>>92
もしもD-Waveに関連してノーベル賞を与えるのならば量子アニーリングという現象の発見者(あるいは発案者というべきか)だね

ついでに言えばD-Waveのような子アニーリングに基づく量子コンピュータは量子アナログコンピュータであって量子デジタルコンピュータではない
(世の中でD-Wave関連以外で量子コンピュータと大騒ぎしているのは、ほぼ例外なく量子デジタルコンピュータに関する話題でだ)

アナログなので精度がいくらでも高ければ(つまりどれほど小さなエネルギー差でも区別できるならば)
NP完全あるいはNP困難な組み合わせ問題を問題のサイズに関する多項式時間で解けても何も不思議ではない

このこと、つまり精度が際限なく高くできるのであればNP完全/困難な組み合わせ問題を多項式時間で解けることは
量子力学とは関係ない古典的なアナログ計算(アナログコンピュータと言えばオペアンプだがアナログ計算モデルはそれだけではない)でも
昔から良く知られていた事実(数学的に証明された定理)なのだから
(このアナログ計算の特徴については一部の計算機科学屋以外のほとんどの人々には知られてないが
なにせアナログ計算なんて大昔の代物でとっくに時代遅れになった死んだ技術と思われてるからね)

実際には電圧差にせよエネルギー差にせよ任意の高い精度(最大値と差の最小値との比率がどれほど小さくなっても=任意のダイナミックレンジ)で
弁別できる物理系など現実には実現できないので、量子でも古典でもアナログ計算モデルの実現で高速に解ける組み合わせ問題のサイズには上限がある

例えばトンネル効果による量子アニーリングを用いたD-Waveのような量子アナコンで具体的に説明すると、多数のqubitたちによって保持されている
複数の異なる固有状態間のエネルギー差が非常に小さくなれば、その高エネルギーな極小解からトンネル効果によって低エネルギーの最小解(真の解)へと
有限時間で移る確率はどんどん小さくなるということ

だからD-Waveのような量子アナログコンピュータがあるサイズまでの組み合わせ問題を古典的なデジタルコンピュータよりも高速に解けたとしても
計算機科学の観点からはさほど不思議でも驚くべき事柄でもない

量子計算の最大の問題はデジタル計算のモデルとしてのチューリング機械を量子力学の状態の重ね合わせで拡張した量子デジタル計算モデルが
実用的に意義のある規模で実現できるか(数qubitのならば既に実現済だがそれで解ける問題は従来のコンピュータでも楽々解けるので実用的な意義には乏しい)、
また量子デジタル計算モデルが高速に(つまり問題サイズに対する多項式時間で)解ける理論的な限界はどこにある(問題のクラスは何である)のか?
という点にある


ところで話は少し戻るが

>>88
> 提案されているモデルがすべてのエネルギー状態を表現できているかどうか

は言葉が粗っぽすぎて何を言いたいのか意味不明
(これを書いた本人が「それで十分」なんて自画自賛されてもねえ)

「任意の組み合わせ問題に対する(或いは、かくかくしかじかのクラスに属する任意の組み合わせ問題に対する)評価関数の全ての値を
qubitたちが保持する固有状態のエネルギーとして表現可能な計算モデルになっているかどうか」、ぐらいにはちゃんと述べられないのであれば、
ID:bDGJM6+y は量子力学の基本さえ理解せずに量子アナログ計算について議論しようとしているとしか思えない