続き

モニター越しでは明らかにソレが巡察隊員の足下にあるのに、やっぱり現場の2人には見えてない様子。
警衛所内の数人とも「モニターの故障か、レンズの汚れか何かじゃないか?」という話も出ていたが、
不気味なのは巡察隊員の足下とその物体が重なった時、
ちゃんとその物体が「踏まれた」ように重なって映るんだよ。
カメラやレンズの問題だったら決してそんな風には映らないはずなのに。

いよいよ全員気味悪くなって、その場にいる中で一番下っ端だった俺も
現場へ行って直に確認してくることになった。
現場の巡察とも合流して、例の物体のあるところを懐中電灯で照らしたんだけど本当に何も無い。
現場に何も無い以上、こちらとしては対処のしようが無いのでひとまず警衛所へ戻って、
通常の警衛勤務態勢に戻った。もちろん南門モニターは特に注意して監視ってことで。

それからしばらく、30分くらい引き続きモニター監視してたんだけど、
カメラを一瞬別の方向に動かしてまた例の画面に戻したらすっかり消えていた。

結局あれは何だったんだろうと話している内に朝になって、
上番警衛に申し送って下番するぞという時に、例の南門のすぐ隣りにある
民家で火災が起きて一人暮らしだった50代の女の人が焼死したと、地元の新聞に小さく載った。