>>477
存在すべきものの多様性に関わる議論をさらに極端に推し進めると、「私たち人類は未来の宇宙にむけて何を残すべきか」という問に辿り着きます。
極めて個人的な見解とはなりますが、私としては「存続する知能」こそが、未来に残すべき何かだと思います。
私達が進化の荒波を超えて、今こうした知能社会を作り上げたことは非常な幸運です。そうであれば、知能それ自体に保存する価値があると考えることもありえます。
もし私達が、地球外の知的生命体と接触し、その後において共存する時代を迎えたなら、私たち人類はそうした生命体の存続についても配慮することになるでしょう。
そうなれば、将来において私たちにとって重要な価値は、人類自身の存続から知性の生存に拡張される可能性が高いでしょう。

一旦、人類の使命として「存続する知能を宇宙に広める」と仮定してしまえば、Existential Riskを回避しうる選択肢は大幅に広がります。
宇宙に進出して知能を受け継ぐものの候補は人類以外の、人工知能、遺伝子改変された動物、知能の種となる細菌やウィルスなどが考えられるかもしれません。
一例として、宇宙でも冬眠して行き続けられるクマムシに、好環境で一万年ほど進化すれば人間レベルの知能を生み出せるような遺伝子を組み込み、宇宙に拡散したとします。
すると多くの惑星上で、1万年に1回シンギュラリティが起こります。文明がシンギュラリティを超えられる確率がかなり低くても、それ以上に多くの星でシンギュラリティが起これば、やがて何れかの星では成功するかもしれません。
私達が宇宙初でこうした事業に成功すれば、私達人類の功績は宇宙の寿命に近い時間スケールで歴史に刻まれることになるでしょう。
ただこの際には、私達人類の業績を伝える何らかの記録を残すことを忘れてはいけませんね。