「第5次産業革命はバイオからやってくる」生命の限界を超える合成生物学【サイエンス思考】
https://www.businessinsider.jp/post-238983

「バイオ技術が、人間の想像力のはるか先に行ってしまった」

こう話すのは、東京工業大学のゲノム科学者、相澤康則准教授です。

「合成生物学のすごい点は、種の壁を越えてしまうことです。本来交配できない生物種の遺伝子たちを一つの細胞内で働かせることを目指すわけですから。その組み合わせによって無限にアウトプットが変わってくる」(相澤准教授)

組み込む遺伝子は、異種の生命体に存在しているものでも構いませんし、ヒトの手によって「デザイン」されたものでも構いません。
しかし、ゲノム配列を解読する技術が進歩した今日でも、人類が理解し産業活用できている遺伝子の数はごくわずかです。この先、ゲノムに関する理解が進めば進むほど、まるでパソコンにインストールするアプリケーションの数が増えていくように、DNAに組み込める機能が増えていくといえるのです。

アメリカのザイマージェンでは、機械学習を活用して、遺伝子を組み替えた微生物に効率的にタンパク質や樹脂素材などを製造させる技術を持っています。ザイマージェンは、2016年にはソフトバンクグループの主導によって1億3000万ドルを調達、2019年には住友化学との提携を発表したことでも知られています。

「アメリカの合成生物学の大企業は、酵母や大腸菌などの汎用性微生物のゲノムに、いろいろな生物の遺伝子を載せることで、クライアントが望む化合物を微生物に合成させています」(相澤准教授)