汎用人工知能の開発を
脳に学んでBeneficialなものとする
AIフォーラムレポート
http://www.asahi.com/dialog/articles/11659640/

山川宏(株式会社ドワンゴ ドワンゴ人工知能研究所 所長/NPO法人全脳アーキテクチャ・イニシアティブ 代表)

近年、飛躍的に進化しているのは、特定の作業の効率化や最適化などに役立つ「特化型」の人工知能(AI)ですが、SF小説や映画によく登場するのは、人間の脳のように異なる領域の多様で複雑な問題を解決できる「汎用」AIでしょう。
そんな究極のAIを2030年までに完成させることを目指すNPO法人全脳アーキテクチャ・イニシアティブを率いる山川宏さんが、「朝日新聞DIALOG AI FORUM 2018」に登壇し、一般にはまだなじみの薄い汎用AIについて解説しました。

汎用人工知能が知のフロンティアを開拓する

特定のタスクのみを実行するAIを「特化型」と呼ぶ一方で、人間のように様々なタスクを担えるAIを「汎用人工知能(AGI)」と呼びます。
まだ実現されていない技術ですが、私たちNPO法人全脳アーキテクチャ・イニシアティブは「人類と調和した人工知能のある世界」というビジョンのもと、
「全脳アーキテクチャーのオープンな開発を促進する」というミッションを掲げて、2030年を目標に、このAGIを実現すべく研究に取り組んでいます。

赤ちゃんが外界のモノに触れて世界がどうなっているかを学ぶ様子を、コンピューターにまねさせ、ロボットの目で物体を見ながらアームを動かし、それがどのようなモノで、動かすとどうなるか、「世界」を理解させることが、最近になってようやく実現しました。
車の自動運転でも次に何が起こるかを予測しますが、物質世界の常識を理解するところまでが現在の到達点です。