さぁ、続けようか。

マスターは、抱えてしまった借金の事よりも、
美海ちゃんが辞めてしまったことの方がショックは大きかった。
固定客が離れてしまった事もそうだが、いずれにしても、一体何が敗因だったのかを必死で考え、反省した。

答えを出してくれたのは、意外にも自分自身だった。
それもそうである、彼は独りだったのだから…。

構想し、練りに練ったビジネスは、
誰の為にもなっていなかった事に気が付いた。

先ず俺ガー金持ちになる!!
なってあわよくば美海ちゃんとあんなことやこんなこと……。

自分の利益しか考えていなかったのだ。

当に《これって誰得?》状態である。

店主は、(もう一度チャンスをくれー)と
ズダボロにやられたリュウのような気持ちになった。

ここで100円を投入すれば生き返る!

マスターは銀行に走った。

しかし銀行は、晴れてる天気の時に傘を貸し、
雨が降れば傘を返せと言わんばの如く、
びた一文小切手が切られることはなかった。

あゝ無情