AIが「神」超える存在になる日は来るのか
小説家ダン・ブラウン氏に聞く
https://toyokeizai.net/articles/-/225448
人間はどこから来て、どこへ向かうのか。宗教の教えに、科学が真っ向から挑む。
『ダ・ヴィンチ・コード』のロバート・ラングドン教授が今回巻き込まれたのは、究極の「宗教対科学」の戦いだ。AI(人工知能)ははたして、神を超える存在になるのだろうか。
最新作『オリジン』著者のダン・ブラウン氏に聞いた。

――一方で、ここまで科学や技術が進歩しているにもかかわらず、宗教間、民族間対立はなくなりません。

世界が抱える多くの問題は、科学や技術が進化すればほぼ解決できると考えている。
世界に住むすべての人が、屋根のある家に住み、自分の子どもを食べさせられるようになれば、テロリズムは過去のものになる。

もしテクノロジーが裕福な世の中を作ることができれば、人口減や饑餓、温暖化、環境破壊問題などに解決策をもたらすことができれば、誰もが望むモノを手に入れることができるユートピアを作ることができれば、暴力は劇的に減るのではないか。

人間が技術と統合する時代はすでに来ている

──シンギュラリティ(技術的特異点)はありえますか。

間違いなく。ありえないとすれば、それは人類が自らを滅ぼすような事態が起きるときだろう。すでにコンピュータは、一部の能力においては人間をはるかにしのいでいる。
発明や技術は、新たなイノベーションを生むツールとなる。AIはまだ技術的に初歩段階にあるが、今のAIが次のイノベーションを生むツールとなり、それが続けばいつか特異点は訪れる。

同時に、人間も技術と“統合”していくだろう。すでに人は、補聴器やペースメーカーなどを利用している。今やナノテクノロジーを利用して血管を浄化する案さえ浮上している。
そのうち、スマホが人間の体や脳に埋め込まれる日も来るだろう。すでに、そういう時代に向かっているのだ。