原子力発電所の再稼動問題が、経済や環境に与える負の影響が徐々に顕在化してきた。 31年ぶりの貿易赤字は、
LNG (液化天然ガス) や石油など電力用燃料の輸入増が一因。 経済産業省の試算によると原子力の再起動が
なかった場合、2012年度の追加燃料コストは約3.1兆円に達する。 電力会社の二酸化炭素 (CO2) 排出量も
11年度は前年度比で約35%増える見通し。 再起動の遅れは立地地域の雇用にも深刻な影響を及ぼしつつある。


またあまり知られていないが、経産省の試算によると、停止状態の発電所を維持するにも、人件費や修繕費、減価償却などで年間約1.2兆円のコストがかかる。

稼働時のコストは年間1.7兆円。 むろん安全性の確認が再起動の大前提だが、長期停止がいかに不経済かを如実に示す数字といえる。