>>204
——政府が国民にお金を配るベーシック・インカムという考えもあります。

政府がお金を配っている限りは、根本的な解決にはなりませんよ。
いくらお金をバラまいても農耕社会が誕生したときに生まれた支配者と被支配者の関係性は維持されるので、私たちは被支配者、つまり消費者という名の奴隷から解放されることはありません。
価値を交換するという発想からいち早く脱しなければならないのです。

——今一度、Give and Give の社会に戻すことはできるのでしょうか。

それが、2045年に訪れると言われている「人工知能的なシンギュラリティ」の先にある社会です。
2045年にはコンピュータが全人類の脳の働きをシミュレートできるという予想があり、そうなると自動化が進んで人間が働かなくてもよい世界が到来するかも知れません。
もっというと、働いて食べていける人がいなくなる社会になるのです。そんな社会に現状の貨幣経済のまま突入してしまうと地獄です。

——働かなくても良い社会では、私たちは何をするようになるのでしょうか。

子供のことを考えてみてください。子供たちは何をして生きているかというと、遊ぶためです。でも子供たちは遊んでいるにも関わらず、常に悔しがって泣いていますよね。それは、自分の思いどおりにならないことがあるからです。
でも思いどおりにならないことを自分の力で実現でようになると、悔しさは喜びに変わります。

——日々の成長を喜びと感じていると。

ここで重要なことは、子供たちは自己実現のリソースを周囲からアシストされていることです。
私は、これは大人も同じではないかと思っています。だれにでもやりたいことや知りたいこと、できるようになりたいことがある。そこで周りの人たちやコンピュータ、ロボットなどさまざまなアシストを得て、それを実現する。
自己実現のために生きて、必要なリソースは贈与してもらうというのが、幸せの根本的な形ではないかと思うんですね。