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■人工知能と競う必要はない

――人間の仕事が人工知能に代替されていくと、働き方は変わるでしょうか。

当面は、仕事が部分的に人工知能に代替されていくでしょうね。日本では一人のビジネスパーソンがいろいろな仕事を行っていて、いわば何役もこなしていますから、そのたくさんの仕事のうちのいくつかがなくなるという感覚ではないかと思います。比較的ゆるやかな変化ですね。
アメリカなどでは、仕事ごとに人が分かれていますので、それが人工知能に置き換わることで、その人の仕事がなくなってしまうということが起こるかもしれません。
人工知能時代には失業者が増え、人工知能を使える人は生産性が高くなっていきますから、貧富の格差は広がりそうな気がします。

――日本人は仕事がないと不安になってしまう人が多そうです。

日本人は働き者で、労働が大事ですよね。でも人間から人工知能にバトンタッチできるものは、どんどんしていけばいいと思います。
僕は数学だけやって暮らせたらどんなにいいかと思っています。本当は趣味だけやって暮らしていけることが理想ですよね。

むきになって人工知能と競う必要はないのです。幸せは、働き方ではなく、その人の生き方で決まるのではないでしょうか。
ひと昔前は、仕事をするなら正社員なんて言われましたが、派遣社員でも好きな仕事、おもしろいと思う仕事ができたらいいという時代になった。それなら、人工知能に仕事を奪われても、おもしろいと思うことができたらそれでいい。
僕は、人間の幸せは、様々な欲求を満たされることの積分値で決まると思っているので、いいことが多ければ幸せなになれると思います。