから店員さんに声を掛けて、五月に来た時もお世話になったでしょ」
柿崎「分かった・・」

意を決して書店のドアを開く柿崎芽実は、結成から三か月で確かに成長していた。
そんな芽実を見守って後ろを歩く佐々木久美もまた、凛々しく美しくなっている。

季節が変わる九月はもうすぐである。