不意打ちの「本震」 別断層を刺激 玉突き地震 2016年4月16日 夕刊

 熊本県を中心とする地震は十四日にマグニチュード(M)6・5の「前震」が起きた後、
十六日未明にさらに大きなM7・3の「本震」が起きた。震度6台の強い揺れをもたら
す地震が相次ぐ異様な事態で、震源も東側の大分県に広がりを見せている。何が起
きているのか、専門家に聞いた。

■飛び火
 名古屋大の鷺谷威(さぎやたけし)教授(地殻変動学)は「今回のように、地震活動
が飛び火して急激に拡大していく事態は、日本中の専門家にとっても未経験だ。本
震、前震という通常の概念を定義として超えている」と話す。

 震度6台の地震が相次いでいるのは主に布田川(ふたがわ)・日奈久(ひなぐ)断
層帯。その東の大分県側に弱い断層が集中する別府−万年山断層帯が広がる。
京都大の入倉孝次郎名誉教授(強震動地震学)は「余震が多いのは、活断層が集
中している地域で発生したからだ。エネルギーがたまっていた断層で発生した地震
が引き金となって、隣接する断層を刺激し、玉突きのように地震を誘発していった
と考えられる」と説明する。