再生エネのボトルネック 化石燃料 脱炭素化で補完
Earth新潮流 (本郷尚氏)
https://www.nikkei.com/article/DGXKZO2959243019042018X93000/

気候変動問題をきっかけにエネルギーの世界が産業革命に匹敵する大変革期を迎えている。
例えばドイツの再生可能エネルギー発電の入札では、1キロワット時当たりの価格が太陽光で4セント台。風力では3セント台だ。
10年前の固定価格買取制度で太陽光が30セントを超えていたことを踏まえると低下は劇的だ。

発電コストだけでみれば、再生エネのほうが石炭火力より安い国も出てきた。
様々な補助金により大規模に利用され、技術改良と価格低下を呼んだが、再生エネのさらなる普及と価格低下の好循環はまだ続くだろう。

経済産業省のエネルギー情勢懇談会でも2050年に向けて再生エネの主力電源化が提案されるなど、日本でも変化は明確だ。
再生エネはもはや特別なものではない。

ただ、再生エネの利用が増えると新たな課題も浮上する。
発電に最適な立地から需要地までの送電網がボトルネックになるし、季節や時間帯、気象などによる発電量の変動対策も必要だ。

こうした課題は送電網の運用見直しや増強、大型蓄電池や水素貯蔵、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」を活用しての需給調整などで解決できなくはない。
しかし「100%再生エネ」には高いハードルがある。
再生エネは国産エネルギーだが、全ての国に平等に再生エネ資源が賦存するわけではない。
また電気では代替が難しい航空機燃料などもある。

国際エネルギー機関(IEA)は、再生エネ価格の低下と低炭素化の流れを受け、再生エネ電力のエネルギー供給に占める割合が高まるとのシナリオを示すが、同時に化石燃料の低炭素化や脱炭素化も提案する。