「あのカウンターの場面は守備のマネジメントが足りなかった。
セットプレーの後の帰陣が遅かった。それでも、ファウルで止められていれば問題なかった。
むしろ、ファウルで止めなければいけなかった場面だった。
クロアチアならファウルで止める。ブラジルもそう。
ドイツもファウルで止める局面なのですが、日本はそれができませんでした」

 リトバルスキー氏は運命を分けた場面をこう振り返った。
日本の左CKのチャンスでキッカーはMF本田圭佑。
ショートコーナーに対応しようとMF香川真司が近寄ったが、本田はすぐさまボールを蹴り込むと、GKクルトワにキャッチされてしまった。
ベルギーはここからが速かった。

 クルトワからボールを受けたMFデブライネはセンターサークル付近まで快足を飛ばすと、右サイドの裏のスペースに走り込んだDFムニエに展開。
ムニエが鋭いクロスをゴール前に入れ、FWルカクがスルーした背後でMFシャドリが左足で蹴り込んだ。
この間わずか「9秒35」という、まさに電光石火の速攻だった。

 この場面、日本は数的不利だった。
リトバルスキー氏はアンカー役として投入されたMF山口蛍ら守備陣にはデブライネをファウルで止めるという選択肢があったと強調。
絶対に失点してはいけない場面でイエローカード覚悟の“プロフェッショナルファウル”はブラジル、ドイツなど強豪国なら当然のプレー。
セリエAなどでは相手をファウルで止めることが慣習となっている。
ベルギーの速攻は追いつけないほど速かったという面はあるが、日本代表はファウルで止めるという手段を選ぶことができなかった。