スペースシャトルが経験した2種類の事故、つまり打ち上げ時のロケットの異常や爆発と地球帰還時の損傷部からの機体破壊から
乗員を守って安全に帰還させようとするならば、それ自身が最低限の宇宙船機能(密閉性、耐熱性、帰還用パラシュートの装備、
本体からの脱出切り離し用ロケットブースタと、モジュールだけでなく宇宙船全体に対する操縦装置)を持つ脱出モジュールを
宇宙船に装備して、少なくとも打ち上げ時(周回軌道に乗り安定するまで)と帰還時(周回軌道から離脱後)の間は、
全乗員が脱出モジュール内に入って閉鎖扉をロックしておく必要があるね。

スペースシャトルのような航空機型(滑空方式や未実現だが自力飛行方式)の宇宙船の場合だと、脱出モジュールは、ちょうど、
アメリカ空軍のB-1戦略爆撃機(昨今は半島有事に備えて日本近辺に良く飛来してニュースになっているが)の
試作機(実戦配備された現用のは核武装できずM1.2までしか速度のでないB-1Bだが試作時のB-1AはM2の高速で核爆弾可)に
搭載されていた脱出モジュール(4名の搭乗員全てが乗るコクピット部全体が密閉されたモジュールとして、墜落の危機に際しては
コクピットモジュール全体がロケットモータで機体から打ち出されてモジュールごとパラシュートで帰還する方式。因みに現用のB-1Bの
乗員脱出方式は通常の戦闘機等と同じく各乗員毎の射出座席方式)や
しばらく前に退役したF-111戦闘爆撃機の脱出モジュール(こちらが元祖でB-1Aのモジュールはこれに基づき基本方式は同じ)のように
乗員全員をコクピット部に座らせてコクピット全体を小型ロケットで打ち出して
アポロやジェミニなど通常の非滑空方式の宇宙船のようにパラシュート回収する形になるんだろうね。

脱出モジュール方式は費用だけでなく重量も嵩むので宇宙船設計では頭の痛いテーマだろうが安全性は高い。