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「複数の自分」で生きる

VRの価値は、リアルとバーチャルの差がなくなることだけに留まりません。今後の10年で、人類始まって以来の「見た目が関係ない世界」が生まれることだと思っているんです。

たとえば、VR Chatというコミュニティサービスでは「おじさんが美少女になる現象」がよく見られます。
ユーザーはアバター選択の際に9割が美少女アバターを選ぶのですが、その中身のほとんどはおじさんなんですね。
もちろん最初は言動もおじさんっぽいのですが、慣れてくると、どんどん仕草や話し方が可愛くなってきます。
美少女のアバターを選ぶと、周りも自分を美少女として扱ってくれるから、おじさんの意識としても「美少女にならなきゃ」と変わっていくみたいです(笑)

さて、ここで思うのが、果たして「自分の性格とは何だろう?」と。このリアルな世界で、僕らは自由に生きているようで、そうではないのかも。
持って生まれた外見と社会性との関わりにおいて、期待されている「自分の性格」を演じているだけなのかもしれません。

リアルな社会で、みんなが息苦しさを感じているのは「単一の外見、単一のコミュニティ、単一の性格」に縛られて、抜けられないのも原因のはずです。
これがVRで「複数の外見、複数のコミュニティ、複数の性格」を選べると、より自由に生きられるんじゃないかと。

今すでに、Twitterで複数アカウントを使い分けたり、リアルな世界ではコミュニケーション下手な人がオンラインゲームで輝いたり、萌芽はあるんです。
しかも、バーチャルであればリセットが効くんですよね。リアルでは、なかなかリセットって難しいじゃないですか。