統合失調症の症状-陽性症状

 統合失調症では特徴的な幻覚・妄想の症状が出現します。幻覚と妄想をまとめて陽性症状と呼びますが、おおよそ急性期に生じることが多いです。陽性症状ではありえないことを言うようになるため周囲の人はびっくりしてしまいますが、薬物療法で比較的治療しやすい症状です。

幻覚
幻覚とは、実在しないものが感覚として感じられるもので、聞こえないはずの声などが聞こえる幻聴と、見えないはずのものが見える幻視などがあります。統合失調症では、幻聴が多く発症しますが、幻視はとてもまれです。

幻聴は外部から情報が入ってくるように感じるため、「脳に電波が入ってくる」「宇宙人が交信してくる」といった妄想を抱く患者も多く、「誰かが監視している」「悪口を言われている」などと訴えることも典型的です。

妄想
妄想とは、明らかに誤ったありえないことであるのに事実だと信じ、周りが訂正しようとしても受け入れられない考えのことです。統合失調症では、1種類から数種類の妄想がみられることが多いです。

被害妄想
被害を受けていると感じる妄想です。「周りが自分の悪口を言っている」「自分の体臭を他人が気にしている」など

関係妄想
周囲のできごとをすべて自分に関連付けてとらえる妄想です。「自分が家の前を通るたびに近所の人が咳払いをして威嚇している」など

注察妄想
常に誰かに見られていると感じる妄想です。「監視カメラで監視されている」など。

追跡妄想
誰かに追われていると感じる妄想です。「誰かに尾行されている」など

誇大妄想
自分を偉大であると思い込む妄想です。「自分は世界を動かせる」など

知覚過敏
統合失調症では、音や匂いに敏感になり、光がとても眩しく感じる知覚過敏症状が出現することがあります。