平成18年に航空自衛隊奈良基地(奈良市)に勤務していた男性隊員=当時(49)=
が自殺したのは、長時間勤務で鬱病を発症したのが原因だとして、
滋賀県に住む妻ら遺族が国に約7900万円の損害賠償を求めた訴訟が、
大津地裁で和解したことが27日、分かった。国が和解金として7400万円を
支払う内容で、12日付。

月100時間の残業…遺書「部下不在で業務負担大きい」

 訴状によると、男性は18年4月から、基地内にある幹部候補生学校総務課に所属し
、記念行事の準備や対外交渉、部下の管理指導などを担当。
同9月に基地内の建物から飛び降り自殺した。

 当時、男性の班では部下が鬱病になるなどして2人の欠員が出ていたが、
補充はなく、男性の自殺する1カ月前の時間外労働(残業)は月約100時間、
2カ月前は同約80時間に上っていた。男性の遺書には「部下が不在で
業務負担が大きい」といった内容が書かれていたという。

 原告側は「不十分な勤務環境下で不慣れな業務に従事せざるを得ず
、時間外勤務や休日勤務を繰り返し、精神的にも肉体的にも相当な負荷を受けていた」
と主張。「業務量の軽減や人員の補充も行っておらず、
漫然と過重な業務に従事させた」として、自衛隊側に安全配慮義務違反があった
と訴えていた。

 男性の自殺をめぐっては国が26年11月、自殺と業務との因果関係を認め、
公務災害と認定している。奈良基地広報室は「コメントを控える」とした。