国土交通省は26日、2017年度の国土交通白書を発表し、三大都市圏に住む若者は4人に1人が地方移住に関心があると指摘した。
都市部は住民同士のつながりが薄く、頼れる人がいないためとし、地方移住や二地域居住などで居場所づくりを支援すべきだと結論づけた。
都会の若者の間では車の免許保有率が低下しており、自動運転技術の需要は都会でも高まっているとした。

全国の20〜70歳代の男女5000人を対象にインターネットで調査した。
「田舎暮らしなど地方移住を推進してほしいか」を尋ねたところ、20歳代の関心が最も高く23%が移住推進を希望した。

 20歳代の回答を地域別にみると三大都市圏と人口5万人未満の市町村でともに25%と高かった。
人口5万人未満の市町村では60〜70歳代も27〜28%が移住推進を求めており「地方移住の受け入れ側になりうる」と指摘。都会の若者と小規模自治体の交流を促す必要があるとした。

 実際、地方移住支援のNPO法人ふるさと回帰支援センター(東京・千代田)は利用者が急増しており、20〜30歳代の増加が目立つ。
地方移住に関心が高まる背景には人とのつながりや居場所を求める価値観があるという。
三大都市圏の住民に居住地域に対する不安を聞くと「特にない」(27%)という回答に続いて「コミュニティが弱く頼れる人がいない」が多く、21%だった。

 若者の価値観の変化は住まいだけでなく移動手段にも影響を及ぼしている。今後求める技術開発に自動運転技術を挙げる声は大都市より小規模自治体に多い。
ただ、年代別にみると三大都市圏や政令市・県庁所在地・中核市でも20歳代の39〜40%が求めている。「
運転免許を取得しない人が増加していることなどが一因」と分析し、新たなニーズへの対応を促している。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO32258740W8A620C1000000/