600 Ωは真空管時代からある音声の標準インピーダンスで、
電話線のインピーダンスが由来とかいう話だが詳しくは知らない。
プロ用の音声機材はかつては何でも 600 Ωで、
真空管にトランスを使って 600 Ω平衡で送り出し、
受ける方もトランスを使って 600 Ω平衡で受けていたが、
はっきり言えば相当古臭い規格だ。
半導体になってトランスを使わなくなった民生用オーディオ機器の感覚では
カビの生えたような規格だが、プロ用機材は半導体になっても
まだトランスで 600 Ωにしていたのだ。
さすがにプロ用機材でもこのデジタルの時代に何でも 600 Ωはないだろうということに
なってきたが、今でもまだ 600 Ωの部分は残っている。

AKG という有名なオーストリアのスタジオ用マイクロホン・ヘッドホンメーカーがあり、
長らく 600 Ωのモニターヘッドホン K240 シリーズを販売していたが
(こんなものまで 600 Ωだったのだ)、
1990 年代に低インピーダンス 55 Ωの K240 Studio が発売され、
二十世紀が終わる頃に併売されていた 600 Ωの K240 Monitor が販売終了し、
AKG からは 600 Ωのヘッドホンが絶滅した(現行の後継機 K240 MKII も 55 Ω)。