小学生の時、いじめをしていた。
気の弱いやつをからかっているだけって認識だった。
ホッチキスの針で泣くまで突っついたりして本当に悪かった。血は出なかったけど、彼はさぞ痛かっただろう。本当に申し訳ないと思う。
中学校に上がって、自分が同じような目に遭った。
先輩に殴られ、同級からはからかわれ、後輩からはナメられた。自分がそうなって初めて痛み、辛さ、悔しさ、悲しさ、怒りを感じて、でも自分ではどうにも出来ず、逃げられず、無力感と虚無感を味わった。毎日がつらくて、結局学校はまともに行けなくなった。
彼にこんなにつらい思いをさせてたなんて、自分が同じ状況になるまで気づけなかった。
当時、せめてひとこと謝りたいと思ったけれど、結局意気地がなくてできなかった。
幼い頃に他人にもたらされた暴力や痛みや恐怖や絶望が、その後の人生にいかに大きく影を落とすのかを身をもって味わっている。昔はそうじゃなかったのに、中学校の頃から大人になった今もずっと、他人の顔を伺って傷つかないようにビクビク生き続けている。
僕がいじめた彼はいまどうしているだろうか。幸せだろうか。自分と同じような人生になってはいないだろうか。このところ何度も夢に見る。あの時の彼の涙、自分がどんな顔をして人をいじめていたのかを何度も、何度も夢に見る。
いまさら謝っても赦されるはずはないが、本当に申し訳ないことをした。本当にすまなかった。