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――米国政府は先ごろ、世界でもっともパワフルなAIスーパーコンピュータとして「Summit」を発表しました。これもIBMの技術によって構築されたものですが。

 米国オークリッジ国立研究所に構築されたSummitは、人類のコンピュータ史上、重要なマイルストーンとなりました。
これは、米国政府のために構築した、人間が作ったもっともパワフルなスーパーコンピュータであり、1秒間に20京回(200PFLOPS)の計算を実行できる、世界最大規模のAIシステムともいえます。

 テニスコート2面分のスペースに、4608のノードが設置されているSummitの構築において、IBMは、まったく新しいヘテロジニアス型アーキテクチャを設計し、IBM POWERプロセッサの持つ、強力なデータ分析の能力と、
NVIDIA GPUが提供するディープラーニングの能力を統合することで、
極めて重要な計算課題において、未曾有の優れたパフォーマンスを得ることができました。

 Summitは、米国エネルギー省主導のスーパーコンピュータ計画「CORAL」プログラムにおいて、これまで解決が困難だった課題に取り組むために、技術革新と技術の限界領域を広げ続けるプロジェクトです。

 がん研究の進展や、米国でまん延しているオピオイド中毒に関与する遺伝的要因の理解、原子の相互作用のシミュレーションによって、エネルギー効率の高い新材料の開発、宇宙の起源を探るための超新星への理解など、
人間が一生かけても導き出せない答えを導き出すことができようになります。

 また、Summitで採用したものと同じスーパーコンピュータのアーキテクチャは、
IBM Power Systems AC922とビジネス用途向けのIBM POWER9プロセッサ搭載サーバー製品群として、企業や研究機関でも商業的に利用できるようになっています。
そして、将来は、これをさらに小型化し、手のひらに置くことができるようにしたいと考えています。